最終決戦編⑬
―白い、白い部屋だった。四角いタイルの様な物で作られた大きな部屋だった。―
「なんだか、本当にラスボス戦って感じがしてきたね」
―あかねは、そう呟きながらゆっくりと白い地面に降り立った―
―深い、あかねはそう思っていた。上を見上げる、先ほどあかね自身が壊した土草が落ちてきていた、だが、その土草は白い部屋に入ると、まるで幽霊のように半透明になり、そして、消えた―
「・・・・なるほどね、そういう事」
―あかねはそう呟くと、上を見上げていた顔を前方に向けた。―
―そのあかねの先には、管が地面から無数に張り付いている青い培養液が満たされた透明な丸い筒の中に、白髪の長い女がいた。その女はじっと猫の様な静止した目であかねを見つめていた―
「これは貴女が作ったのかしら?。あぁ、勘違いしないでよ、この地下施設って意味ではないわよ?。」
―あかねはゆっくりと歩を進めながら、女にそう聞いた。女は微動だに動かない―
「私が聞きたいのは、この樹海全体を異世界の様に書き換えたのは貴女かしら?って聞きたいのよ」
―あかねは培養液がポコポコと泡を出しているのをまじかに近づき見た―
―あかねは透明な筒に手を触れた―
「答えるつもりはないのかしら?。・・・・そう、残念」
―あかねは微動だにしない女をまじかで見ると『想像を現実にする能力』で触れたモノ自体を消そうとした。つまり、この培養液のポット事、女を消そうとした―
―その時、だった―
―培養液の中にいる女がガラス越しのあかねに近づいた―
―そして、口を開いた―
「あぁ、こうなってしまうのか」
―あかねはその声に幽霊に体をすり抜けられるような奇妙な不気味さを感じた―
―あかねは、これは危ないと、思い、咄嗟に消そうとした―
「『消え―――』」
―その時、あかねの体が宙に突然と浮き、次の瞬間、勢いよく壁へと叩きつけられていた。白い壁の瓦礫が頭から血を流すあかねへと覆いかぶさる―
―培養液が入っていた透明な筒がこの時、小さなひびが入り、その亀裂から大きな亀裂へと変わり、ついには割れた―
バシャ・・・
―培養液が地面に流れる音だけが部屋に響いた―
―次に部屋に響いたのは足音だった。ぴちゃぴちゃと、まるで風呂上がりの様な足音が響いた―
「・・・どうして、こうなるのか。」
―女はそう呟くと、髪をかき上げその顔を表に現した―
―その時、あかねは目を少し見開いた。そして、自身を下敷きにしている瓦礫に触り消した―
「どういう事なのかしら?…説明を求めるわ。いや、しろ」
―あかねはゆっくりと立ち上がりながら殺意に似たナニカを女に向けた―
―女は軽く答えた―
「私はただの私よ。それ以下でも以上でもないわ」
「・・・・貴女はもしかして、この世界の…それとも、異世界の…」
「違うわ。私は私」
「・・・そう。答えるつもりはないようね」
「答えたつもりだわ」
―女はあかねの質問に淡々と答えるだけだった。その回答には、喜怒哀楽が全くなかった。ただ、答えてるだけだった。―
「そう、じゃあ…殺すわ」
―女はそのあかねの言葉を聞くと、「ふっ」と軽く笑い、眉を緩やかにした―
―それに対し、あかねの目は、奥から黒いモノが出てきて網膜に張り付いている様な漆黒の目をしていた。―
「そう見えていたのね…。怖いわね。」
―女はそう言うと、手の平を前に向けあかねにかざした―
―同様にあかねもそうした―
―両者の戦闘隊形はまるで写し鏡の様に同じであった―
「『想像を現実にする能力』」
―先手を取ったのはあかねの様に思えた―
「『宝物庫の扉』」
―その瞬間、女の後ろに黄金の大きな扉が現れた。その扉は装飾品もなく高名な彫師が掘ったような痕跡もなく、ただ単に黄金の扉であった―
「美しい・・・」
―その扉の輝きに、思わず、あかねは息を呑んだ。先程までの感情が嘘の様に消えていた―
「貴女好みだと思うわ、だって貴女は――」
―女はそう呟くと、あかねの目の前まで移動していた―
「!!」
―女の息があかねの唇に触れる。その距離まであかねは女が近づいているのに気づきもしなかった―
「あぁ、貴女はやっぱり若いわね。私の目とは全然違う」
―女は両手で軽くあかねの両手首を掴んだ―
「だから、貴女には絶対に出来ない」
―あかねが両手を振りほどくよりも先に女は動いた、いや、動いていた。―
「『偉業・終末の到来』」
―あかねは感じていた。女の手から伝わる、感じた事もない冷たさを。その冷たさは、冷気や氷と言ったものではなかった。体験したことがないのに表現できるのは、氷河期の中心部に立たされている様なそういう冷たさをあかねは感じていた―
―その冷たさはやがて、痛みへと変わっていった―
「ッ!」
―声が漏れ出るという事はなかった。その前にあかねの体は淡い水色に凍っていたからだ―
―女はあかねの有様を探るように見た―
「こんなに弱かったのかしら…、いや、だから負けたのか。私は」
―女はそう呟くと、あかねに背を向けた―
―その時、あかねの体に亀裂が入った。その亀裂は全身に広がっていき、やがて、あかねの体中に広がり割れた―
バッ!!
