11話 勇者パーティー結成
やっと勇者パーティーサイドの話です。主人公の話なのでなるべく短くしたいのですが同じぐらいになりました。
このタイミングで良かったかコメントしてくれると助かります!
翌日、早朝に王城の前で2人の男が立っていた。早朝なためか、辺りはシーンと静かである。
「ジル、いよいよだな」
「はい、父上。この時を待ちわびてました」
いよいよこの時が来た。ホープ家を追放されたクズのおかげでこの僕が勇者パーティーに入ることになった。期待を胸に秘めて門に近づくと銀色を基調とした鎧を装備している門番らしき人が声を掛けてくる。
「紹介状はお持ちですか?」
「これだ」
父、ヘンリーが紹介状を渡すと門番らしき人が頭を下げる。
「お待ちしておりました、ヘンリー様、ジル様。案内をさせてもらうシリウスと申します」
「シリウス、早速案内してもらおうか」
「承知しました、ではついてきてください」
進めば進むほど緊張してきたな。王の前で恥をかかないよう注意しなければ。シリウスについていくとある部屋に着く。入ってみると何人かいた。
「あなたが最後のメンバーね、私はミナ。よろしくね」
「ホープ家のジルです。よろしく」
急に声を掛けられても俺はずっと大人数で会話していたので慣れている。多分あの野郎は戸惑うだろうな。
ミナは見た目は魔女みたいな恰好をしていて明るい茶髪で明るい少女だ。
「私はエミリア」
「俺はゲンだ」
エミリアは清楚な印象で聖女をイメージさせる格好をしている。ゲンは筋肉質で何でも力任せにしそうな人に見える。
「この3人が勇者パーティーの仲間になるのか?」
「そうなるね」
見た感じ頼りになりそうなので安心した。使えないやつがいたらどうしようかと思ったが皆、強そうだ。
「頼もしい仲間が出来たな、ジル」
「このメンバーならどんな敵でも勝てそうです」
「あっ!前の勇者パーティー、ヘンリーさんだ」
「ヘンリーさん、あえて光栄です」
勇者パーティーの仲間たちは父上と手を交わしたいる。父上はあらゆるモンスターを倒したと言われているので人気者である。
「そうだ、君たちのスキルを教えてくれないか?」
3人は嬉しそうに自分のスキルを父上に話す。有名な人に少しでも名を覚えてもらいたいのだろう。
ミナのスキル【魔法】……イメージした魔術を自由自在に操る。ただし、禁術や高等魔法は扱えない。
エミリアのスキル【治療】……外傷を瞬時に治療できる回復系スキル。状態異常や病気は治せないが怪我等は全て治せる。
ゲンのスキル【忍耐】……攻撃に耐えれば耐えるほど自身のステータスが一時的に上がる。体力が尽きると効果は切れる。
「うん、いいスキルだ。君たちならきっとあらゆる脅威に立ち向かえるだろう」
『ありがとうございます!』
父上に称賛され、喜んでいる3人。その顔は純粋な子供の様だった。
「ジル、君のスキルは何なんだ?」
「僕のスキルは、【聖剣】だ」
ゲンにスキルについて問われたので自慢げに教えると3人は目を見開いて驚いていた。勇者にふさわしいスキルと言っていて何か誇らしくなる。
「皆さん、そろそろお時間ですが大丈夫ですか?」
シリウスらしき門番が部屋に入ってきて知らせてくれる。どうやら準備ができたようだ。
「大丈夫です、行きましょう」
父上が答えて俺らはシリウスについていった。王宮の間、扉の前に来ると何か気迫を感じて皆、気持ちを各々引き締める。
「ルーカス陛下、勇者パーティーになる方々をお連れしました」
「入るがよい」
「皆さま、お入りください」
シリウスが扉を開くと赤いカーペットが真っすぐに引かれていた。僕達はゆっくりと歩いて行くと階段の前で止まり、跪く。階段の先にはルーカス王が座っていたからだ。
「遥々、遠いところから王城に来てくれたこと感謝する」
ルーカス王を始めてみたが父上からは聞いていたよりも威圧感があり、怯みそうになる。
「君たちはこれをもって正式に勇者パーティーが結成されるが意気込みはあるか?」
3人の様子を見ると緊張してか先程より打って変わって全く話そうとしなかった。なので俺が仕方なく発現することにする。
「はい、あらゆる脅威に立ち向かい、平和を保てるようにしたいと思います」
「いい意気込みだ、頼りにしておるぞ」
「ありがとうございます」
ルーカス王は目を細めてはいるが期待していると言われて少し気持ちが和らぐ。
「君たちに渡すものがある」
ルーカス王が兵士を呼びつけると見るからに質の良い装備達と人数分の旅費用が並べてあるテーブルを持ってきた。
