表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/114

第37話 世界の状況を知るまで!

背が高く白髪で赤い眼、なんというかイヴを大人にしたような見た目の女性だった。

しかし、ガブリエルといったか?

ってことは



「なにここ。 知った顔がいっぱいいる! なんか同窓会みたいだね!」



のんきにそんなことをいうガブリエル。



「また面倒なのが出てきたなー。 今さらなんのようや? あんたの仕える神さまはとうの昔にいなくなったんやろ?」



気だるそうに聞くエスタ。

先ほどまで帰ろうとしていたエスタだが、マーニャに襟を引っ張られてまるで悪さをしたネコのようになっている。



「ん? 君は魔王のとこの悪魔ちゃんだね! 久しぶり! 確かに神さまは出てったけど新しい神さまがその後きたからその人に今は仕えてるんだー」



とガブリエルは楽しそうに答える。

新しい神さま? それはまさか俺の知ってるあの神さまのことか?




「新しい神だと? おのれ、天界の連中め! また私たちの邪魔立てを!」



明らかに敵対心全開のサーニャに対して空気の読めないガブリエルは相変わらずの口調で



「そう怒らないでよツンデレちゃん。うーんとね、まぁ直接どうこうってことはないみたいだよ。 ただ神さまの嫌がることをする人がいたらそこの男の子がやっつけちゃうって」



と笑いながらこちらを指差す。

するとマーニャの怒りの視線がこちらへ向けられる。

やめてほしい。

せっかく何事もなく帰ってくれそうだったのに。

しかもツンデレちゃんって今のとこツンしか見えてないんだけど?




「ガブリエル。 貴様なにをしに来た」



カマエルはガブリエルに尋ねる。

先ほどまでベンケイと死闘を繰り広げていたはずなのだがカマエルは息も切らさず傷1つなかった。

一方のベンケイは満身創痍、ものすごく追い込まれていて立っているのもやっとといったところだ。




「どこを見てるんだ、 デカブツ、 まだ勝負はついてないぞ、」




ボロボロになりながらもまだカマエルに立ち向かおうとするベンケイ。



すると突然ガブリエルが大きな声で




「怒るよ! カマエル。 ここは平和的にいこうじゃないの」




急にシリアスになったかと思えば再び元の口調に戻ってしまうガブリエル。

これはわざとやってるんじゃなかろうか。



怒鳴られたカマエルは大人しく剣をしまう。

どうやらカマエルはベンケイにトドメを刺そうとしたようでそれをガブリエルは止めたのだ。

しかし、怒るよ! で止まるってどういうことだよ。

一方のベンケイはサーニャが止めに入ってこちらも同じように襟を引っ張られている。




「うん、素直でよろしい! あたしがここに来た理由はね。 そこの男の子に神さまから伝言があってきたの」



「伝言?」



おれはガブリエルに聞き返す。




「うんなんでもね『本来のストーリーと違ってバグが発生した。 すまん。 少年にはそのバグを含めて平和な世界にしてほしい。 頼んだぞ。 あ、あとついででいいからそっちの世界でコーラやポテチの開発も頼む。 なんか無性に食べたくなってな。 私は神ゆえに日本にひょいひょいと戻るわけにもいかん。 なんとかしてくれ』 だそうだよ!」




「ざけんなっ!」




おれは叫ぶ。




文の後半は論外だとして、前半も前半だ。

なんだよ! バグって! そもそもどんなバグだよ!

もしこのままゲーム続行不可能とか敵を倒せないとかだったら即新しいのと交換もんだよ!?

あのクソ神に一言言ってやる!



