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第十五話

車内は、静かだった。

エンジン音と、タイヤの擦れる音だけ。

人影は、ほとんどない。

たまに車の音に反応して動く“あれ”


パシュ!



サイレンサー付きの銃で

それを動かないようにしながら進む。


しばらく進むと

対向車線から車の音が聞こえた。



「車……?」



町中がこうなった今、

車が走っているのはおかしい。

率直な感想はそれだった。



「止めますか?」



車を止めて

1人の男が道に歩き出す。


やがて、白いワンボックスカーが

こちらに向かってくるのが見えてきた。



男はワンボックスカーに見えるように

大きく両手を振った。



対向車線を走る

白いワンボックスカーの

スピードが上がる。


男の静止を無視して

走り去ってしまった。



「くそっ!!追いますか!?」

運転席の男が口を開く。


「いや、こちらは

〇〇地区の調査を優先する。後続部隊に

今の車を追ってもらう。」


後部座席の男が静かに返事をした。



一瞬の間の後、運転席の男が再び声を発した。


「……血がついてましたね。」


「あぁ。それにこの地域で

生存者が車を使うのは不自然だ」



外から戻ってきた男が助手席に帰ってきた。


「後続部隊に今の車の特徴を…」



運転席の男が

車のシフトを動かすと同時に帰ってきた男に伝えた。

助手席に座り、体制を立て直すと男は

通信機を慣れたように操作しだした。


「後方班へ。先ほど〇〇地区より北に

車両が向かった。その車の追跡をよろしく頼む。車の特徴は……」


「白のワンボックス。側面、裏面に血痕あり。走行中確認」


『受信。特徴記録』


「付近に生存者、もしくは異常個体の関与の可能性あり」


『了解。周辺警戒を強化する』


短い応対をした後、通信が切れた。






ユリたちが乗る車は

そのまま走り続けていた。


今のところ、危険は襲ってこない。

ユリの実家が目と鼻の先という所まで来ていた。


「……もうすぐだよ」

ユリが、小さく言った。


それにヒヨリが、頷いた。


 



見慣れた家の駐車場へ車を止め

エンジンを止める。


ユリは周囲を警戒しながら

ドアを開け、ヒヨリを降ろした。


「……マサル。」



マサルにユリが小さく声をかけると

マサルはぎごちなく動き

2人についてきた。


周りを警戒しながら

低い姿勢で実家の玄関を開けた。


「……お母さん?」


返事はなかった。

そのまま3人は中に入る。


家の中を見渡すと

特に荒れている様子はなかった。

それと同時に“人の気配”もなかったり


ふと、テーブルの上には目立つように

紙が一枚置いてある。


ユリが、手に取り

震える指で開いた。


「マサルくん、ユリ、ヒヨリへ」


見慣れた字で書いてあった。


「近くの学校に避難しました」



「ママ…じいじ達は?」


ヒヨリが心配そうにユリに声をかけた。


ユリはヒヨリに視線を向け


「大丈夫。じいじ達は近くの学校に避難したって!行こう!」


ヒヨリを安全させるように明るい口調で

答えた。


目的地を変えようと

玄関に向かったその時……



遠くからエンジン音が聞こえてくる。

徐々に近付いてくるようだった。



ユリが扉を開ける動作のまま

動きが止まった。


体を窓の方へ動かして

静かに外を覗き見た。



見覚えのある一台の車が

ユリ達の車の隣に止まっていた。


先ほどすれ違った車と似ている…

ユリは嫌な予感がして喉が渇いた。



その車から男たちが数人の男が降りてきた。



「血痕が付着している白いワンボックス、

報告と一致。」



ユリの呼吸が浅くなる。

ヒヨリに奥へ行くように

指で合図した。



近付いてくる足跡が

玄関の前で止まった。

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