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白のネクロマンサー ~死霊王への道~  作者: 秀文
第三章 クラン結成編

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ロレーヌ、盗賊ギルドで調べる

クラン加入メンバー視点。

暫くの間、更新が月、水、土の週三日を予定。

 今日のあたしは休息日である。五日間の狩りが終わって、あたしは盗賊Lv19まで上がっている。


 しかし、その事を喜んでいる暇は無い。あたしにはボスからの指令が出ているからだ……。


「ギルマス! 資料室を借りるよ!」


「おお、久しぶりじゃねえか。……ってか、資料室で何する気だ?」


 ここは盗賊ギルド。カウンターの奥にいるギルマスが、不思議そうにこちらを見ていた。


 50歳位のいかついオッサンだけど、面倒見は凄く良い。あたしの事も色々と気を使ってくれてるしね。


 何人かの先輩や職員が声を掛けて来る。


 だけど、それらは軽く手を振って無視。今のあたしには無駄な時間なんて無いんだから。


「資料室を使うんだから、調べ物をするんだよ! 他に何をするってのさ!」


「いやいや、ロレーヌが調べものって……何を調べるつもりなんだよ?」


 ギルマスは胡散臭そうに睨みつけて来る。何人かの職員も驚いた顔をしていた。


 あたしはそれらを纏めて一睨みする。


「海底洞窟の資料があるでしょ! 地下一階の魔物と、その素材について調べて来いって! あたしのボスは超スパルタなんだからね!」


「ああ、例の賢者様のお孫様って奴か……」


 ギルマスの目がスッと細められる。そして、あたしの肩をガシッと掴む。


 あたしはギョッとしてギルマスを見る。本当に時間が無いってのに、何をするつもりなのさ!?


「今日中に調べないといけないの! 本当に急がないといけないんだけど!?」


「調べものなら後で手伝ってやる。……だから、彼の情報をオレに寄こせ」


「はあっ……!?」


 ギルマスは何を考えてるんだろう?


 ただ、ギルマスは情報をまとめるのが得意だ。手伝ってくれるなら、海底洞窟の情報は何とかなりそうな気がしてきた。


 課題達成の目途が立ち、あたしの気持ちに余裕が生まれる。あたしはホッと一息付いて、肩をすくめて見せた。


「知ってる事なら話すけど、その代わり最後まで手伝ってよ?」


「ああ、彼の情報が手に入るんなら安いもんだ」


 ギルマスが人相の悪い顔でニヤリと笑う。初めて見る人なら殺されると勘違いしかねない笑顔だ。


 しかし、見慣れたあたしは怖がったりしない。むしろ、ボスの情報に高い価値を付けてるのが気になる。


「……そもそも、知りたい情報があるなら、自分で調べれば良いんじゃないの?」


「いや、調べたが碌な情報が出てきやしない。クラン事務局は情報を出さないし、クランハウスにはやたらガードの堅いメイドがいる。出身地の情報も隠されてるのか、まともな情報が出て来ない。そもそもが、これまで一切の情報が流れてないってのが不自然なんだよな……」


「ああ、それは確かにあたしも思った」


 賢者様の後継者なんて、この街の人間なら誰でも知りたがる。


 そして、知っていたら必ず周りに話す。それ位にこの街では重要な情報である。


 なのに、この街の誰も聞いた事が無いのだ。にも拘わらず、魔術師ギルドやクラン事務局は、簡単に身元確認を終えてしまった。


 その事を事前に知っていたかの様に……。


「もしかしたら、領主様か賢者様の意向なのかもしれん。そして、彼が成人したので、今後は後継者として、名を広めて行くつもりなのかもしれない。……その辺りで、彼から何か聞いてないか?」


