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白のネクロマンサー ~死霊王への道~  作者: 秀文
第九章 ヴァーム砦防衛戦編

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アレク、元凶を探る

 現在、ボクとギリーとギル。それに、ユリウスさんと、その護衛二名で砦内を駆け回っていた。『黒死病ペスト』発生の元凶を見つける為に。


 そして、本当ならユリウスさんの同行は、避けるべきだと思う。悪魔や帝国兵と遭遇した際に、とても危険だからである。


 しかし、ユリウスさんは同行を望んだ。自分の腕に自信がある事と、今の砦内ではどこも危険だから。そして、一番安全な場所は、ボクの側だとも言い……。


 ……フットワークが軽いというか、即断即決と言うか。護衛の人達も、苦笑を浮かべて何も言わなかったし、そういう人だと言う事なのだろう。


「む……? アレク、あそこを見ろ……」


「え……?」


 ギリーの声に従い、ボクは窓から外を眺める。すると、そこでは戦闘が行われていた。相手はレッサー・デーモンで、砦に務める兵士が戦っている。


 悪魔は低位のレッサー・デーモン。とはいえ、兵士の側は『黒死病ペスト』に掛かっているみたいだ。その為、本来の実力が出せずに劣勢な状況にあった。


 そして、ボクは思わず眉を顰める。悪魔と兵士の位置取りに気付いて。


 悪魔が砦側に複数立ち、その出口で兵士達が立ち向かっている。それはつまり、悪魔達が砦の中から現れたという事になる。この悪魔達は、外からの襲撃では無いという事だ……。


「アレク君、既に砦内は悪魔だらけの様だな……」


 ユリウスさんの声に、ボクは振り返る。そして、彼の視線を追うと、そこでも戦闘が行われていた。複数の悪魔と、砦の兵士達で……。


「ディスペル」


 ボクは目の前で戦う兵士に、デバフ解除の魔法を使う。剣を持って戦う彼の顔に、黒い斑点が見えた為だ。


「あ、ありがとう御座います!」


 驚いた表情を浮かべるが、瞬時に状況を察したらしい。彼は弱体化状態を抜け出し、目の前の悪魔との戦闘に戻る。兵士は上級職の聖騎士みたいだし、レッサー・デーモンなら後は任せて問題無いだろう。


 続けて僕は、見える範囲の全兵士に『ディスペル』を掛けて回る。どうやら、全員が『黒死病ペスト』の抵抗レジストに失敗し、デバフを受けているみたいだった。


「妙だな……?」


「どうかしたかね……?」


 ボクの呟きに、ユリウスさんが反応する。その目は真剣で、ボクの言葉を待っていた。


 ユリウスさんに対して、ボクは感じた違和感を口にする。


「今の所、全員が『黒死病ペスト』に掛かっています……。このデバフは、そこまで成功率が高くないはず……。魔法抵抗力の高い、聖騎士すら抵抗レジスト出来ていないなんて……」


「ん……? それは、どういう事なのかね……?」


 悪魔、呪術師系の知識が乏しいからだろう。ユリウスさんは、ボクの言いたい事を理解出来ないみたいだった。


 その為、ボクは続けて、違和感について考察を続ける。


「ボク達は六人……。そして、目撃した兵士は十人程……。偶然にしては、出来過ぎています……。これではまるで、確率を操作されているみたいな……」


「確率を操作……?」


 ユリウスさんは、眉を寄せて難しい顔をしている。どうやら、考察に集中する余り、ゲーム寄りな説明をしてしまったみたいだ……。


 なので、ボクは軽く咳ばらいをし、ユリウスさんに伝わる様に言い直す。


「恐らく、『黒死病ペスト』に掛かりやすい様に、何らかの補助効果が働いていますね。『黒死病ペスト』の効果を高めるか、逆にボク達の魔法抵抗力を下げるか……」


「そんな事が可能なのかね……?」


 ユリウスさんは、再びボクに訊ねる。この辺りも、やはり理解出来ないか……。


 レイドボスや攻城戦をプレイするなら、必須の知識だったんだけどね……。


「魔法抵抗力を下げるには、悪魔や奈落童子スポーンの能力が代表的です。しかし、その効果範囲は狭く、隠れて全員に掛ける事は出来ないでしょう……」


「なら、『黒死病ペスト』の効果を高める方は?」


 ユリウスさんの瞳が、ジッとボクを見つめる。ボクはその視線に、頷きを返す。


「今の状況を可能にする能力に、一つだけ心当たりがあります。それは、疫病王プラグ・ロードと言う悪魔の、爛れた波動(プラグ・フィールド)というスキルです……」


疫病王プラグ・ロード……?」


 疫病王プラグ・ロードは、高難易度ダンジョンの最奥に生息するボス。この世界ではミスリル級クランの実力が無ければ、、挑む事が難しい場所に存在している。


 しかも、そのダンジョンは、カーズ帝国の領内に存在する。この国の殆どの人間が、疫病王プラグ・ロードの名前さえ知らないだろう。


 しかし、『ディスガルド戦記』のプレイヤー……。それも、攻城戦に参加する者達にとっては、有名な悪魔の一体である。


 何故なら、攻城戦の防衛に、良く利用されていたからだ。悪魔術士デビル・サマナーによって、召喚されて……。


「まさか、居るのか……?」


 ボクの脳裏には、かつて対峙した一人の少女の姿が浮かぶ。黒目、黒髪を持つ少女。そして、ボクへの悪意をむき出しにした少女……。


 ――彼女の名はゼロ。高位の悪魔術士デビル・サマナーだ。彼女であれば、疫病王プラグ・ロードを召喚出来る可能性がある。


 ボクは嫌な予感を感じながら、元凶の調査に戻るのだった……。

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