「捕まえた」
「!?」
―あかねは背後から女の体を脇から抱きしめていた―
―あかねは自身の脇を締め女を持ち上げた。女は自身の肋骨にあかねの腕が当たり思わず痛みで声が漏れ出た―
「なにが、「こんなに弱かったけ?」なのよ」
―あかねは続けてこう言った―
「私からしたらね。「こんなに変態だっけ?」なのよ」
―あかねはそう言うと、口角を少し上げた―
「『想像を現実にする能力』『浮け』」
―女の体は瞬く間に宙に浮いた―
「『潰れろ』」
―次の瞬間、宙に浮いたと思った女は一瞬で地面に叩きつけられた。その衝撃で地面には大きな亀裂が入っていた―
「どう?、話す気になったかしら?。」
―あかねは地面でピクピクと痙攣している女の長い髪を立ったまま掴み、上へ引っ張った。女の顔は鼻血を垂らしていた―
「言うわけないでしょ。」
―あかねはその言葉を聞くと、表情を変えることなく呟いた―
「『浮け』」
―女はまた宙に浮いた。女はこうなる事を知っていた。だから、あえて煽るような事を言ったのだ、自身がやられて一番嫌な事をやったのだ。―
―女は宙に浮きながら呟いた―
「『偉業・空の支配者』」
―あかねはこの時、前と同じ事を呟いた―
「『想像を現実にする能力』、『潰れろ』」
―だが―
「!?」
―女は潰れなかった―
「なんだと」
―女はあかねの頭上から見下ろした―
「それはもう効かない」
―女は何事も無かったように地面に降り立った―
―そして、あかねの前に立ち、こう言った―
「やっぱり、貴女じゃ…ダメなのよ」
―その表情はどこか悲しそうであった―
―あかねはその女の異様さの正体に気づいた。どこか、達観している風なのだ。なんで、コイツだけ私を前にしても驚きもしない、ましてや恐怖もしない・・・。それがあかねの脳内に不安を生んでいた―
―本当は、それだけでは――――
「・・・何を知っているんだ?」
―あかねは少し冷や汗をかきながら女に聞いた―
「そうねぇ・・・・」
―女はあかねの耳元まで近づき囁いた―
「~~~~~~~~~~~~だよ」
「!?、何を嘘を言っているんだ…。お前は…」
「「お前」ねぇ…、やっぱり、貴女じゃダメなのよ。こんな事で取り乱すなんて」
―あかねの息が荒くなる。呼吸だけで胸が痛くなる。口が半開きになり片目を痙攣させていた―
―あかねは頭がクラクラとした。女が言っていたことが、見方を変えれば、考えもしていなかった。あかねがこの世界の現実で起こってほしくない一番嫌な事だったからだ。―
・・・・なにがどうなっているんだ?。・・・おかしい、こんな事は魔法でも使わない限り起こり得ない状況だ。
僕は、幻覚でも見ているのだろうか・・・?。
「嘘だろ?・・・一体、どうなっているんだ?」
僕は自身の目を疑った。一人が裸なのもそうだが、それよりもおかしなことが目の前で起こっていた
「あかねが二人?」
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この物語はフィクションです、実際のモノとは関係ありません( ^ω^)・・・




