No.5 神に会って
長いです。
そこは、異様な部屋だった。床も壁も天井も白く何一つ置かれていない。いやどこが壁か床さえ分からない。そのせいか広さが分からない。目の前に壁があると言われればそう思ってしまうだろうし、100人の人族が入ってもまだ余裕があると言われればそう思える。窓や照明器具もないが周りが見える。光がない状況でである。
その部屋にカルテラス王と四人の女性がいた。勇者が召喚された部屋にもいた者達だ。何も話さずただ何かが来るのをじっ待っているようで王の横で一列に並んでいる。
少し経つと右側に異変が起こった。どうやらそこにドアがあるらしい。ウォーラタと少年が入って来る。ウォーラタは少年を四人の側に連れていきそこにいるように言う。そして皆の前にいき、
「では、これより主が降りられます。
皆様、この魔法薬をお飲み下さい。」
ウォーラタがそう言って淡く光る灰色の液体が入ったビンを皆に配る。
「これは自分の魔力を主の魔力と同調させる物です。
主は大量の魔力と一緒に降りられます。
主とほぼ同じ質の私と勇者様は大丈夫ですが皆様は、主の魔力に潰される恐れがあります。
効力は一時間ですので自我を失う事はありません。
ご安心ください。」
そうウォーラタに説明されカルテラス王と四人は魔法薬を飲む。
余談だが周りと自分の魔力がほぼ同じという状況は極めて危険である。この時周りと自分の魔力の境目が曖昧となり心が周りに出ていってしまう事があるのである。その結果、心を失った生きた屍と成り果ててしまう。自然に漂う魔力は色々な属性が混じっているため非常に稀な現象である。その為一般ではあまり知られていない。発生した例では単一属性で多大な魔力を使う魔法を発動する直前で失敗した時ぐらいだろうか。魔法を発動する直前に失敗するとその魔法に使われる筈の魔力が属性のある魔力に変わり使用者の周りに漂うのだ。ウォーラタは皆のビンを回収し王の左に立つと空気が重くなった。何かに上下左右から押されるような圧迫感を感じたのである。そして目の前に女の子が現れた。10ぐらいの歳でカルテラス王の半分くらいの身長で床につく程の白いローブを着ている。髪は綺麗な朱色で今まで切った事がないのか自分の背丈と同じ位、顔は綺麗な紅の瞳、小さな鼻、ぷっくりとした唇、卵のような白くスベスベな肌、成長すれば老若男女が揃って美人だと答えると考えられる程整っている。自信に満ち溢れる表情をして偉そうに踏ん反り返り目の前の者を見回し、
『我が名はルクマス。世界の創造と破壊を担う者。そなた等の名を答えよ!』
可愛い声を精一杯低くして問う。
「口伝之巫女、ウォーラタ・サマタ。」
「カトリシア王国国王、カルテラス=モッド・カトリシア。」
ウォーラタとカルテラス王が肩書きと名を名乗る。
「カリス・バーシャンク。」
他四人の中で一番背が高く女にしては低い声で名乗る。美人より麗人と表現する方が似合う顔立ちで長い金髪を後ろで括っている。藍色の瞳が印象的で体はすらりとしているが出るところはでている。つまり胸が大きいのである。
「サディ・メイロート。」
燃えるような赤く短い髪と黄色い瞳が特徴的な野生児のような少女が名乗る。声には少し幼さの感じられやや高い。平均的な身長で褐色である。つり目のせいか顔はやや怒ったような雰囲気がある。胸は大きい方だろう。四人の中では目立たないかもしれないが仕方ないだろう。
「エトクリナ・ライ。」
サディと同じくらいの身長の少女が平坦で落ち着いた声で名乗る。長い青髪を一つに纏めて肩から男の目を奪う程の大きな胸にかけている。カリスよりも大きいだろう。顔は眠たげで何も考えていないように感じられる。
「ミル・ロニー。」
四人の中で一番背が低い少女が硬くて高い声で名乗る。顔は幼い。薄く白のかかった桃色の髪をツインテールにしている。興奮しているのか頰を赤くしている。胸はMANAITAであるが気にしてはいけない。
「ルクマス様、この方は勇者様です。
状態異常持ちで私にはどのような物か分かりませんでした。視てもらえますか?」
『ぬ、そうなのか。
分かった、視てみよう。』
とルクマスが少年に近付いて顔をじっと見つめる。少し高いぐらいなので少しだけつま先をするルクマス。少年はそれを見ずにただ真っ直ぐ前を向いて何の反応もせず黙っている。ルクマスは魔法の言葉を唱えた。
【ステータス】
【アルカナ】情報
カルテラス王 190cm
ウォーラタ 165cm
ルクマス 95cm
カリス 210cm
サディ 160cm
エトクリナ 160cm
ミル 140cm
少年 110cm
ぐらいです。




