第15話 少女を助けるまで!
「今度の街はどんな街なんだ?」
「うんとね、ランダスの街はすごい綺麗な街並みで有名なところだよ。 あと食べ物がこの国で1番美味しいって言われてるところなんだよ」
俺らはスイーンの街から船で皇都を目指す予定だったのだが、魔物のせいで船が出せていなかったため、遠回りだが陸路で皇都を目指す途中であった。
そして今、俺らは街道からちょっと外れた丘にある大きな木の下で昼休憩の最中だ。
「はい、これ。 キーナさんに台所と食材使わせてもらって作ったサンドイッチ」
とミーナはバスケットの中から綺麗に並べられたサンドイッチを出してくれた。
1つ取り食べてみる。お、これはうまい!
「どうかな? 上手くできたと思うんだけど…」
「うん、うまいよ! これ!」
「よかったー」
とルナはホッとした顔をする。
「ポルタの街にいた時も思ったけど、あだ名はあれだったけどルナって家事スキルめちゃくちゃ高いよな。 うん、ルナはいいお嫁さんになりそうだ」
「およ、よよよ、お嫁さんに!? だ、だだだだだれのかな!?」
「誰ってそりゃわからないよ。 将来結婚するであろう人だろ? 羨ましいなーそいつ」
「あ、あの、もし…ソウタさえよければ… その、私と………ても、……けど…」
「おい! ルナ! のんびりしてる場合じゃなくなったぞ。 魔物のお出ましだ!」
ルナが何かゴニョゴニョ言って聞き返そうと思ったが、それどこじゃない。 サンドイッチにつられてかなんなのか魔物が集まってきた!
「……」
「お、おい。 ルナ?」
ルナは俯いて固まってしまっている。
冗談でしょ? ちょっと俺だけじゃきついんだけど!?
「ぶっ殺してやる!!」
とルナは両腰の短刀を抜き、魔物の群れに向かっていく。 その戦いぶりは紛れもなく『狂戦士』さながらのというかもはや鬼神のような戦いぶりであった。
全言撤回だ、ルナと結婚した旦那さんは夫婦喧嘩に発展した時命をかけないといけなくなるな。
想像しただけで身震いがする、これは言わないでおこう。
ルナがあっという間に魔物の群れを片付ける。
俺らはそれから少し休憩をとってからランダスの街を目指すことにした。
道中何度か魔物に遭遇したがその度退け、暗くなってきたこともあり今日はここまでにして野宿の準備を始めた。
俺らは夕飯を食べ、それから昼に途中になってしまったこれからの予定について話す。
「とりあえず、ランダスの街まであと半分くらいだから、明日1日歩けば夕方くらいには着くと思うよ」
「なるほどな、食べ物がうまいってことは結構栄えてる街なのかなー」
「うん、ポルタやスイーンも結構大きな街だけどランダスはこの国でも指折りに大きな街で栄えてるよ。 でもなんで?」
「いや、そろそろ新しい武器が欲しいと思ってな。 ポルタの街でとりあえず買ったこの剣はもうボロボロだし」
「そういえばそうだね」
ルナもボロボロになった俺の剣をみる。
ちゃんと手入れもしていたのだが、なにせそこまで高くない剣だったので強度がそこまであるわけではなかった。 しかもそれなりにクエストもこなしていたし、魔王幹部の1人であるエスタの攻撃を凌いだりしたのだ。
逆に今まで折れなかったのが不思議である。
そんなわけで新しい武器がそろそろ欲しいなと思っていたところなのだ。
「そういえばルナの短剣も弓もそれなりに使い込んでそうだけど大丈夫なのか?」
「うん、これはエルフであるうちのおばあちゃんからもらったもので結構特殊な素材使ってるみたいで心配はいらないよ」
いいな、俺もそういうのが欲しいなー
だが、そんなの今の手持ちのお金で買えるんだろうか?
