# 第二十五話 戦場への招待状
ついに始まる、NEXC公式大会。
普段のランクマッチとは違う舞台に、クロも少し緊張気味です。
集まったのは、各地から参加した実力者たち。
果たしてクロは、初めての大会でどこまで戦えるのでしょうか。
大会への参加登録を終えてから、数日。
ついに、NEXC公式大会の開催日がやってきた。
「……いよいよ、今日かぁ」
自室のパソコンの前で、私は小さく呟いた。
画面には、NEXCの大会専用クライアントが表示されている。
普段のランクマッチとは違う、特別仕様のロビー。
画面の中央には大会のロゴが大きく映し出され、その下には開始までのカウントダウンが表示されていた。
『クロちゃん、今日大会だっけ?』
『ついに本番だ!』
『頑張れー!』
『優勝目指していこう!』
配信のコメント欄も、いつも以上に賑わっている。
「う、うん。今日は大会……!」
声に出すと、少しだけ実感が湧いてきた。
大会に出ると決めたのは自分だ。
それでも、普段とは違う大きな舞台に立つと思うと、どうしても緊張してしまう。
「と、とりあえず……準備しよ」
私は一度深呼吸して、装備設定の画面を開いた。
大会では、試合中に武器や装備を変更することはできない。
だからこそ、試合前の選択が重要になる。
私が選んだのは、いつも使っている大口径弾を使用するアサルトライフルと、取り回しのいい軽量サブマシンガン。
遠距離から中距離はアサルトライフル。
近距離での戦闘になったらサブマシンガン。
状況に合わせて使い分ける、いつもの組み合わせだ。
「……よし」
弾薬の種類も確認する。
大会では弾薬や回復アイテム、グレネードなどは試合中に調達する必要がある。最初から何でも持ち込めるわけじゃない。
装備の重量も問題ない。
これなら、機動力を損なわずに戦えるはずだ。
『装備はいつもの?』
「うん。慣れてるのが一番だからね」
『クロちゃんの大口径ARだ!』
『単発モード好きだよね』
「えへへ。単発で撃つの、結構好きなんだよね。遠くの敵にも狙いをつけやすいし」
私はアサルトライフルの射撃モードを確認する。
単発とフルオート。
状況によって切り替えられるのが、この武器の強みだ。
普段は単発射撃を中心に使っているけれど、接近戦になればフルオートに切り替えることもある。
「これで大丈夫かな」
最終確認を終え、私は大会ロビーへ接続した。
画面が切り替わる。
そこには、普段のランクマッチでは見かけないほど多くのプレイヤーが集まっていた。
大会参加者専用のロビー。
それぞれが自分のアバターを表示させ、試合開始を待っている。
「わ、わぁ……すごい人数」
『めっちゃいるw』
『さすが公式大会』
『有名プレイヤーもいるぞ!』
『この人、前シーズンの上位ランカーじゃん!』
コメント欄に流れる名前を見て、私は思わず画面を見回した。
確かに、見覚えのあるプレイヤー名がいくつもある。
普段から大会や上位ランクの配信を見ている人なら、知っているような有名プレイヤーも参加しているらしい。
「み、みんな強そう……」
思わず弱気な声が漏れる。
もちろん、ここにいる人たちは全員が予選を突破しようとしている参加者だ。
簡単に勝てる相手なんていないだろう。
でも。
「……せっかく出るんだから、頑張らないと」
自分に言い聞かせるように呟いた。
今回の大会は個人戦。
広大なマップに大勢のプレイヤーが降り立ち、最後まで生き残ることを目指すバトルロイヤル形式だ。
時間が経つにつれて安全地帯は狭くなり、範囲外にいるプレイヤーはダメージを受ける。
普段のNEXCと基本的なルールは同じでも、相手は全員が大会に出場するほどの実力者。
一つの判断ミスが、そのまま敗退に繋がる可能性だってある。
さらに、今回の大会ではキルやアシストだけでなく、特別なプレイにもポイントが与えられる。
通常のキルは二ポイント。
アシストは一ポイント。
そして、AIによって神プレイと判定された場合は、キルに四ポイント加算されて、六ポイント。
そう簡単に発生するものではないけれど、勝ち上がるためには少しでも多くのポイントを稼ぎたい。
『神プレイ判定って本当に出るのかな?』
「どうだろう……。私も一回くらいは取ってみたいけど」
『クロちゃんならワンチャンある』
「そ、そんな簡単じゃないよ!」
そんな話をしているうちに、ロビーの画面に通知が表示された。
《まもなく予選第一試合を開始します》
「……っ!」
いよいよだ。
私はマウスを握り直し、画面に集中する。
大会の参加者たちが、それぞれの試合へと振り分けられていく。
ロビーに表示されていたプレイヤーたちの姿が次々と消えていき、私の画面にもマッチング完了の通知が現れた。
《MATCH FOUND》
「……よし」
心臓が少しだけ速くなる。
怖くないと言えば嘘になる。
でも、それ以上に楽しみだった。
どんな相手と戦うことになるんだろう。
どんな試合になるんだろう。
そして、自分はどこまで通用するんだろう。
「猫野クロ、行きます!」
画面が暗転する。
次の瞬間、試合開始までのカウントダウンが表示された。
《MATCH STARTING》
3。
2。
1。
――大会最初の戦いが、始まろうとしていた。
今回は大会本番直前までのお話でした!
普段とは違う雰囲気に緊張しながらも、いつもの装備で挑むクロ。
次回からはいよいよ予選第一試合が始まります!
強豪揃いの大会で、クロはどんな戦いを見せてくれるのでしょうか。
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