「領主様の話は聞いた事が無いな……。あ、でも、賢者様は四年前に他界したって……!」


「ぶっほ……!?」


 突然、ギルマスが噴き出した。周りの職員もギョッとしている。


 そして、ギルマスはあたしの顔を鷲掴みにする。


「え、なに……!? すっごく痛いんだけど……!?」


「お前ら、今の情報は絶対に漏らすな! 漏らした奴はギルドから追放するからな!」


 ギルマスの指の隙間から、職員一同が頷くのが見える。


 全員がブンブン音が聞こえて来そうな程、大きな身振りで頷いていた。


 そして、ギルマスは手に力を込めて、あたしの事を引きずり出した。


「お前はこっちに来い! どんな情報が出るか怖くて、ここでは迂闊に話が出来ん!」


「い、痛い! すごく痛いから……!」


 涙目なあたしに構わず、ギルマスは奥へと進んで行く。


 そして、あたしはギルマスの職務室まで連行されてしまう。




「……それで、賢者様が亡くなったのは本当なのか?」


「うう、孤児院で院長先生に話してたから、本当の事とは思うけど……」


 あたしは痛む頭を抑えながら答える。ギルマスはあたしを睨みながら、何かを計算している。


「聞いたのがシスターなら、おかしな事にはならんか……。ちなみに、この事を他に喋って無いだろうな?」


「喋ってないよ。……っていうか、昨日までずっと海底洞窟に籠ってたし! クランメンバー以外の話し相手なんて、メイドのメアリーくらいしかいなかったよ!」


 よくよく考えると、本当に誰とも話してないな。船の船長さんとはボスが話すだけだし。


 屋敷に戻ってからは、疲れて外出なんて考えられない。お風呂に入って寝るだけが楽しみなんだよね。


 ……ああ、メアリーの朝食と夕食も楽しみの一つか。


 ボスの軽食やおやつも美味しいけど、やっぱり手の込んだ料理には勝てないからね。


「……おい、涎が出てるぞ。何を考えてる?」


「あ、気にしないで。屋敷の料理が美味しいってだけだから」


「そ、そうか……」


 ギルマスは頭を軽く抑え、盛大にため息を吐いた。


 そして、困った奴を見る目で、あたしの事を睨みつけて来る。


「それで、例の彼はどんな人物なんだ? 賢者様の後継者に相応しい能力なのか?」


「ボスはすっごく優しいよ。それでもって、すっごく怖い人だね。能力もすっごく高いよ」


「全然わからん。もう少し、具体的に頼む……」


 あたしの説明が不満らしい。不機嫌さを抑えてギルマスが睨んで来た。


 逆らっても良い事が無いので、あたしは大人しく詳しい説明を行う。


「えっと、妹のアンナちゃんを溺愛してるね。あ、血の繋がった妹では無いんだって。それで、怪我の一つも無い様に、常に側で守ってるの。それと、あたし達にも、すごく良くしてくれてるよ。美味しいご飯とお風呂が付いてて、お金や装備もくれてるしね。それに、孤児院に寄付もしてくれる事になったよ」


「ふむ……。続けてくれ……」


 ギルマスは難しい顔をしていた。ただ、理解は出来ているみたいで、説明を求められたりはしなかった。


 あたしは気を良くして説明を続けた。


「ただ、すっごく怖い時があるんだよね。アンナちゃんも怖いけど、ボスのはそれと違う怖さなんだよ。有無を言わせないって言うのかな? ボスが指示を出す時は、全部の逃げ道が塞がれてるの。それで、決められた道から逸れようとすると、ヒンヤリとした圧力が掛けられて逃げられないの」


「ふ、ふむ……。大丈夫、続けてくれ……」


 ギルマスの頭に汗が浮かんでいる。難しい顔をしているけど、大丈夫って言ってたよね?


 あたしは構わずに説明を続けた。


「それで、能力もすっごいよ。ボス自身は余り戦わないけど、それでも流石は賢者って感じだね。バリアで身を守ってくれるし、ルージュの怪我も治してるの。休憩中は魔物を倒してくれるし、魔物の素材回収も教えてくれたよ。ああ、それに五日間で全員をLv5も上げちゃったしね」


「……は?」


 ギルマスが唐突に固まってしまう。そして、沈黙が場を支配する。


 数十秒程の時間で、ギルマスは少しずつ回復し始める。


 そして、疑った視線でこちらを睨んで来た。


「いま、Lv5って言ったか? Lv1の間違いじゃ無く?」


「いやいや、間違いじゃないって! あたしのカードを見れば良いでしょ!」


 あたしはギルドカードを取り出す。そして、ギルマスに押し付けた。


 ギルマスは受け取ったギルドカードに視線を落とす。そして、眉間を押さえて俯いた。


「ああ、確かに五つ上がっている。六日前はLv14だった。オレが更新を確認したから間違い無い……」


「だから言ったでしょ!」


 あたしはギルマスからカードを返して貰う。


 すると、ギルマスはまた大きなため息を吐いた。


「それが普通じゃないってのは、流石のお前でもわかるよな? ……で、それはどうやってレベルを上げたんだ? 特別な儀式でも存在するのか?」


「儀式なんて無いよ。ただ、すっごく沢山の魔物を倒しただけだよ」


「沢山の魔物を倒す……?」


 ギルマスは悩んでこめかみを抑える。あたしはやれやれと肩を竦める。


「だから、一日に50匹とか倒しちゃうの! あたしが魔物を探して、ルージュが魔物を足止めして、アンナちゃんが魔物を倒すの! それで、毎日50匹以上倒してたら、それだけのレベルが上がったんだよ!」


「一日に50匹だと……。いや、ルージュとはハワード家の人間……。それに、彼の妹が後衛を務めたというなら……」


 ギルマスは何やら呟き始める。どうやら、あたしの話しを信じる気にはなったらしい。


 しかし、ふと顔を上げて、あたしに質問してきた。


「そういえば、もう一人武道家が入ったと聞いている。そいつは何をしているんだ?」


「ハスティールのこと? 彼なら後ろで踊ってるけど?」


「は……? 踊っている……?」


 あたしの説明に、ギルマスは目を丸くする。理解出来ない様子だけど、あたしも理解出来ないから仕方ない。


 ただ、何かのレベルを上げてるらしいんだけど……。


「舞踏家なのか……? いや、武道家ギルドで確認は取れているから、武道家では間違い無い……。まさか、武道家には隠されたスキルが存在するのか……?」


 混乱するギルマスを横目に、あたしは考えがまとめるのを待つ。こういう時のギルマスは、邪魔するとすごく怒るからだ。


 あたしとしては、早く終わらせたいんだけどな。課題が早く終われば、後は屋敷でゆっくり出来る。


 余裕があるなら、孤児院に顔を出しても良いだろうしね。


「……そういえば、ケトル村の事は何か聞いてないか?」


「ああ、ボスの育った村の事ね……」


 あたしはふうっと息を吐く。どうやら話はまだまだ続きそうだ。


 あたしは孤児院に顔を出すのを諦めて、ギルマスが納得するまで話しに付き合う事にした。

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