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白のネクロマンサー ~死霊王への道~  作者: 秀文
第十一章 レクイエム編

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アレク、凶報を受け取る

 ボク達はヴォルクスへ戻り、アンリエッタ達と別れた。そして、クランハウスへ続く通りを歩く。ヴォルクスの街は、いつも通りに平和な日常である。


 そして、クランハウスに到着し、中に入るとメリッサが待ち構えていた。彼女はかつて見た事が無い程の、苦痛に満ちた表情でボクに告げる。


「アレク様、緊急の知らせが御座います……。こちらへどうぞ……」


 メリッサの視線は、ボクの後ろのギルへと向く。どうやら、二人だけで聞いた方が良い内容みたいだ。


 ギリーやアンナ達には、各自の部屋へ戻る様に指示を出す。そして、ボクとギルは、メリッサを先頭にリビングへ向かう。


 リビングでは、既にメアリーがお茶の準備をしていた。しかし、その表情は姉同様に、とても堅い物であった……。


「まずは、お掛け下さい……」


 メリッサに促され、ボクはソファーへと腰掛ける。ギルは当然の如く、ボクの背後に控える。


 その様子を確認し、メリッサは口を開く。一瞬の躊躇の後に、小さく囁いた。


「……ユリウス様が、お亡くなりになられました」


「…………は?」


 その言葉の意味が、ボクには理解出来なかった。頭が真っ白になり、背後のギルへと視線を送る。ギルも同様に、口をポカンと開けていた。


 そして、そんなボク達に対して、メリッサは説明を続ける。


「心臓の発作との事です……。昨晩、お亡くなりになられ、今はまだ、情報が規制されている状況です……」


「亡く……なった……?」


 ヴォルクスの領主……。そして、アンリエッタとポルクの父親である、ユリウス=ペンドラゴンが亡くなった……?


 ほんの十日程前には元気な姿で、ボク達と会話していたというのに……?


「嘘……ですよね……?」


 その有り得ない知らせを、ボクは疑ってしまう。しかし、メリッサは苦しそうに首を振る。


 そして、その目がボクを見つめる。不安に揺れる、その眼差しで……。


「現在、領主業務を代行中の、フューズ様からお呼びが掛かっています……。国王や領民への報告前に、アレク様ともご相談したいとの事です……」


「そんな……バカな……」


 メリッサの目を見ればわかる。彼女は決して、嘘を言っていないと。


 一瞬、またユリウスさんの悪ふざけかとも思った。しかし、彼はその様な、悪質な嘘で騙す人では無い……。彼の嘘は、いつも人を喜ばせる物だった……。


 つまり、本当にユリウスさんが、亡くなったという事なのか……。


 ソファーの背もたれに、ボクは身体を投げ出す。そして、この先に待つ展開に思考を巡らす。


 このヴォルクスは……いや、ペンドラゴン王国は、ユリウスさんのお陰で、帝国への備えが出来ている。


 ユリウスさんが亡くなったら、それはどの程度の影響となる……? 私兵団はすぐに機能停止しないだろうが、その機能はどこまで維持される……?


 それに、ポルクやアンリエッタはどうなる……? ユリウスさんが領主で無くなれば、二人は城に出入り出来なくなるのか……?


 更に、領主の死を知った領民はどう思う……? 爺ちゃんの死すらも、まだ知らされていないと言うのに…‥。


 いや、違う……。それ以前に――


「次の領主は……どうなるんだ……?」


 ボクはポツリと呟く。答えのわかりきった、その質問を……。


 そして、背後から答えが返る。とても、苦しそうな声で……。


「長男である、アベル様が……お継ぎになる手筈かと……」


 それは、そうだろう……。ユリウスさんが、こういう事態を想定して無いはずがない……。


 ユリウスさんは、ポルクとアンリエッタに『銀の翼竜』を与えた。つまり、次期領主は、内々で長男に決まっていたはずなのだ……。


 ボクの胸に不安が広がる。メリッサの瞳から伝わった感情が、ようやくボクにも理解出来た……。


 この不安定な情勢の中で、ヴォルクス領主の死が、どれ程のインパクトを持つのか……。そして、人々を導く存在を欠いた事で、このヴォルクスはどこへ向かう事になるのか……。


 ヴォルクスの……そして、この国の未来は、どうなってしまうのだろうか……?


 その明るくない未来を憂い、ボクはじっと迎えの馬車を待ち続けた……。

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