第20話 街の様子が変わるまで
扉をくぐり、気づくと再びあの薄暗い広間の天井を見上げる状態だった。
「ソウタ! 大丈夫!? 怪我とかない?」
「ソウタさん! 本当に大丈夫ですか?」
2人が心配そうに覗き込んでくる…
あれ? 後頭部になんだか心地よい感覚… おいちょっと待て、これはひょっとすると膝枕なのでは? おそらく位置的にルナに寄る膝枕…
先ほどはキリに散々言われた挙句、ボコボコにされてついてねーとは思ったがまさかこんなとこにボーナスがあるとは、これも主人公補正なのか!?
ならばこの状況をもう少し堪能したい!
「ちょっとソウタ? 本当に大丈夫? なんかボーっとしているみたいだけど?」
と心配そうにするルナ。ティアラも心配そうな顔をしている。
まずい、ルナに心地よさにもう少しこのままいたいなんていったら間違いなく2人に殺される!
「あ、ああ。ちょっと気を失って目覚めたばかりだからボーっとしててな。 全然大丈夫だぞ」
俺はそう言って飛び起き屈伸してみる。
「よかったです。 あの黒ずくめの男が自爆する寸前までは覚えてるのですが、その後は光で視界が真っ白になって気づいたら黒ずくめの男はいなくてソウタさんが倒れていたのですが?」
「またあの謎魔法使ったの?」
とルナが聞いてくる。
謎魔法ってお前…
まぁルナもこの魔法に助けられたことはあったが、ついこの前パンツ剥がされてるからなー
あまりよく思わないのも当然か。
「そうだよ、あの魔法を唱えてみたんだ。 どうやら今回はあの魔法、あいつをどこかに飛ばしたみたいだ」
「そうなんだ。 でも他の効果だったらどうする気だったの?」
「しょうがないだろ。 あの状況じゃみんな死ぬか、一か八かに賭けるかしかなかったんだから」
するとティアラがおずおずと尋ねてきた。
「あ、あの、先ほどからお二人が『あの魔法』と言っているのはなんなのですか?」
「あーそれはね、ソウタが唯一使える、効果もよくわからない魔法のこと。 ほんとに唱えてみるまで何が起きるかわからないビックリ魔法だよ」
とルナが大雑把に説明する。
説明適当すぎるだろ… もっとマシな説明してやれよ。
まぁ俺自身もこの魔法についてさっき知ったばかりなんだけどな。
「そうなんですか? でもその唱えるまで効果がわからないと言いつつ今回はうまくいってよかったです。 あ、でもどこに転送されたのでしょうか? 人がいるところじゃなければいいのですが」
「その辺は大丈夫だと思うよ。俺もしっかりと覚えているってわけじゃないけど、転送された先をみたんだ。 なんかどっかの砂漠だったよ」
と心配するティアラに俺はいう。
「ほんとにー? これでどっかの街だったらソウタは間違いなく国家反逆罪で極刑ものだね」
とルナは俺をからかう。
この世界、国家反逆罪なんてあるのか…
おそろしや。
「と、とりあえずピンチは乗り切ったんだからいいだろ。 それよりあいつは父親とともにみたいなこと言ってたから街の方もヤバいんじゃねーの? だったら急いで戻ろうぜ」
「そうですね、お父様はとても強いですから大丈夫だとは思いますが、心配です。 急いで儀式を終えるのでそしたらすぐに街に戻りましょう」
そう言ってティアラは祭壇の方にいく。
剣を石像の足元に置くとしたから台座のような仕掛けが上がってくる。
そしてそれにティアラは手をかざし誓いの言葉的なものを唱えている。
「なんか思ってたより質素なもんだな」
「神聖な儀式にケチつけないの! バチ当たるよ、ソウタ!」
とルナに怒られる。
こっちであーだこーだ言ってる間にどやら儀式とやらは終わったようだ。
「お待たせしました。 それでは街へ急いで戻りましょう!」
「よっしゃ! 領主のおっさんも心配だし戻ろうぜ」
「ティアラちゃんのお父さんをおっさんとかいわない! ほんと礼儀知らずというか、常識知らずなんだから!」
「あ、いてっ! 殴るな、ルナ! ん? ティアラは何を持ってるんだ?」
よく見るとティアラは何か布のようなものを折りたたんで持っている。
「あ、これですか? これは祝詞を唱えた後に出てくるものでいわばちゃんとやりましたよっていう証拠です」
「今はいいでしょ! 早く街にもどるよ!」
とルナは俺たちを急かした。
俺らは街に急いで戻った。
街にもどると、そこはもはや戦場だった。
街に入る門は壊され、そこには複数の衛兵の亡骸が転がっている。
街の方からはあちらこちらから黒い煙が上がって、街から吹く風は火薬の匂いと鉄の匂いがした。
「ひどい… なんでこんな」
ルナは街の様子をみてショックを受けたようにいう。
まさに街は地獄絵図、阿鼻叫喚といったところだ。
「っ! お父様っ!!」
とティアラは屋敷の方へ走り出してしまう。
「おい、ルナ! 追うぞ!」
「う、うん!」
俺らは屋敷の方へいくティアラを追いかけた。




