エピローグ
六十話
その後、カンミア砂漠の戦線は連合国側が優勢となった。
キーア側に控えていたウィザードが、何者かに殺害されたことにより生じた混乱に連合国が上手くつけいり、戦線の補給基地を占領。より多くの部隊を送ることが可能となった。
対して、キーア国は早急に基地を奪還しようとウィザードを送るが、道中『影鬼』の襲撃を受けウィザードが戦死。度重なるウィザードの損失により戦線を押し上げられ、砂漠の端に絶対防衛ラインを引くはめとなる。
膠着状態を抜けたことにより戦闘は激化。さらに、状況を見計らった帝国までが援軍を出し、三か国間の戦争は、過去類を見ない激しい物になっていく。
大陸全土で繰り広げられるこの戦争を、人々は『中央戦争』と呼ぶようになった。
◆キーア暦144 2月26日◆
「ふう」
イスカの一件から二週間。トリストの町で、ウィルは昼食を取っていた。
「やっぱり、ここのトーストは絶品だ」
場所はマリオ喫茶店。事件の痕跡が残り、窓も割れたままだが、店は営業を再開していた。
「…何も残らない、か」
ふと、リビアの言葉を思い出す。
リビアはウィルと非常に似た人間だった。自身を常に最高の優先順位につけ、そのためだけに行動する。それだけに、彼女の言葉はウィルの内に残っていた。
(何も残らなくたっていい。少なくとも、今の俺はそう思ってる。でも、リビアはそれを後悔すると言った。なら俺もいずれ…)
そこまできて、ウィルは考えるのを止めた。
(ごちゃごちゃ考えるのはやめだ。どうせ答えなんて出やしない)
コーヒーを飲み干し、立ち上がる。その時、足元に当たるものがあった。テーブルの下を見てみると、見慣れた白いマフラーの少女が、いつかのように座っている。
『ーウィルは死なないからー』
『ーシズネの勘には答えてみせるよー』
(…そうだったな。俺は…)
ウィルは少女に手を差し出す。
「おごってやってもいいぞ。ただし、肉以外でな」
「…懐の狭い人間だね」
少女は不満そうな表情を浮かべながら、ウィルの手をとるのだった。
第一章 前水の陣〈完〉
第一章完結!!
まさか書ききれるとはおもってもみませんでした。後半は完全に息切れしてましたし、文も雑になってましたが…。あと、シズネとリビアはもっとデレても良かったですね。
ともかく、なんとか書き終り、二章突入!
一章は主にウィルの人柄について描きましたが、二章では周りの人物、具体的にはシズネやマックス、そして万をきしての登場、エリエッタなどに重点を置きます。新しいキャラクター、影鬼とサムライ、カノンも登場。この二章でいわゆる人物紹介が終わり、三章より物語が加速していきます。
最後になりましたが、ここまで読んで下さった方々、ありがとうございます。これからも力筆しますので、第二章 飛んで火に入る砂漠の虫 にも、ご期待ください!




