第48話 再びあのパーティーと出会うまで!
「ええ、ありがとうございます。 役に立ちました」
俺は笑ってローラに返す。 するとローラは若いっていいねぇと笑い返す。
最初の雰囲気はともかく俺はこの店主結構好きかもしれない。
もちろん人としてである。
俺とイヴはカルバン商店を後にし、約束の集合場所に向かった。
集合場所にしていたギルド前にはすでにルナとティアラの姿があった。
「遅いよ! ソウタ!」
「遅いったって時間通りだろ? それよりお前らはいいもの買えたのか?」
「そりゃ大量だよ! あれだけの報酬があれば上級魔法の魔法液もたくさん買えるし、これ見てよ! 魔法道具も買っちゃった」
とルナは自分の耳を見せてくる。 そこにはルナの目の色とと同じ綺麗な翡翠色のイアリングが光っていた。
「おお、 それするとなんか変わるのか?」
「魔法の次打つまでの時間が縮まるんだよ。 ねぇどう?」
「どうって、何が?」
はぁ、とため息をつくルナ。
ていうかティアラまでなんなんだ?
「なんとなくこの展開は予想できました。 なんでしょう。 だんだんルナさんが可哀想になってきました」
「いいの、ティアラちゃん。 私が悪いのよ。 初めてあった時が肝心、これ私からの教訓ね」
「ルナさん、深いです。 とても3個上だとは思えません」
なんだろ。 2人で盛り上がり始めてしまった。 なんだかわからず立ちすくんでいるとイヴが2人に気づかれないように耳打ちをする。
「恐らくはイアリングが似合ってるかどうか、またはイアリングの効果がすごいかどうかなのでは? 私はまだ人間の感情を全て把握したわけではないので判断しがたいですが、どちらも言っておくのが無難なのでは?」
なるほど。 俺はどちらを選ぶわけでもなく、イヴに言われた通りどちらも言うことにした。 怒られて殴られるのはごめんだし、手堅くいこう。
「まぁそのなんだ、魔法がバンバン打てるようになって戦力強化もできてよかったじゃないか! それに、うん! よく見たら超似合ってるよ! 魔法使いでもそこらへんのじーちゃん、ばぁーちゃんがつけるよりやっぱ可愛い子がつけるのがいいねぇ。 思わず惚れるかと思った… ぶへらっ!」
ゆでダコのように真っ赤になったルナに思いっきり殴られた。 さすがに大げさにやりすぎて怒らせてしまったか。
俺を殴ったルナは尋常じゃない速さでそのまま走り去ってしまった。
「ルナさん! 待ってください! それと殴っちゃダメじゃないですか」
ティアラはルナを追いかけていく。
残ったのは通行人から白い目で見られる男と
「どちらもダメでしたね。 やはり人間の感情というものは難しいです」
倒れた男にハンカチを渡す少女の姿のみだった。
するとギルドの扉が開き、連合パーティのリーダーのレオが出てきた。 とはいえあの洞窟に潜る時だけの連合だったので今は普通の6人ほどのパーティである。
「また、君は何をやってるんだ?」
レオは呆れ顔でそういった。 ちょっとイラッとしたがここで何やってんだはその通りなので先ほどあったことを話すとパーティの回復役の人に言って『治療』の魔法をかけてくれた。 そして、
「君はもう少し女心というものを考えたく方がいいかもよ。 でないと命を落としかねないよ」
と言って行ってしまった。 どうやら彼らはこれから夜に畑を荒らす魔物の討伐クエストに行くらしい。 (あの魔法使いの女の子に聞いた)
「ちょっと待ってくれ!」
俺はレオたちのパーティを追いかけた。
「なんだい? まだ僕たちにまだ何かようがあるのかい?」
「その討伐クエスト、俺もついていっていいか? 報酬はいらないからさ」
魔物の討伐クエストならちょうどこの刀の試し切りしたいし、何よりこの低いレベルを少しでもあげるのにちょうどいい。 これで1レベルくらい上がってくれれば御の字だ。 俺は事情を話し再度レオに頼む。