「まぁ新しい武器を手に入れるんだったら次の街はピッタリだよ。なんたって昔から騎士の街って言われてるくらいだからね」
「騎士の街?」
「そう、昔から北方の防衛の前線として栄えてきた街で今もリューン家っていう騎士出身の大貴族が治めているんだよ」
「へーそうなんだ」
そのあともしばらくおしゃべりをしつつ、寝ることにした。 寝る時は魔物の襲撃に備えて交代で寝ることにした。
特に魔物の襲撃はなく、朝になり俺らはキャンプを片付け再び街を目指した。
「あと少しだよ。 ほら、見えてきた!」
みると向こうの方に壁が見えた。
「ランダスの街は大きな城壁で囲まれてるんだよ」
とルナが教えてくれた。
なるほど、さすが騎士の街だ。
「よし! あと一息がんばろう!」
「ちょっと待って! ソウタ! あそこに人が魔物に襲われてる!!」
とルナが叫んだ。
みると確かに街道から少しそれた林の中に何かいるのはわかった。
「とにかく行ってみよう! てかルナ、よく見えるな」
「こう見えても1/4はエルフだよ? 目は普通の人よりいいの」
とりあえず急いでその襲われてる人のところにいった。
すると、そこには1人の少女と相手はなんとあのジャックパンサーであった。
「うっ…くっ…」
少女は片腕を抑えているところからどうやら怪我をしているようだ。
グルルルル…とジャックパンサーは低い唸り声をあげていつ飛びかかってもおかしくはない。
「ルナ俺が突っ込むから援護頼む! 同じやつか知らないけどリベンジマッチだ!」
「大丈夫? 相手はあのジャックパンサーだよ!?」
「俺だってレベルが上がってるんだ。 それに前回は早々にダウンしたが今回は2対1だ、上手くやるさ。 うぉぉぉぉ!!!」
俺は少女にの前に立ち、飛びかかってくるジャックパンサーの爪を剣で受け止めた。
ギィィンっと金属と金属がぶつかるような音がする。
こいつの爪どうなってんだ! てか攻撃が重い!
ジャックパンサーは一度距離をとり俺とにらみ合いになる。
そして再び体制を整え、今度は俺に向かって攻撃を仕掛けてくる。
俺はそれをなんとか剣で受け流しつつ、ルナの援護を待つ。
くそっ! そろそろ限界かも、
「ソウタ! 下がって!」
俺は素早く後ろへ下り、少女を抱えてジャックパンサーから距離をとる。
それを見逃すジャックパンサーでもなく、こちらへ襲いかかってこようとしたが、
「我が身に纏し精霊よ、陽炎の幻影に魅せられし英雄を焦熱と災禍を持って焼き尽くせ! 『獄炎弾!』」
その隙にルナが詠唱を終え、手を前にかざした手から火の玉が発射される。それはジャックパンサーに命中し、当たった瞬間大きく燃え広がり、一気にジャックパンサーは炎に包まれる。
そしてうめき声をあげ、ジャックパンサーは倒れたのだった。
「やったよ! ソウタ! あのジャックパンサーを倒したよ!」
「リベンジマッチ成功だな! つーかルナもう少し早くできないのかよ…」
「前にもいったでしょ!? 魔力を貯めるのに時間がかかるの! それに今回は相手が相手だったし、弓より攻撃力重視の魔法だったから詠唱もあって大変なんだから! でもよくソウタも耐えてたね。 あ、待って今回復魔法かけてあげるから!」
ジャックパンサーの攻撃を耐えきれたのはおそらくエスタとの戦いが理由だろう。 魔王の幹部との殺陣で生き残ったんだ。 そりゃ攻撃を受け流す技術だけ成長してても不思議ではない。
…俺、魔法にしても、剣の技術にしても逃げる系多くないか?
まぁ今日のところは無事に倒せたからいいとするか。
それよりも、
「きみ、大丈夫かい? ルナ、俺は平気だからこの子に回復魔法かけてくれないか?」
俺は少女に尋ねてみた。
やはり腕を怪我しているようだった。
ルナは少女に回復魔法をかける。
「はい、あ、あの助けていただきありがとうございます! わ、私はリューン・アルダーウル・ティアラと申します」
「「へ?」」
俺とルナは同じような声をあげる。
今なんていった?
リューンって確か…
「リューンって、あのリューン家!?」
ルナが少女に聞く。
「は、はい、そうです。あ、あの、お二人にお礼がしたいので、や、屋敷まで来てくれませんか?」




