第42話 3人目が仲間になるまで!
「ぃった…」
朝の目覚めは最悪だった。
どうやら悪酔いをしたらしく頭をガンガンと殴られるような痛みに襲われる。
とりあえず水飲んでからシャワー浴びよう。
そう思い重い身体を起こそうとする。
そこで俺は違和感を覚える。
あれ?
俺掛け布団なんてかけて寝たっけ?
どうやらお酒のせいで記憶がこんがらがっているらしい。
こりゃ今度はもう少し加減しないとな、身体にもお財布にも優しくない。
「何するにしてもとりあえず起きないとな…」
俺は下の受付で水を購入するため布団をはいで行こうとすると
「… あれ? おかしいなまだアルコールが抜けてないのかな。 幻覚が見える」
布団をはいでみると足元に丸まって寝ている着衣の乱れたイヴの姿があった。
「っんん、…おはようございます。 ソウタ様」
「!!!???」
幻覚ではなかった。
お、落ち着けハヤカワ ソウタ!
クールになれ!
状況を整理しよう。
ルナと酔っ払って帰ってきたことは覚えている。
ただどうしてもその先のことが思い出せない。
あれ? 俺、そのまま寝たよね?
そんな一線超えてないよね?
てか、超えてたら犯罪だよ? イヴなんて見た目も歳も確実にアウトだよ!?
酔いも覚めるほど頭の中がクリアになる。 いや、血の気が引きどんどんと熱が持ってかれていくことによってそうなってるのであろうが…
「ソウタ様、どうされたのですか? 身体のどこか悪いのですか?」
とイヴは丸まった体制から四つん這いの体勢になり俺を覗き込む。
ちょっとまて!
その体制は見える! 見えてしまう!!
冷めかけていた頭に今度は一気に血がのぼる。
「い、いや、ちょっと飲みすぎて頭が痛いだけ、大丈夫!」
「そうなのですか? だから昨日の夜はあんなになっていたのですね。人間にはハメを外すという行為が大切だとは教わりましたが、体調管理にはご注意を」
そう言いイヴはすわり直す。
今なんと?
昨日の夜はあんなにって、どんなに!?
俺の心臓はすでに破裂しそうなほどバクバクと音を立てている。
頼む!何事も起きていませんように!
「へぇ、お、俺お酒のせいであまり覚えていないんだけど、 どんなになってたんだ?」
おれは声が上ずりながらも恐る恐る聞いてみる。
するとイヴはなんのためらいもなく答えてくれる。
「はい。 昨日のソウタ様は激しいのなんの、お陰で傷や痣だらけです」
どんだけ激しいことしたんだ!?
もはや執行猶予もつかない、即実刑レベルの犯罪だよ!
唐突だが、不幸は連鎖するということは諺にもあるようにはるか昔から知られていた。なんで急にこんな話をしたかといえば、今の俺も過去の先人の例にもれず、厄介ごとの上にさらに厄介ごとが舞い込んできたのだ。
「…ソウタさん? 何をやっているのですか?」
声のする方をみる。
するとドアの前にティアラの姿を確認する。
「いや、て、ティアラ、これは、違うんだ。 いや、違うこともないかもしれない可能性が微レ存だけども! 違うだ!」
自分でも何を言っているのかわからなかったが、なんとか身の潔白を主張する。
俺が頑張ってわぁわぁ騒いでいる間にも、みるみる部屋の温度が下がっているように感じるのは気のせいではないだろう。
ふとティアラを見るとまるで汚いゴミを見るような目でこちらを見ている。
そして彼女の怒りのボルテージが上がっているようにも思える。
「まさか、ちょっとえっちな人だなとは思ってましたけど、こんな小さい子まで… 憲兵に突き出します!」
ちょっとえっちな人だと思われてたのか俺…
なかなかにショックだな…
ティアラはそういうとイヴを自分の方へ引っ張り、もう大丈夫だからねと声をかけている。
そしてこちらをにらみ、
「さぁ、私もついてってあげますから、罪を償いましょう」
「まて! ティアラ! 話せばわかる」
「問答無用です! お覚悟ください!」
「よくはわかりませんが、これがマスターの言ってた修羅場、しかもそのクライマックスというわけですね。 なるほど、確かにこれは見てるぶんには楽しいですね」
などのんきなことをいうイヴ。
「おい、 お前もティアラに説明してやってくれ! 何も起こってないだろ? そうだろ? そうだといってくれ!」
俺は頭を抱え、懇願にも近い形でイヴに詰め寄ろうとするもティアラがイヴをかくまうように自分の後ろへ隠し、明らかにこちらを警戒している。
俺の株、大暴落だな。
