ゴルジオ、6
バカらしい。
まさか降りるつもりで言ったのが盛り上がっちまうとは……。
でもまあ、今スライルさんがいなくてもうまくいってんだからいいじゃんか!
どうせ人は死ぬんだ、遅いか早いかの違いだろ!
採用されないんだったらそれでもいいし。
早く飲みに行きてぇ―!
せっかく首都に来たんだからいろんな店回りてぇーぜ!
ただでさえこの会議でストレスたまってギミーをタコ殴りにしてるし。
こういう面倒なことはキーデルの仕事じゃねぇのかよ!
スウェービルなら……あいつもやんねぇか……、興味ないんで!とか言って。
まあ、そんなのどうでも……、あっ、そうだ!
「多数決とりましょうや!結果が出たらいいっこなしで!」
確かあいつだったな。
どうでもいい話題はとりあえず結論を急がせろって。話が終わるから。特に多数決は一発で終わるって。少数派とかそんなのどうでもいいって。あいつが軍師のころはやりたいようにやられたからな。年上も権力者も俺の力があればちっとも怖くはない。大概の奴は威圧するだけでいいしな。ただ頭がいい奴は力をふるう状況すらつくらせてもらえないから苦手なんだよな……。俺より強い奴はいないけど工夫されて戦いそのものか逃げられるとか言うのはあるしな。
「多数決?まだだ。まだ決をとるのは早いだろーが!」
きゃんきゃんうるさい方のオヤジがまたも吠えだす。
さっきからこいつうざいんだよな。だけど、
「ああん!んだと!」
「……わかりましたよ。決をとりましょう。」
ガンつけただけで簡単に折れるから楽だ。
そういかないやつ、論理的に向かってくる奴が一番厄介だ……。
「仕方にですね、それでは決をとりましょう。それにどうせ……。いいえ何でもありません。決をとりましょう。」
一番リーダーっぽい禿げ頭がそう言った。
こうなればこっちのものだ。
……ちょっと待て。
よく考えたらこれ、4人じゃんか!偶数じゃんか!流れ的に2対2になるじゃねぇか!
全然白黒つかない!
禿の掛け声に則って手を挙げたが、予想通り俺と女が賛成に手を挙げ、おっさん二人が反対に手を挙げた。
「どうやら決着はしないようですね!まあ、わかりきっていたことですがね。」
やる前からこうなることがわかっていたからすんなり俺の提案を受け入れたのか。あの禿に踊らされた!クソ!結局頭いい奴にいいようにやられただけじゃねぇか!ヤベー。あいつ、前言っていたな、全体が2で割れるときは絶対に勝てるとき以外は多数決をとるなって。さらに長くなるからって。
とるときは絶対に白黒つくときにしろって!
あーあー、話が長くなる……。
「……まあ、今回はこの件は保留ということで!新しく私から提案があるのですがこの会議の議席をそろそろ増やしてもいいと思――。」
禿が話しを進めようとすると突如、ノック音とともにドアが開かれる。
「すみません。遅れました。ナートルさんの推薦で新しい産業大臣になることになったマーリンと申します。」
……何の話だ?俺は何も聞いてないぞ?
「遅いわよあんた!」
置物大統領が扉を開けて入ってきた女を見ると元気よくしゃべりだした。
「前の議会で後任問題の話が合ったので私の一存で決めちゃいました。」
「……。」
誰も何も言わない、突然の展開に誰も何も言えない。
「あんた今議決とっているんだけど賛成反対どっち?ちなみに私は賛成だけど。」
「じゃあ、私も賛成で。」
「はいでは、スライルさんは処刑ということで!」
「え?スライル様を処刑するんですか?」
「ええ、そうよ。えっ知らなかったの?意見変えるの?」
「いえ、ナートルさんと同じでいいです。」
「そう、じゃあいいわね。最初にゴルジオさんが言っていましたが結果に対して言いっこなしで!この件については乗り気でない人を入れると話がグダグダしちゃうので日程や場所は私とゴルジオさんで決めます。これにて今日の会議は終了!」
ウザい方のオヤジは何も考えてなさそうなポカンとした顔で反対に禿は焦っているような何か言いたげだが言い出さない難しい顔で二人とも何も言わず二人の女を見ていた。
やっと終わったぜ!
って俺も参加すんのその日程決めに?
いいけど、今日じゃないよな?
夜はやめてくれよ!
一か月先まで夜の用事は埋まってるんだからな!
スライルさんをどうするかという議題は最初の方向から急展開を見せ、処刑という形で収まった。




