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滅亡5

バルテニー

スライルさんの決死の突撃から放たれたフレロレ?とか言った隠し玉が決まり、ゴルジオは致命傷を負った。

スライルさんはその場に付し、スライルさんに追い打ちをかけようとしたゴルジオの大矛を先ほどまで震えていたテロリストが止めた。

今、目の前で繰り広げられている彼とゴルジオの戦いはゴルジオの受けた傷がひどく、明らかに状況に差が出てきている。

時間の問題だろう……。


この先の展開を考えるとテロリストの方が勝つだろう。

彼はスライルさんと繋がっているだろうから私を恨んではいるだろうが、殺しはしないだろう。生き証人として……。

今整理しなければならないのは目まぐるしい展開を前に整理が追い付いていない私の頭だ。

私はどこなんだ?どこにいるべきなんだ?


私は太陽の代わりに新芽を育てる。

そう決意して5人会議に参加していた。

新芽とは、若い才能……。

そのために私は彼らの成長に必要のない、彼らにまとわりつく害虫を排除しなければならない……。


しかし、これはどうだ……。

私が太陽と崇めていた男は死んでしまった。

新芽だと思って育ててきた害虫に……。


私が未来に伸びる新芽だと思っていた女は、この状況で逃げるでもなく戦うでもなくただその場でうずくまっている。

私が守ろうとした若芽は、自分の利のために関係ない人を殺し、私が守りたかったものを壊していく……。


太陽がなくても短い間なら……、何とかなると思っていたのだが太陽がないと命は生まれない。

棒は育てる苗を選べない。

醜くても、輝きが霞んでも私は太陽を目指すべきだった。

半端な気持ちで半端な決意で、結局明日の太陽は上がってこず……。

世界は闇に飲まれた……。


後悔してももう遅い……。

私は間違えたのだ。取り返しのつかない大きな間違いを……。


この先私はどうなるのだろう。

ゴルジオが勝ったらきっと殺されるだろう……。

テロリストが勝ったらきっと殺されはしないだろう。

ただ一生後ろ指さされて生きることになる。

どっちに転んでも私に未来はないだろう。


でも、いやだからこそ、私はいま私のために戦おう。

私の心の底から思う方を……。


「勝てぇぇぇえええええ!勝つんだぁぁぁああああ!そして、新しい未来をつくるんだぁぁぁああああ!」

気づくと年甲斐もなく叫んでいた。


ハッと我に返ったとき自分が本当にすべきことが見えた気がした。

そうだ、かっこつけている場合じゃない。

歳をとったから何かを変えなくちゃいけないわけじゃない。

とことん自分で戦えばいい!

若い世代を引っ張る?支える?育てる?

何を馬鹿な、調子の乗ったことを言っている!

手とり足とりなんて初めから必要ない!

棒になる必要もない!

若い世代の未来は私の背中がつくる!

初めから棒は棒でも大木になればよかった……。

私自身も成長したっていいではないか!


頼む。もう一度だけ、もう一度だけ私にやり直すチャンスをくれ!

だれか私の願いを!


その時再び部屋のドアが開く音がした。

サッと振り向く。

迎えに来たのは天使か悪魔か……。


「何ですか、これ?」

扉を開け、男が入ってくる。

彼もどこかで見たことがある……。


あっ、思い出した。

数か月前、トルニエ事件の捜査本部がここでしかれたとき、トルニエ様の無実を熱弁していた男だ。

ということは……、そうか、思い出した!

今ゴルジオと戦っている子はあの時そこにいた……。

たしか彼らは友達だった……。

まだ私は見放されてなかったんだ。


「だから言わんこっちゃない。しっかり準備しとけって言ったでしょ!」

男はあきれ顔でそうつぶやく。

テロリストの方が優勢だからか、落ち着いた声色だ。

さらにこれで2対1。これで決着はつきそうだ。

ゴルジオ、いや辻斬りはあえなく御用。

ブロームさん、そして、この国をつくった男スライルさん。

彼らはもういないけどここにいる若者たちならきっとまた素晴らしい世界を……。


しかし、そうはならなかった。

「しっかりしてくださいよ。ゴルジオさん。」

男は眉をハの字にしてため息交じりに言った。


……なんて言った?

しっかりしてほしいのがゴルジオさん?

ちょっと待て、今「しっかりしてくださいよ。ゴルジオさん。」って言ったのか……?

なんで彼は彼らの友達だったんじゃ……。

何が起こっている……。


「やっぱり……、君が黒幕だったんだね……、キーデル。」

スライルさんのそばでうずくまっている方の青年が色々な感情が混ざり合いなんとも言えないやるせない声でそう言った。



頭の中が再び散らかった。

今どういう状況なのか……。

私がどうなるのか……。


……。

再び大きな夜が来る。



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