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12話 旅立ち

この次から話が動いていく形になります。長いだろうなと思っていますがまずは思いついたらとにかく書こうという方針です。

 次からは不定期での更新になります。見てくれる人が少なくても完成はさせますのでよろしくお願いします。



「……朝か」


 目を覚ますと窓から強い日差しが部屋に入り込んでいる。立ち上がり、周りを見渡すとインドラはテーブルで丸まって寝ており、マナさんはベットで人形の様にぐっすりと寝ていた。


「まだみんな寝ているのかな、なら庭で鍛錬でもするか」


 ホープ家にいるとき少しでも強くなろうと朝起きたら木刀を持ち、素振りをしていた。ちゃんと木刀も忘れずに持ってきたのでリュックから取り出し、木刀を持って部屋を出る。するとそこでルーカス王と鉢合わせる。


「おはよう、レイ君。起きるの早いな」


「日差しが強かったので目が覚めました」


「確かにな、今日はものすごく天気がいいからな。それより何故木刀持っているんだ?」


「少し鍛錬をしようかなと思いまして」


「感心だな、なら昨日使った訓練場でやるといい」


「ありがとうございます」


 庭でやろうと思っていたが、ルーカス王が訓練場を使っていいと許可をもらったのでそっちに行くことにする。

 急いで行ってみると訓練場には誰もいなかった。


「よし、やるか」


 敵をイメージして確実に木刀を振っていく。勇者パーティーには入れなかったが冒険をスムーズにするためにも強くならなければならないと思うので気を引き締めて行う。


「おっ、先客がいたとは驚きだ」


「シリウスさん、おはようございます」


 素振りをしていると訓練場にシリウスさんがやってきた。シリウスさんは枷となる銀色を基調とした鎧を装着している。


「おはよう、精が出るね。もしかして毎朝やっているのか?」


「はい、欠かさずにやっています」


「いいね、だからあんなに強かったんだ。そうだ、折角ここで会ったから共にやろうよ」


「いいんですか?」


「その方が鍛錬になるからね。さぁ、僕に木刀で攻撃してきて、スキルは無しだよ」


「わかりました、それでは遠慮なく」


 僕はシリウスさんに攻撃の隙を与えないように仕掛ける。シリウスさんは模造剣を取りだし、防いでいる。しかし、木刀は全て見切られていて腹を蹴られてしまう。


「敵の全身を視野に入れないと攻撃に反応できなくなるよ」


「わかりました、まだまだ行きますよ」


 シリウスさんのアドバイスを意識しながら攻撃を仕掛ける。そのおかげで格段に攻撃を喰らうことが減った。


「いいね、確実に動きが良くなっているよ」


 シリウスさんに褒められて嬉しくなり、つい気を緩んでしまう。そこを突かれて、剣ではなく手刀で頭を叩かれた。


「イッタ~……」


「気を抜いたらやられてしまうよ」


 頭に痛むが走り、座り込みながら頭を抑えているとシリウスさんに注意される。これは肝に銘じておこうと思う。


「お~い、レイよ。飯らしいぞ」


 続きをやろうと思ったがインドラがやってきて朝食の用意が出来たことを教えてくれる。その直後腹がなってしまう。


「お腹すかせているみたいだね。鍛錬はここまでかな」


「そのようですね、鍛錬に付き合っていただきありがとうございました」


「礼を言うのはこっちだよ、ありがとう」


 ここでシリウスさんと分かれてインドラと共に朝食を食べに行った。たどり着くと皆、もう席についていて待っていた。軽く話しながら朝食を頂く。


「レイ、冒険のルートは自由に決めていいがマナ王女をエルフの里に送り届けてからにしろよ」


「わかりました」


 帰りの道中でまたサタニズムやモンスターに襲われたら大変なので僕がついていかないといけないようだ。そうなるとエルフの里に着いたらマナさんや護衛達とお別れになるな。


 朝食が終わり、部屋に戻って旅立つ準備をする。ここに戻ってくることは無いので忘れ物が無いように注意する。マナさんが部屋に入ってきて出発することを知らせてくれる。部屋を一瞥した後、出ていった。


 護衛の方々と合流した後、王城を出て門の前に行く。


「レイ君、後は頼んだぞ」


「任せてください」


「雷竜インドラ様がいるから何も心配することはない、ワァ~ハッハッハッ」


 インドラが誇らしげに胸を張っているが本当に頼もしいので少し気が楽になる。


「ルーカス陛下、色々とお世話になりました」


「気をつけていけよ、おっとこれを渡すのを忘れていた」


 ルーカス王はポケットから袋を出して僕に渡してきた。袋を受け取り、中身を確認すると金が入っていた。


「ルーカス陛下、さすがにこれを受け取るのは申し訳ないですよ」


「受け取れ、冒険するにもある程度必要だろ。道端で野垂れ死んだら困るしな」


「わかりました、有難く受け取らせてもらいます」


「では行ってこい!」


 ルーカス王からもらった資金を大事にポケットへ収納した後、エルフの里を目指して出発した。



 ☆☆☆



 王城を出発して歩いていると複雑な道があったが僕が覚えているので迷わずに進むことができる。皆と会話しながら歩いていると座り込んで泣いている少女が目に入る。


「大丈夫、何があったの?」


 無意識に足が動いて少女に駆け寄ると少女は泣きながら指をさして教えてくれる。


「お友達に貰った風船が、木に引っかかったの」


 指がさされた方向を見ると高い位置に風船が引っかかっていた。風船の真下にいってジャンプしても届きそうにない。


「レイ、どうかしたか?」


 インドラは気になったのか、僕の懐から顔を出す。事情を話すとインドラが取ってこようかと提案してくるが拒否をする。なぜならインドラは鋭い爪とゴツゴツとした鱗がある為、風船が割れてしまう恐れがある。