「つまり秘密の特訓みたいな形にしたいんだね。 まぁ君には助けてもらった恩があるし、パーティのためにレベルを上げようとするのはいいことだ。 うん、いいよ。 他のみんなは大丈夫?」
レオはパーティの他のメンバーにも了承を得るため聞く。 他のメンバーも俺の同行に賛成してくれた。
「それじゃあようこそ。 黄金の獅子団へ。 ソウタくん」
「というわけだからイヴ、帰りが遅くなるって2人には言っておいてくれ」
「了解しました」
イヴはそう言って宿の方へ行った。
「それじゃあ、改めまして。 ハヤカワ ソウタです。一応見た目通りメインは剣士としてやってます。 よろしくお願いいます!」
本当は職業ないんだけど、適当にウソをついておく。
すると見覚えのある魔法使い風の女の子が自己紹介していく。
「よろしくソウタ。 それじゃあ私から自己紹介するね。 洞窟の中ではお世話になりました! えへへ、チナツです。 職業は魔法使いです。 あとこの背の一番小さい子がアル、この子も魔法使いなんだけど元盗賊やっててどちらかというと補助系統の魔法が得意なんだよ。 そしてそっちのメガネが弓兵をやってるハース。 で、そこのデカいおっさんがデック、職業は武闘家。 あと私とあともう1人いる女の子がアリッサ彼女は騎士なんだけども回復魔法が得意で主にうちのパーティの回復役をやってるよ。 それで最後にうちらの団長、レオ。 これで全員だよ」
「ありがとう、チナツ。 みんなよろしく!」
簡単に自己紹介を済ませ、俺はレオのパーティと一緒に畑に出る魔物の討伐に向かった。
今回のクエストの場所はベルンの街からそう遠くない農村を魔物から守るのが仕事らしい。 なんでも最近夜になると畑の農作物を狙って魔物が大量に押し寄せるらしい。 これを駆除してくれ、というのが今回のクエスト内容であるということを行く道の途中で聞かされた。
「それにしてもソウタ。 お前の剣はやけに細いよな。 そんなんでまともに戦えるのか? 俺のヘビー・アックスとまではいかないがもうちょっと頑丈そうなのでもいいんじゃないか?」
デックが自分の背中に背負っている大きな斧を掲げ俺に見せつけてくる。
するとフンっと一瞥し、アリッサがベックにいう。
「バカめ。 剣はデカくて重ければいいというものではない。 それにしてもその剣。 いい剣だな。 見せてくれないか?」
そういうので俺はアリッサに刀を渡す。 そうとすると、アリッサの指は突然現れた刀を覆う光の膜に弾かれてしまう。
「へぇー、 ソウタにぃすごいよ。 ものすごいお宝だよ、その剣。 元盗賊の俺が言うんだから間違いない! きっとその剣はその剣が認めた人以外使えないっていうやつだろうね。 アリねぇ残念」
このパーティでも一番年下のアルが目を輝かせながら俺の刀を見る。
やっぱローラが言ってた通り本当に伝説の剣なんだなー。
「ほら、おしゃべりもここまでだ。 もう直ぐ着くぞ」
レオは引率の先生のように俺の刀で盛り上がるパーティのメンバーにいう。すると村の入り口で老人が出迎えてくれた。
「お待ちしておりました、 みなさん。 私がこの村の村長です。 魔物は夜遅く出るのでそれまで私の家でゆっくりしていってください」
と俺たちは村長の家に案内され、夕飯をご馳走になり、来る魔物襲来に備え各々準備を整えるのであった。
夜もすっかり深くなり、あたりは農村特有の虫の声以外聞こえない静けさに包まれていた。
「ふぁ〜、魔物こないね」
チナツはのあくびにみんなの緊張の糸が少し緩んだ。
「確かにね。 ここまで遅いものなか?」
「チナツ、ソウタくん。気を張り詰めすぎるのもダメだけどあまり緊張感なさすぎるのもダメだよ」
とレオに注意される。
すると矢の手入れをしていたハースがピクッと何かの気配を感じたのか窓の外を見る。
「どうしたの? ハース」
アリッサがハースに聞く。
「…来る」
そう言ってハースは外へ飛び出して行った。 そのあとにみんな続いて出て行った。
