第36話 戦闘が混乱するまで!
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「おい! イヴ!」
俺はボロボロになったイヴに駆け寄る。
あれだけ強かったイヴが嘘だろ…
「すいません。ソウタ様。 お役に立てずに」
「いいから黙ってろ!」
クソっ! こんな時本当に回復魔法が使えれば!
この状況でふと思ったのが今なら『後は野となれ山となれ』が使えるのでは? ということだった。
確かに今絶対絶命のピンチだがあの魔法はギャンブルだ。
試して失敗は避けたい。
となるとここは無難に『逃走』か?
どこに飛ぶかわからないがここよりはマシだろう。
そう思い『逃走』を唱えようとする
「無駄だぞ、 人間。 この施設には出入りできないように結界を張らせてもらった。 またお前たちみたいなのが入ってこられるとたまったもんじゃないからな」
男は俺に向かっていう。
なんてことだ。 『逃走』が封じられたなら後は後はあのギャンブル魔法しかねぇじゃねぇか!
仕方ないここは一か八か
「吠え面かくのもそこまでだぜ! 『後は野となれ山となれ』!!」
床に魔法陣が現れ、眩い光を放つ。
そして何かが現れた。
「ふぁ〜、なんやの。 寝てるとこいきなり叩き起こされたとおもーたらこんなとこ呼び出して」
最悪だ。
パジャマ姿にパーマをかけたようなゆるふわな髪そして何より特徴的な怪しい関西弁。
召喚されたのは魔王幹部の1人もエスタだった。
「なんや、お兄ちゃん。 前回偶然見逃してやったのに、うち呼び出して死にたくなったんか?」
「違うわ! 死にたくなったんじゃなくて、死にそうなんだよ!」
まずい。 何がピンチを助けるだあのクソ役立たずな神さまめ!
敵増えてんじゃん。 ピンチ倍増じゃん。
「何を頭抱えてんのかわからんけど、 なんやの。 なんもないんやったらうち帰るで?」
「何かと思えば怠け娘か。 人間お前は魔族のものなのか?」
と男が口を挟んできた。
まぁ律儀にこの茶番を何もせずに見てたのは感謝するが、どうしようもねぇなこの状況。
「なんや、おた…く。 おい、なんでお前がここにいるんや」
「魔族のお前に答える理由はないだろ? ましてやお前のとこのあの恩知らずの魔王に」
この男魔王を知ってるのか? それにエスタとも顔見知りなようだし。
俺はエスタに聞こうとエスタの方を見てみると見たこともないほどの憎悪に溢れた顔をしている。
それは普段の間の抜けた、やる気のない表情からは想像もつかないものだった。
「それはおたくの無能な上司が自業自得だっただけとちゃうん? 人に罪をなすりつけんな、ボケェ」
男の方もピクっと眉を動かす。
そして先ほどイヴを切った剣を構えエスタに切りかかってきた。
「相変わらず沸点の低いやつやなー。 それじゃあ『強欲』のやつと『憤怒』のやつと変わらんで?」
エスタもカマを出し応戦する。
相手の男はとてつもない剣の使い手らしい。剣速が早すぎて見えない。
しかし、エスタはそれを全て受けきる。
もはや2人は別次元の戦闘をしているように思えた。
「お兄ちゃん。ここは、はよ逃げ。 今回は見逃してやるから。 でもまたおーた時は今度こそとどめを刺してやるで」
「逃げられないんだ、エスタ! ここには結界が張ってある!」
そう逃げたくてもここにはあの男の張った結界がある。
俺はエスタにそう叫ぶとエスタは
「ああ、それなら大丈夫やと思う。 それならもうすぐ… おっと」
こちらに喋りかけながら器用に戦うエスタ。
それにしても何が大丈夫なんだ。
その疑問はすぐに解消される。
エスタが男から一旦大きく下がり、男とエスタのあいた間に、ドゴーンと天井を突き破って何かが降りてきたのだ。
「ようやく見つけたぜ! ソウタ!」
そこに現れたのはケモミミ暴力女…じゃない、こちらも魔王幹部の一人ベンケイだった。
「なんや、お前もお兄ちゃんのことしっとったんか」
「あ? なんだ? なんで面倒くさがりやなお前がここにいるんだ?」
この場にエスタがいることを確認するしそういうベンケイ。
エスタのほうも律儀に答える。
「うちはそこのお兄ちゃんに召喚されたんや。 で、なんで怠け者のうちがなぜやる気になって働いているかというと、ほれじぶん後ろみてみ」
後ろを振り返り男を目にするベンケイ。
するとニヤリと笑い俺に向けていた短刀をその男に向ける。
「あっはははははは! なんだお前ら、最高に楽しそうなとこにいるじゃねーか! ソウタ、お前は後回しだ。 久しぶりだな、デカブツ!」
ベンケイは男にそうあいさつ?をする。
