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滅亡9

グレン

フレロレは無事にここから逃げられたんだな……。

勝手なことばかりしていつもごめんなさい。


「馬鹿が……、ここから逃げられると思っているのか。もうそろそろ外の戦いも終わっただろう……。そこら中にいる兵を使えば見つけられないわけがない。結局無駄なあがきだったな!」

「まあ、無駄かどうかはお前が決めることじゃない。未来が決めることだ……。」

「近いうちにその未来とやらが証明してくれるさ……。虚を突かれたのはせいぜい3分くらいか。この短期間にそれほどの距離を移動できるわけがない!」

キーデルの顔は少し焦っているようにも見えるが、そんなことはいい。

俺はフレロレが無事逃げられたことを祈るだけだ。


バタバタした足音が窓の外から聞こえてくる。

「報告、キーデル様!下にフレロレと思しき男を死体で発見しました。窓から逃走後、足を滑らせて転落したものと思われます!」

「それは本当にフレロレなんだろうな!」

「はい。その遺体が来ている服は先ほどまでフレロレが来ていたものと一致します。辺りは血が飛び散っていますし、下に言ったものからの報告では遺体はまだ温かかったとのことです。」

「だとよ!残念だったなグレン。お前が一緒にいれば何とかなったんじゃないか?」

……。


「さて、こっちもそろそろ終わりにしようか、な!グレン!親友が先に待っているようだぞ!」

「そうだな……。」

どこで何を間違ったか……。

もう何が何だかわからないけど、とりあえず悔いはない……。


「初めからお前が一番厄介だと思ってたよ。できれば仲間に引き入れたいぐらいだ。お前があまりにまっすぐだったから結局こうなっちまったがな。それだけお前のことは認めてたんだぜ!その戦闘センスやリーダーシップは。俺としてもけじめだ。俺が巻き込んだんだ、俺がお前を送ってやる。お前を食らって俺は強くなる。」

キーデルの部下がじわりじわり寄ってくる。


この状況なら自殺してもいい。

けど敢えてお前に殺されてやる。

これから一生背負っていく十字架をくれてやる。

友として一緒にいられない俺からのプレゼントだ。


これから先この世界は再び大きく狂い出すだろう。

誰も逃げ出せない。

スライルさんみたいな救世主が再び現れるまで……。

未来を紐解く男が再び現れることを本物の地獄から祈っている。

握っていた剣がするりと落ちる。


「いくぜ!」

「ああ、あばよ……。」


すまねぇな、フレロレ。お前には迷惑かけた。

キーデル、お前がこれからどうしたいのかもうわかってやれない。

ただ……、俺は地獄で待ってるから……。

また……3人で飲もうな……。


あれは……、楽しかったな……。




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