俺たちはハースを追いかけて、畑の方へ向かう。 ハースはというと農具小屋の影で畑の様子を伺っていた。 俺らもそれにならい、小屋の影から様子を伺う。 月明かり以外照らすものは何もない畑、それに隣接するくらい森の中に何か動く影がわかった。 さらにそれはギラギラと目を光らせ畑を見ている。
「ようやくお出ましか。 待ってたぜ!」
デックは戦闘体制に入り、飛び出そうとする。
「待った。 奴らが森から出るのを待とう。 さすがにあんな暗闇より月明かりのあるところで戦おう」
飛び出そうとするデックを止めるレオ。 さすがリーダーだな俺も見習いたいところだ。 イケメンゆえの気に触るところ以外は。
しばらくすると森の中から獣の咆哮が聞こえ、それを合図にイノシシのような魔物の群れが一斉に飛び出してきた。
「それじゃあみんないくぞ! 俺とデックとアリッサ、そしてソウタくんは前衛であいつらを畑に近づけさせないように足止め、 ハースとアルは前衛の支援、 チナツは俺たちが魔物を一箇所に誘導するからそこに魔法を叩き込め!」
「「「「「了解!」」」」」
さすがのチーム連携である。 俺は向かってくるイノシシの群れを新調した刀で斬っていく。 これが面白いようにバッサバッサ切れていく。 すげー斬れ味だな、この刀。 そりゃー勇者として世界に蔓延る戦争を終わらせらるや。
しかしただ魔物を斬っていくわけじゃない。 俺はレオに言われた通りあらかじめ伝えられた作戦の通り魔物たちを誘導する。
「団長! 準備できたよ!」
チナツの声が響く。
それを合図に魔物を一箇所に誘導したパーティのメンバーは一気にその場から離れた。 そして、
『断罪の業火!!!!』
一箇所にまとまった魔物の群れの頭上に大きな炎の玉ができ、それがまっすぐ魔物の群れに落ちる。
そして悲鳴とともに大量のイノシシが炎に焼かれた。
「ふぅ、なんとかクエストクリアみたいだね。 みんな、お疲れ!」
「どうだ! 俺のヘビー・アックスは? やっぱ細い刀よりこっちの方が多く魔物のを狩れるぜ!」
「これだから脳筋は… ベックお前何匹か取り逃がしてただろ。 アルが仕留めてたぞ。感謝しておけ。 それにしてもソウタは見事な剣さばきだったぞ。 それでまだ低レベルなのは信じがたい」
「いえいえ、そんな… アリッサさんもすごかったですよ!」
「やっぱ僕の見立てに間違いはなかったね」
「ねぇ! 私の魔法は? 最後のドカーンって ねぇ! 聞いて! 私も褒めて!」
みんな思い思いに盛り上がっているが、ハースだけはまだ森の方をジッと睨んだままである。 そんな様子に気づいたレオがハースに声をかける。
「どうしたんだ、ハース? まだ森に何かいるのか?」
「デカいのがいる。 さっきの一番最初に聞こえた咆哮の主」
そう言ってハースは弓矢を構え
『暗視』
と暗闇を見れる魔法を唱え、暗い森の中にいる何かに向かって矢を放った!
すると森の中から大きな咆哮が聞こえ、何か大きなものが走ってこちらへ来るような足音が静かな畑に響く!
俺たちは驚愕する。 それは木々をなぎ倒し俺たちの前に現れた。
全身を赤黒いヒルのようなもので覆われた。デカい魔物のが…
魔物の右目には矢が刺さっており、魔物のは大変ご立腹のようだ。
「なに! あれ!?」
チナツはパニック寸前だ。
するとハースが何かを察したのか、みんなに叫ぶ!
「よけろ!!」
それと同時に魔物の咆哮とともに身体を覆っていたヒルがあちこちへ飛ぶ。
みんなハースの言葉に弾かれて避けたのだが、飛び散ったヒルが当たった木々や草はまるで腐ったように枯れていった。
「おい! あれに当たったらまずいぞ!」
「ねぇ見て、あれ!」
アルが魔物を指差す。 ヒルのようなものが飛び散った本体はなんと先ほど倒したイノシシの何倍はあろうかというデカいイノシシだった。
そして飛び散ったヒルのようなものは続々と大きなイノシシの元へ戻り再びその巨体を覆う。
なんというか見覚えがある敵が来たもんだなー。 これ完全にた○り神じゃん。 倒せんのか? これ?