 どうしたものか、木を登ろうにもその衝撃で割れたり、ほどけて風船が上に浮いてしまうかもしれない。ん~……、いや待てよ。こうゆうときにスキルを使えばいいじゃないか。

 スキルを確認してみると適しているスキルがあった。


「もう大丈夫、取ってあげるからね」


 少女に一言声を掛けた後、実行する。適しているスキルは何かというと【操糸】だ。【飛行】の方が適していると思われるが恐らく雷を纏わせた時と同じように体のコントロールが効かなくなるので風船にぶつかって割りかねない。


 なのでスキル【操糸】を使うことにする。どのように使うかというと糸をゆっくり木に蛇の如く出して風船についている糸につける。その後ゆっくり引っ張っていき、取ることができた。幸い葉に引っかかっただけなので上手く取れたが枝に引っかかっていたら難しかっただろう。


「はい、今度は気を付けてね」


「お兄ちゃん、ありがとう」


 少女は僕に抱き着いた後、満面の笑みで僕の方を見て、礼を言って走り去っていった。子供の純粋は笑顔が見れてこっちも嬉しくなった。


「やっぱり僕は色んな人を助けたいみたいだ」


「そのようだな、お人好しすぎるぞ」


「それでもいいよ、だからもし目の前に困っている人がいたら積極的に助けていこう」


「それは勇者パーティーに入れなかったからか?」


「いや、勇者パーティーとか関係なく僕は人を笑顔にしたいんだ」


 勇者パーティーに入れなかった時はどうしようかと思った。しかし、マナさんやインドラ、ルーカス王に会って、自分はどうしたいかが少しだけ見えてきた気がする。


「いいだろう、我もその助けるという奴に協力しようじゃないか」


「ありがとう」


 インドラも僕の方針に協力的になっているので助かる。これ以上話すと待っているマナさんや護衛の方に迷惑がかかるので合流し、先に進むことにした。


 馬車を預けていた所が見えてきた時に今度は近所の()()()()に遭遇し、頼みごとをされた。


「レイ君よ、ちょっと探してほしいのじゃがよいか?」


「おじさん、もしかしていつもの虫眼鏡ですか?」


 このおじさんはよく虫眼鏡を落として小さい頃から探してあげていたことを思い出す。おじさんに確認をとると頷いているので間違いないようだ。


「またですか~、もうしょうがないですね」


 苦笑いしながらも失くしたある程度の位置を聞き出し、そのあたりを探してみる。そこは草が多い茂っているので探しにくそうだ。どうやって探すか考えているとふとスキルを確認すると適しているスキルがあった。


「おじさんちょっと失礼します」


 僕はおじさんに近づき、匂いを嗅ぐ。適していると思ったスキルは【嗅覚】である。これを使えば時間がかからずに探せると思ったがすぐに見つけることができた。


「おじさん、気を付けてくださいね」


「ありがとうレイ君、さすが勇者になって増々たくましくなったわぃ」


「いやいや、僕は勇者パーティーに入ってないですよ……」


 おじさんはまだ僕が勇者パーティーに入っていると思っているようだ。誤解を解こうにもこのおじさんは話を聞かないのでもう諦めた。


「レイ君、活躍に期待しているぞ。これで失礼するぞぃ」


 おじさんは話は聞かないし、よく物を無くすので心配になるが小さい時には助けてくれたりもしたので嫌いにはならなかった。おじさんが元気そうに立ち去るのをみて気が緩み、微笑んでしまう。


「レイは優しいね」


「いやいや、当たり前の事をしているだけだよ」


 マナさんに言われて顔が赤くなり、照れてしまうがそこまで誇らしい事をしているとは思わないので謙遜気味に言う。


「エルフでもすぐに動いて助けようとする人は少ないよ」


「そうかな~? 助けようとすると思うけどな」


「用意ができましたよ、王女様、レイさん、早くお乗りください」


 疑問に思っていると馬車で出発の準備ができたようだ。マナさんと共に急いで乗り込み、インドラを懐から出してあげる。


「よし、早速出発だ!」


 インドラの合図で馬車が動き出し、エルフの里に目掛けて出発した。ここから僕の冒険が始まる。もし悪魔が復活しても対応できるように強くなることを秘かに決意した。


~【能力強奪(スティール)】で入手したスキル一覧~


 【雷竜】 【嗅覚】 【斬撃】 【毒】 【麻痺】 【操糸】 【飛行】 【翻訳】 【契約(テイム)】 【竜眼】


 隠し能力……サーペントスティール

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