「これらの装備は代々勇者パーティーが装備している。これを君たちに贈呈する」
兵達が何人か来て装備を持ち上げ、装備に合う人に立ち渡している。ミナは杖、エミリアは十字架の首飾り、ゲンは大楯、そして俺は剣をもらい、それぞれ旅費用をもらう。
「君たちの使命は脅威になるモンスターの討伐もそうだが悪魔が封印されている場所に言って異常が無いか確認してほしい。もし異常であれば瞬時に対応してほしい。
「了解しました」
悪魔の封印の地に関しては長年何も無いと言われているからこれは無視でいいな。脅威になるモンスターを討伐さえしていれば注目されるし、問題ないだろう。
だがこの時、その判断が大きな間違いだったことを今は知る由もない。
「早速で悪いがもう各地旅立ってもらう、最初だけ余が決めるが後は好きなルートで言ってくれ」
「ルーカス陛下、最初の目的地はどこに?」
「ヘンリー、場所を聞いて着いていくんじゃないぞ。最初、行ってもらう所は隣町のジルコンだ」
ジルコンはペリドットから西に進んで森を抜けたところにある小さな町だ。森が近いのが影響しているのか自然を肌で感じることができると言われている。
「ジルコンで数日滞在して何も無かったら次の場所に行ってくれ」
「了解しました」
「ヘンリー、ペリドットの門まで送ってやれ。何度も言うがついていくなよ」
「ついていきませんよ、ジルは優秀ですので安心して外に送れますよ」
「話は以上だ、帰って良いぞ」
「わかりました、我々はこれで失礼します」
俺達は立ち上がり、この部屋を後にする。これで正式に勇者パーティーに入れたので早く脅威になるモンスターを討伐して注目されたい。
「ジルって凄いね、王の前で話すのって怖くて中々できないよ」
「王にビビっていたらモンスターなんて戦えないだろ」
「確かにな、ジルを見習わないとな」
話しながら王城を出ると外はもう明るくなっていた。ここに来てからかなりの時間が立っているので無理もない。
門を目指してしばらく歩いていると小さな女の子が駆け寄ってきた。その少女の目は見るからに涙が溢れそうになっていた。
「お願い、助けてほしいの」
「どうしたんだ?」
「木に風船が引っかかってしまったの、お友達からもらったばかりだから……取ってほしいの」
「取ってほしいのだな、任せろ――」
「待て」
ゲンが風船を取ろうとしたので手を前に出し、行かせないようにする。俺らのやるべきことは脅威になるモンスターを討伐して平和を保つこと、こんな少女に構っている暇は無い。そもそも風船なんて時間がたてばどうせ捨てるのだろう。
「悪いが我々は忙しいんだ、風船ごときほかの奴らに頼め」
少女を無視して先に進む。エミリアが少し不満そうな顔をしていたが優先順位と言うものがあるので気にせず進む。少女は地べたに座り込む、泣き始めるが知ったことではない。
しばらく歩いていると今度はおじさんが声を掛けてきてお願いされる。
「坊や、ちょっと物を無くしてしまって……探してくれないかのぅ?」
「探し物なら自分で探せ、失礼する」
よぼよぼの爺さんの頼みを聞いてもこちらにメリットが無いからやるだけ無駄だ。無視をしているとエミリアとゲンから反論が来る。
「ジルさん、さすがに引き受けた方がいいのではないでしょうか?」
「そうだぜ、爺さんはともかく少女は可哀そうだぜ」
「何を言う、もしそれをやっている間にジルコンに脅威になるモンスターが現れたらどうする、町の人間を皆殺しにするつもりか?」
「それは……」
「確かにな、その場にいなかったら意味ないからな」
エミリアは反論できず黙り込み、ゲンは納得していた。エミリアはともかくゲンは自分では考えなさそうなのでこちらとしては助かる。
「年寄りを助けてもどうせすぐ死ぬから意味ないって」
ミナは俺の意見に乗っかってくるのでこのままいけば喧嘩せず、思い通りに行けそうだ。ちなみに父上は先頭に立って呑気に鼻歌をしながら歩いているのでこのことは知らない。
話している間に門に到着し、タイミングよく馬車が来ていたのでルーカス王からもらった資金を使って乗ることにした。
「よし、ジルコンに向かうぞ」
「ジル、大いなる活躍をすることに期待しているぞ」
馬車に乗車後、父上が手を振って見送ってくれた。ここから活躍して伝説の人物になったやる!
しかし、この時まだ知らなかった。思い描いていた勇者パーティーの旅とは全く違うことになることに気付いていない。
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