人生の終わり
いつも通り、すごい人ごみだ。
よけることはとてもできないので、せめて体をねじる。
だが、今はそんなことはどうでもいいと思ってしまう。
あの小説のことが、頭を離れない。
マレリリア・・・。マティオ・・・。
今すぐ彼らの幸せをなくしてやりたい・・・!!
もしあの世界に入れたとしたら、とびっきりの美少女になって、マレリリアからマティオを奪ってやるんだ。
それからマレリリアに想いを寄せていた男たちも・・・。
美奈はカバンをぐっと握りしめた。
と、周りに人がいなくなったのに気付いた。
ハッと顔を上げると、美奈は横断歩道に踏み出していた。
赤信号だ!しまった!!
息をのんで真横を見る。
目の前がぼやけた。
黒い物体が、猛スピードで迫り来ていた。
「きゃあああああああああ!!!!!!!」
誰かの悲鳴が聞こえた。
全てがスローモーションで進んでいく。
美奈は、膝から崩れ落ちた。
これで・・・・・・・・・・・・・終わりだ・・・・・・。
キキィィィィッッッ!!!!!!
神崎美奈、24歳。飛び出しにより、出勤中の時速80kmのトラックに轢かれ、死亡。