何年か後に(おまけ・活動報告転載)
活動報告におまけとして掲載していた、会話のみのみじかーいお話です。
「あたしの血が混じったのに、若様より綺麗な顔の男の子が生まれるなんて……! 何これ奇跡?」
「ウェスって呼んで! っていうか確かにルミはとってもとっても可愛くて綺麗で甘やかしたいけど男の子だし、ディーってばつきっきりすぎだし可愛がりすぎだから! 僕も構って!」
「若様のその、男の子に女性的な愛称をつけるのは癖なんですか? 兄といい、この子といい……」
「男の名前なんてむさ苦しくて呼びたくないじゃない? あとウェスって呼んで! それから構って!」
「相変わらずですねえ。この子にいやがられて嫌われても知りませんよ」
「ルミに嫌われたらお父さん死にたい」
「まあ、これだけ綺麗な子なら、女の子みたいな名前でもしっくり来ちゃいますけど。……うちの兄とかアレですよ。筋肉ですよ。セラって柄じゃないでしょう」
「セラのこと、フィーニスではなんて呼んでたの?」
「セット」
「……」
「若様?」
「……ディーが僕以外の男を愛称で呼ぶの禁止! あとウェスって呼んで! 構って!!」
「そういえば若様、先日『魔女の鉤爪亭』で女の子たちと遊んでたっていう話を女将から聞いてるんですが」
「…………そっ、それは、一緒にお酒のんだだけだから!! ちゅーとかしてないから!!」
「ふーん」
「ほ、ほんとだから!! 信じて!!」
「へー」
「手しか握ってないし!! 信じて!!」
「ほー」
「信じて下さいお願いします!! あと外で唇尖らせちゃだめだからね! ちゅーさせてください!!!」
「ルミノックスが起きちゃうので静かにしてください。……今日の執務をすべて終えられたら構って差し上げますよ」
「——————行ってきます!!!」
(とある伯爵家の春の午後の一幕)
だいたいこんな感じに上手いことあしらわれてたんだろうなー と推測。
なお奥方様は半年後くらいに騎士団に復帰した模様です。