男はまた余計なのがきたとばかりにため息をつく。
「怠け娘の次は戦闘狂か。 やはりその人間は魔族のものか?」
「知らないね、そんなの!」
と問答無用に切り掛かるベンケイ。
確かにあの姿を見てると戦闘狂だな。
「エスタ! テメェは手ぇ出すなよ! こいつは俺の獲物だ!」
「はいはい。 好きにやっとくれ。 あー、つかれたわー」
とさっきの表情は何処へやら。エスタはいつものやる気のない雰囲気に戻ってしまった。
「お、おい。 いいのかよ。 あいつ一人で」
俺は完全に戦闘モードじゃなくなったエスタに尋ねる。 するとエスタは
「いいも何も、あの戦闘狂に手かしたらこっちが殺されてまう。 うちも仲間同士の殺し合いなんてしとーないからな」
そしてそれにしてもとエスタは続ける。
そしてイブのところへ行き倒れて動けなくなったイヴにカマを突き立てる。
「な、なにをやってるんだ!」
「そんなのいきんなや。 別にこの娘を殺そうとしてるんとちゃう、 少し生命エネルギーを分けてるんや。 この娘、『人造天使』とかいうんやろ? ほんま人間はおもろいものつくるなー」
というエスタ。
そしてついでやと言ってミーナの治療も同時に始める。
助ける? なんでそこまで
そう聞こうとした時、ゲートが開き中から誰か出てくる。
「なにをやってるんだ! 馬鹿者!!」
そう怒りながら出てきたのは綺麗な黒髪ロングにメガネそしてその奥の瞳は鋭く、端的に言ってしまえばアニメとかゲームに出てくる風紀委員みたいな女の子が出てきた。
「ちっ、 いいとこなのに…」
「あっちゃー、きてもーたか」
ベンケイは舌打ちし、エスタはペチペチと自分の額を叩く。
なんだ? 二人の知り合いなのか?
「誰かと思えば、『憤怒』、またあの愚王の仲間か。 魔王幹部はよほど暇だと見えるな」
「お前にあのお方を愚王呼ばわりされたくないな、カマエル。 お前のとこよりはマシだ」
そうカマエルと呼ばれた男に一瞥をくれる。
カマエルはそれを聞くとゲートから出てきた女の子に襲いかかるが、
「おっと、お前の相手は俺だ。 それとも大きなおっぱいのほうが好みか? 俺だって小さいわけじゃないんだ、俺でもいいだろ?」
と間に入るベンケイ。
いや確かに今出てきた女の子、セリアさんに匹敵するくらい大きいけど!
絶対違うでしょ!
「おっぱいの話はどうでもええけど、なんやのそんな急ぎのようなん? サーニャ」
エスタにサーニャと呼ばれた女の子はその質問に答える。
「魔王様からご帰還の命令だ。 わかったらさっさと戻れ!」
「なんなん? そんな急ぎの用なんか?」
「急ぎじゃなくても、魔王様の指示には従え! なんでこうも昔から自由奔放な奴しかいないんだ!」
と頭を抱えてしまうサーニャ。
なんか真面目そうだし、魔王幹部まとめるのにストレス溜まってるんだろうな。
思わず同情してしまう。
「せやけど戻れゆーても、うち、ソウタに召喚されとるから自分の意思じゃもどれんのやけど?」
へ? そんなのか?
そういえば前回召喚されたルークも時間がきたとか言って消えてたな。
この魔法そういうシステムなんだ。
俺はまた新たな効果を知ったのだった。
「なに? それじゃあそこの人間! エスタに魔王のところに戻るように言ってくれ… まて、お前ソウタというのか?」
サーニャはふと気付いたように俺に聞いてくる。
「そうだけど、まさかお前も俺を『変革』なんちゃらとか『厄災』だとかいって殺そうとするのか!?」
俺は腰の剣をち手をかけるが、サーニャはうーんっと唸ってしまった。
「確かに重要案件が目の前にいるが、しかし魔王様から帰還の命令が… あー! どうしたらいいんだぁ!!!」
再び頭を抱えるサーニャ。
この人ストレスとかでハゲないだろうか。
すごく心配だ。
「まぁここは大人しく帰ったほうがええんちゃう? どうせこの男、最終的にうちらのとこの魔王館くるやろうし」
エスタはのんきにそんなこという。
というかこの場の状況カオスすぎない?
俺たち3人がくっちゃべっているあいだに
一方ではミーナは倒れたイヴの介添をしている。 二人ともエスタの治療? を受けたのでこちらは大丈夫そうだ。
そしてもう一方ではカマエルとベンケイが死闘を繰り広げている。
どちらかといえばカマエルが優勢ではやくこの目の前の2人を援軍に送った方がいいんじゃないのか?
そんなカオスな状況にまた女の子がゲートを開いて乱入してきた。
「はーい! みなさんこんにちわ♡ 天界のアイドル、ガブリエルちゃんでーす!」
これ以上この場を混乱させるのはやめてほしい。
俺は心からそう思った。




