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第29話 魔王軍幹部②を倒すまで!

「何やっての、バカソウタ! 役立たず!」



「ソウタさん、最低です」



後ろから怪我人を治療しているルナから罵声が、ティアラからは蔑みの視線を受ける。

俺だって出したくて出したわけじゃないよ!



「ねぇ、あなたまだ威力高めの魔法まだ打てる?」



ルナは先ほどまで泣いていた魔法使いの女の子に聞いた。



「え、ええ、詠唱に時間はかかりますけど、まだなんとか」



「だったらあの役立たずの代わりにドッカンとやっちゃって!」



女の子は頷き、自分の魔力を高め詠唱の準備に入る。




こうなったら仕方がない。

俺もティアラと一緒に前線で時間稼ぎだ!



とティアラの加勢に入ろうとした。




餓者髑髏の頭上にドス黒い雲が現れ始める。

あれは…やばい! なんだかわからないけどやばい気がする!



俺はそう思い、ティアラに大声で叫ぶ。



「ティアラ!! 退がれ!!」



その声にティアラは反応し後ろへ大きく退がる。

するとその真っ黒な雲から物凄い閃光と轟音で漆黒の雷が餓者髑髏に直撃した。



それを受けた餓者髑髏は真っ黒焦げになり、ボロボロと崩れ去った。








俺たちが唖然としていると



「なんだ、こいつ。 これくらいの攻撃でだらしがない!」



その声は頭上から聞こえてきた。

真っ赤な髪にとてもギラギラした目、ヘソ出しの服に短いショートパンツにニーソックスというなんというかエロかっこいい服装の女性がいた。

しかし女性の特徴で1番印象的なのが赤い髪の間から生えるキツネのような耳と彼女の後ろでゆさゆさ揺れる尻尾。

なんというか野性味に溢れた女性…てか、この世界は漫画みたいに重力無視で浮けるのかよ!





「おい、お前らこの洞窟にある『雷鳴の槍』って知ってるか?」



そう言ってケモミミの女は上から降りてきた。

こいつも『雷鳴の槍』を狙ってるのか?





「知っていると言ったらどうします?」



ティアラ目の前の女に向かいいった。

すると女性は



「悪いことは言わねー。 在りかだけ教えてとっとと失せな」



「嫌だと言ったら?」



ティアラは一切引かずに切り返す。



「そしたら仕方がない。 めんどくせーが俺が探すしかねーだろうな。 それとも何かい? あんたらも『雷鳴の槍』探してんのかい?」



「ええ、私たちもそれを欲しています」



「ふふ、 あはははは、 いいね。 そこの女。 目的は知らないがどうやら必死でこの槍を手に入れようとしているみたいだな。 眼を見ればわかる」



と女は短剣を抜き、ティアラの方に向ける。



「好きだよそういう己の欲の為に動くやつ。 だけど俺も引けない。 俺は全ての伝説の武器を集めてあるやつに挑まなきゃなんないからだからお前にやることはできない」



ティアラも持っていた剣をその女の方へ向ける。



「ならやることは1つですね。 一応私からの最後の忠告です。 ひいてはくれませんか?」



「悪いな。 俺は欲深なんだよ」



すると女がティアラに向けて突っ込んでくる。そしてそのまま戦闘へもつれ込んでいく。



ティアラと女の激しい剣撃が目の前で繰り広げられる。

両者は互角、いやケモミミの女の方が若干押してる。

ティアラはおそらく先程の餓者髑髏との戦いで消耗しているのであろう。





俺は最初ボーッと眺めていたがあることを思いつく。

俺が先に『雷鳴の槍』を手に入れて、俺の『逃走(エスケープ)』の魔法で離脱すればいいのでは?

セコい手ではあるがこのままだとティアラや他のみんなが危ない。

幸いなことに連合パーティの面々はルナから治療受けるため一塊になっている。



これはチャンスだ! そう思い早速行動に移った。

まずはバレないように慎重に先程餓者髑髏がいた後ろ側に行ってみると扉があった。そしてその扉の上の岩盤には旭日旗が彫ってある。

間違いないはなさそうだ。

俺は扉を思い切って開けてみた。

どうやら餓者髑髏がこの扉を解く鍵になっていたようだ。

中に驚愕の光景が広がっていた。


















中にはライフルやその弾薬、軍刀、手投弾などいろいろな武器があった。

どうやらここはこの世界にきた旧日本軍の武器庫だったらしい。

つまるところ『雷鳴の槍』とはおそらくこれのことだろう。













「なんで紛らわし名前つけてんだ。 銃ならこの世界にもあるだろう」



俺の目の前にあるのは綺麗に並べられた長物のライフルで、銃口の方には刃が付いている。

俺は別にミリオタのように銃とかに詳しいわけではないが、これはさすがに知っている。






三八式歩兵銃---旧日本軍の主力として用いられたことで有名な銃だ。






その三八式歩兵銃が何梃も目の前にあった。

いや、確かに見た目槍っぽいけどそんな伝説の武器ってほどじゃないじゃん!発砲音とか知らない人が聞いたら雷っぽく聞こえるんだろうけど、さっきも言った通りこの世界、銃あるじゃん! 確かに火縄銃みたいなやつだけど似たようなもんじゃん!

なんでこんな紛らわしい名前つけたかな!




