時間のはざま
『ねえ・・・』
『そろそろ起きてよ・・・』
うっ・・・まぶしい・・・。
パチパチと瞬きをして、美奈は眼を開いた。
「えっ!?!?」
美奈は飛び起きた。
「ここどこ!?!?」
白い世界。
光に包まれ、美奈のほかには何もない、ただただ白い世界。
下を見ると、遥か底まで光が続いているが、しっかりと硬い床に寝ているような感触がある。
そう、美奈はその空間に浮いていた。
唖然として周りを見回していると、目の前に、ひときわ輝く光の玉があった。
『おはよう』
光の玉がしゃべった。
「えっ?えええ?」
『随分と長く寝ていたね』
「誰ですかあなた!ていうか人ですか?」
混乱して美奈は言い募る。
『僕は僕であり、君であり、全てだ』
よくわからない言い分だったが、美奈はなぜか腑に落ちた。
「私は――――どうなって・・・?」
『死んだんだよ。”車”に轢かれたんだ』
そうだ、私はあの時、ふらっと横断歩道に出てしまって死んだんだ。
じゃあここは・・・。
「天国ですか?」
光の玉は朗らかに笑った。
『違う違う。ここは時間のはざまだ。普通の人間には来られないところだよ』
「じゃ、どうして私はここに?」
『君――――あの小説に感情移入してたでしょ』
ああ・・・ここでもあの極悪小説の話題か・・・。
「そうですけど」
『主人公とかつぶそうって考えてたし』
「何で知ってるんですかー!はずかしい」
『だから僕は君だって言っただろう?あんなに小説の中に入り込んでる人、初めて見たよ』
「だってあんなラストありえないじゃないですか。あれが現実だったらいくらなんでもうまくいきすぎですよ」
『君のそういうところがいいんだよね』
「え??」
『君を”流れ星のキセキ”の世界に入れてあげる。それで、君の好きなように変えておいで』
ぽかんと美奈は見上げた。
「どういうことですか・・・?」
『君は明日からマリスタ・デルドウィット。大変なことははっきり言って多いよ。でも、君なら変えられる。この小説の全てを。ハッピーエンドさえもね』
光が少し、強くなった。
『じゃあ、行ってらっしゃい。君の好きなようにやるんだ』
パアッと光が広がった。
美奈はふわりと自分の体が浮くのを感じた。
そして、突然急降下を始めた。
「え、どういうことーーーーーーー!!!!!????」
叫びは、白い世界へ飲み込まれた。
再び意識が遠のいていく――――。
どこかで、笑い声がした。




