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ボンボンリボンと黒い背中
お料理よし。飾りつけよし。後は璃子からのクリスマスプレゼントと……。
愛する娘が足をばたつかせる。おなかすいたと全身で訴えてくる。ツインテイルの飾りは赤いボンボンリボンだ。娘のお気に入りである。おなかすいた、という歌に合わせてボンボンもはやくはやく、と私を急かす。
「はいはい、もうすぐパパが帰ってくるからね。あ、帰ってきた」
噂をすれば……ドアの開く音を聞いて娘は駆けていく。その足音と後姿を眺めて、心から結婚してよかったと私は思った。
「茉莉、ケーキ運ぶの気をつけろよ」
私も玄関へ向かう。夫である勇児は娘にケーキを箱を渡して、靴を脱いでいるところだった。
「おかえりなさい」
かばんを受け取って、彼の頭の上に降り落ちた雪を優しく撫でた。雪はしっとりと溶けていく。
「ただいま。手、濡れるぞ」
「いいの。雪は積もりそう?」
黒いコートの背中に尋ねると、優しい声で彼は答える。
「積もるかもしれないけど、樹たちは来れると思うよ、まだそんなに降ってない」
あー、寒いとリラックスした声で唸る彼を見ると、幸せになる。ここが彼の帰る場所だ、居心地のいい場所なんだ、と実感できるから。あなたの好きな珈琲を入れるわね、とかばんを抱きしめて私は言った。