実を言うと逃げる以外にもその『雷鳴の槍』であのケモミミの女性をあわよくば倒そうかなんて考えてはいた。だが、その計画は崩壊する。 そもそも俺は銃なんか使えない。 三八式は銃剣も付いているのだが、だったら俺の今持っている日本刀で戦っても一緒だろう。

あの状況打開できると思ったんだけどなー。

俺は他にいろいろないか探る。

すると一冊の本を見つける。



『武器取リ扱イ指南書』



中には日本語でここにある武器の扱い方や手入れの仕方が書いてある。


ひいジィちゃん…ほんと至れり尽くせりだな。

俺はその本を持っていたカバンにしまい、銃を一挺といくつかの武器を持ち出して部屋を出た。











部屋から出ると状況は一変していた。

ティアラはあちこちに傷を作り、服もボロボロで肩で大きく息をしている。ルナたちはいつの間にかいなくなっている。



「あはは、楽しませてもらったよ。 後ろの怪我した奴らを逃がすため殿を務めるなんざさすが騎士様だねー。 死ぬ前に名前を聞いておこうか?」



どうやらティアラは傷ついた連合パーティの面々と魔力の尽きかけたルナを逃がすためここに残ったようだ。



「リューン・アルダート・ティアラ。 誇り高きリューン家の次期当主ティアラです!」



ティアラの目はまだ死んでいなかった。

ボロボロの身体で再び構えてケモミミの女性に向かう。



「そうかい。 それじゃあティアラ、ここで死ね!」











俺はティアラに向かおうとしていた女に向かって銃を放つ。

もちろん素人の俺が当てられるはずもなく、玉は、向こうの岩に当たった。




「『雷鳴の槍』が欲しいんだろ? それならここにあるぞ!」



「そ、ソウタさん! なぜここに!? 早く逃げてください!」



ティアラは痛みで顔を強張らせながら俺の身を案じたことを言ってくれる。



「ティアラ、もういい。 早く逃げろ。 諦めよう。 こいつもこれを渡せば引くはずだ」



「で、でも、それはソウタさんの…」



「いいから、早く! それもこれも命あってこそだろ!」



俺は怒鳴るようにティアラにいう。

ティアラは何か言いたげだったが、それを堪え出口の方へ走っていく。



「いいのかい? それはあんたらが必死こいて探してたんだろ?」



「命には変えられないよ。 ほらよ」



そう言って俺は結構重いがなんとか三八式歩兵銃を女に放り投げる。

女はそれを軽々とキャッチし、




「ふん。話のわかるやつだね。 ただ俺はお前みたいな欲のなく、ただ力に屈するだけのやつは嫌いだよ。 欲しいものがあるなら命がけで手に入れるもんだろ」




女が銃を受け取り短刀をしまったのを見た俺は、



「はぁぁぁぁっ!」



刀を抜き一気に間合いを詰める。

正攻法では勝てない。 なら雑魚が強者に勝つには奇襲しかない!




「なっ!?」



女の方は慌てて銃で刀を受ける。



「欲がない? 悪いな。 俺は欲には忠実に生きてるんだ。 それは返してもらうし、うちの仲間を傷つけた分痛い目見てもらうぞ!」



俺は構わず、2発目、3発目と打ち込んでいく。



「ははははは、なんだ逃げ腰かと思えば! 相手してやんよ!」



そういい、女は銃剣を槍のように振るう。それを俺が刀で弾くとと銃剣はあっさりと銃からポロっと外れてしまった。



「折れた…だと」



女の顔がおどろした顔をしている。



これが俺のいくつか仕込んだ隠し玉の1つ

三八式の無力化だ。

相手に銃は渡したが銃剣は外れやすく取り付け、銃本体の方は




「ならこっちのほうだ!」



と銃をこちらへ構え、至近距離で引き金を引く。だが、



「なんだこれ!? 壊れてるのか!?」



渡す前に安全装置をロックの状態にしておいたのだ。



俺は動揺している相手に剣撃を何発も打ち込む。

短剣を抜かれたらおしまいだ!




「くっ! なめるなよ! 」



俺は相手の蹴りを食らって飛ばされる。

痛っ… 息ができない。



「なるほどな。俺がこれを使えないのわかっててわざと渡したな?」



女は銃を放り投げて自分の短剣を抜く。

クソっ!抜かれる前に決着つける計算だったのに!



「魔王軍七本柱の一柱、『強欲』のベンケイをここまで翻弄するとは大したものだ。 お前も名前を聞いておこうか」



めちゃくちゃつえーと思ったら、魔王軍幹部かよ!

てか名前ベンケイで趣味が武器集めとか偶然の一致もいいところだろ。



「ソウタだ。 ハヤカワソウタ」



「ソウタ? ああ、あの怠け者から報告があったやつか。 あの予言の。 なるほどなー」



ベンケイはそう言って短剣を構える。

怠け者ってエスタのことか。



「くくく、ちょうどいい。お前を見つけ次第殺すように魔王様からのお達しでな? 『変革者』とかいう面白そうなもの殺すのはもったいない気もするがやらなきゃならねー。さっきの女を狩り損なったから消化不良の解消になってもらうぞ!」



だから『変革者』とかこの世界にとっての『厄災』ってどういうことだよ!

そんなこと知らないとばかりに短剣を構えこちらに不敵に笑いかけているベンケイ。

形成逆転とはまさにこのこと。 ティアラが勝てない相手にタイマンで挑んでも勝てるとは思わない。




「死ぬ前に何か言い残すことは?」



「見逃してくれると嬉しいな」



「無理だな」



俺は刀を構え相手の攻撃に備えようとするが、



いつの間にかベンケイが目の前にいた。

そして腹部から焼けるように熱いような痛みが伝わってくる。



「くっ…かはっ…」



「まぁこれで魔王様のお遣いは済んだな。 あーあ槍も手に入れられなかったし、なんか物足ない。 ついでに表にいる連中も…」


俺はそんな発言をするベンケイに抱きついた。



「なんだ、てめっ!」



俺は突き放そうとするベンケイに笑いかけ、首からかけていた物のピンを抜いた(・・・・・・)







洞窟内に激しい閃光と爆音が響き渡った。























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