「おい! ガブリエル! 俺をキリのとこ連れてけ! 1発ぶん殴ってやる!」



「あははは、それは無理だよ。 ソウタ君。 君が神さまのところに行けるのはクリアした時だって! それにあとは不本意に死んじゃったりとか?」




と笑いながら答えるガブリエル。

こいつも殴りてぇ。



ガブリエルはパンと一本締めのように手を叩き




「さぁ、あたしは伝言も伝えたし帰るとしますか。 みんなもそれぞれ帰ったほうがいいんじゃないのかな? 魔王君はなにやら幹部集めてよからぬことを企んでるみたいだし、カマエルのとこだって忙しいでしょ?」




「私のとこは別に」



「本当に? カマエルとこのヤンデレちゃん。 また仕事すっぽかして戦争おっぱじめちゃってるよ?」



ガブリエルがそういうとカマエルは、はぁとため息をつく。

そしてゲートを開き、



「忠告感謝する」



と言って消えてしまった。



そして幹部3人娘の方もサーニャがベンケイに肩を貸しエスタの作ったゲートで消えて行ってしまう。




「そんじゃあ。 今度こそ、さいなら。 またどっかで会おうや」



そういいエスタもあとに続いて消えてしまった。みんなが消えたあとはウソのように静かになった研究室。 そんな中取り残されたのはミーナ、イヴ、ガブリエルと俺の4人だけ。




「さて、ソウタ君の命の危機は去ったかな」



「え? 本当は伝言じゃなく助けに来てくれたのか?」



そういうガブリエル。

まさかこいつ俺のピンチに助けに入ってくれたのか?



「まぁそうなるかな。いや、伝言のついでってこともあるんだけども」




ついでなのか。



「というか厄介払いも済んだし本題に入ろうか」



というガブリエル。

本題?

さっき言った伝言が本題じゃないのか?



「まぁさっきのは大まかにかいつまんで話しただけだよ。 バグの話、具体的にどんなんか知りたいでしょ?」




ガブリエルは口角に人差し指を当てた仕草をして話す。



「まった。 ならこの2人を地上に連れてってからでもいいか? エスタのやつが治療してくれたみたいだけど、一応上にいってちゃんと診てもらったほうがいいだろ?」



「僕は大丈夫だぞ。 それにイヴは上じゃ修理も出来ない」



と居座る気満々だ。

本当に心配だというのもあるんだが、そもそもこの世界の人間であるミーナに今から話すことを聞かせちゃまずいんじゃね? という配慮から言ったのだが。

ガブリエルの方は別にそんなこと考えていないのか、 いいよー とのんきに言っている。

大丈夫か? こいつ…




「話は少し長くなるよ」



と前置きをしてガブリエルは話し始めた。








この世界は今魔王君からの侵略を受けてるって言ったよね? え?魔王君って誰かって? 魔王君はこの世界の魔王だよ。 昔は仲よかったんだー。 今はあんまり遊んでくれないけどね。 で、それを止めろって神さまから頼まれたのがソウタ君。 ここまではいいよね?

ん? なに? なんでソウタ君が魔王を倒さなきゃいけないのかって? ミーナちゃんいい質問だね! ソウタ君は『この世界』とは別の世界から来た人間だからだよ。 ミーナちゃんも知ってるでしょ? 異世界から来た勇者のお伽噺。 それの再現がソウタ君なの。カッコいいでしょ!? え? そうは見えないって? まぁそれはソウタ君に原因があるかもねー。

話は戻すよ? そもそもなんで魔王を倒さなきゃいけないのかっていうと天界の、特に神さまのシステム上の話なんだよね。 私たち天使や私の上司である神さまは基本的にご飯とか食べずに生きていけるんだけど、その代わり人間の信仰心で生きているのね? だから自分たちを信仰してくれる人間を減らされるのは困るの。 だから減らそうとする奴らをどうにかしてってことでソウタ君を派遣したってわけだよ。

で、そんな中バグが発生したんだよ。

魔王に加えて新たな危険な連中が出てきちゃったんだ。それが『戦争屋』って自称してるやつらだよ。あいつらどうやら世界中から兵器だなんだと集めて戦争の火種を撒き散らしてるの。 なんでそんなことしてるのか詳しいことはわからないんだけどね。 そもそも魔王を倒すお伽話にそんなやつら出てこなかったし、神さまも予想外だったんだって。それで神さまがこのままじゃまずいって言ってね、ならついでにその『戦争屋』もソウタ君に潰してもらおうってことになったわけ。





とガブリエルは今世界が置かれている状況を説明してくれる。

どうやら元の世界に戻るにはまだまだかかるみたいだ。
















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