もともとどれくらいかはわからないが…
そこまで見ていたイヴがやれやれといった感じでティアラの後ろから出てきて
「ご心配には及びません、ソウタ様。 あなたが想像しているようなことは起きてません。 この傷はここに来るまでに魔物との戦闘でついたものです。 痣に関してはソウタ様の寝相が悪く、それは激しいもので、何回か殴られました」
とイヴは俺のこと身の潔白を証明してくれる。 いや、痣に関しては申し訳なさいっぱいだし、ティアラに何言われても仕方ないんだけど…
ただ、まだティアラは疑いの目を向けている。どうやら信頼回復には時間がかかりそうだ。
「ティアラ様。 無用なご心配をお掛けして申し訳ありません。 私はマスターの命令でこれからのソウタ様のサポートを仰せつかりました。 これからよろしくお願いします」
イヴはティアラの方を振り返りぺこりと頭をさげる。
前でイヴが説明し始めたので、ティアラの意識が俺からイヴへ移った。
そしてティアラはイヴにティアラの立場だったら当然思っていた疑問を聞く。
「確か、ソウタさんが行方不明になってこの街に帰ってきたときにも一緒にいましたがあなたは何者なんですか?」
「はい。 私は『人造天使創造計画』によって作られた。検体番号052、検体名『イヴ』です。 先日は私のマスターの探索をソウタ様に依頼、発見にご協力いただきました」
「『人造天使』? じゃああなたはこの騒動の生き残り…」
「ティアラそれには理由があって!」
ティアラがイヴに対して警戒心を強めたので、俺は慌てて事情を説明する。 もちろん全部本当のことを話すのはまずそうなのでそういったところを掻い摘んでティアラに話した。
「つまり、この娘はこの街で暴れていた『人造天使とは違ってむしろ私たちに協力してこの騒動を止めようとしてくれていたということですか?」
「そうなんだよ。 で、俺たちはあの時見つけ出したこいつのマスターと一緒に『人造天使』に指令しているところを止めに行ったんだよ。 だからこいつは大丈夫だよ。 それにでも出してないから!」
ティアラはうーんと考え込んだもののやがてわかりました。 と信じてくれた。
「確かに『人造生命体』にしては人間っぽいような気がします。 それでイヴさんはなぜここにいるのですか? 先ほどソウタさんのサポートだとかいってましたけど?」
ティアラの疑問は俺も思っていた。
イヴはその疑問にも丁寧に答えてくれる。
「私はソウタ様の今後の旅に同行します。 端的に言うならソウタ様やティアラ様のいるパーティのメンバーとなります」
えっ!? 聞いてないんだけどそんなの!?
俺だけでなくティアラもびっくりしているようだ。
「なんで? 俺のとこに!? ミーナはどうするんだよ?」
「今回の騒動は『戦争屋』が関わっていました。 そして彼らは想像以上に強力です。 そして彼らは今回『人造天使』を狙っていました。 私も同じ『人造天使』、いつ『戦争屋』に狙われるかわかりません。 ゆえにマスターは無力な自分のところへいるよりソウタ様のパーティにに入って旅をする方が安全と判断。 それが私が現在ここにいる理由です」
ティアラは『戦争屋』という言葉に顔を曇らす。
ティアラにとっては確かに思い出のいい相手ではないだろう。
「ゆえにソウタ様、 私をパーティに加えるご許可を」
イヴは俺にそういう。
まぁ事情はわかったが(自分が『戦争屋』の的にされたみたいになってるけど…)、俺1人だけでは決められないとこもある。
俺はとりあえず隣にいるティアラに聞いてみる。
「だそうなのだが、ティアラどうだ?」
「はい事情はわかりました。 私たちのパーティでイヴさんを保護しましょう。 ですが、『戦争屋』… またあいつらが関わっていたなんて…!」
親父さんを斬られたんだからそういう反応にはなるか。だが、まぁティアラの承諾は得た。あとはルナだけか。
俺はティアラと一緒に隣の部屋にいるルナの部屋にいった。
ルナは特に二日酔いで苦しんでる様子はなく理由を聞いてみたのだが、どうやら回復魔法を使ったそうだ。
あの魔法、二日酔いも治せるのか…
俺は最悪の酔い覚ましを思い出しつつ、ルナにも事情を説明した。
「イヴちゃん! 大歓迎だよ! もし困ったことがあったら私にいってね!」
と涙しながら承諾してくれた。
こっちは単純というかなんというか…
こうして新たな仲間が俺らのパーティに入ったのであった。




