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ブローム、6

「第二回会議をはじめまーす!」

円卓で一人引くほど元気な女がはつらつとした声を発する……。

……何とかならんのかこの言い方、不愉快極まりない。


私の苛立ちなどきっと誰も気づかないまま、5人会議、実際は4人会議が始まる。

「何かある人どーぞー。」

何を能天気なことを言っているのだろう、この小娘は……。

「前回の最後にここでスライルさんの今後、もしくはトルニエ事件をどう扱うか考えようという話だったでしょう。それからでいいんじゃないですかね!?」

さすがの私も黙ってはいられない……。

バルテニーさんはなぜこんなやつを推薦したのやら……。


「そうですよ、ナートルちゃん。前回のことからでいいんじゃないですか?それについてですが私個人的にはこちらからは何もせず、スライルさんが立ち直るのを待つべきだと思います。」

バルテニーさんが話を進める。

小娘を推薦した負い目なのか、彼は主体的に会議を進めようとすることには助かっている。自業自得なのかもしれないが彼が頑張ってくれるおかげで会議は何とかなっている。あの時はバカだと思ってしまったがスライルさんがいない今、彼は本当に頼りになる。


でもそれはそれ、スライルさんに比べるとやはりまだ物足りない。スライルさんならもっと私を生かしてくれる。それにこのメンバーの中で一番先にいなくなるのは年齢的にバルテニーさんだろう。するとこの会議室に残されるのは無能な小娘と筋肉ゴリラ……。

会議が宇宙人交流会になってしまう……。


この会議に参加し続ける、国の権力を牛耳り続けるためには、

「私はやはりこの国にスライルさんが必要不可欠だと思っています。何とかしてスライルさんの心身的不安を取り除くべきではないですか!それに国を挙げて取り組むべきです!早急に!」

当然こうなる!


バルテニーさんは私の意見を聞き、その後だれも発言しないのを受けて立ち上がって言った。

「結局のところ、どんなに時間があっても私とブロームさんのところで話がこじれますね……。どっちが正解かなんて結果が出てみないとわからないでしょうから後はほかのみなさんの気持ち次第ですね。まあ、私はそっとしておく方がいいと思いますが、ここにいる総意がブロームさんの意見ならそちらを尊重します。この議題に関してゴルジオさんはどう思われますか?」

柔らかい物腰と全体をまとめる力は長年の経験からか……。いや、彼が何を思っての発言かは知らないが、大統領選の時にも言っていた裏で支えるということに徹していることもあると思う。絶対スライルさんはこの会議室に必要だが、私もバルテニーさんの意見が尊重されるようならその時は身を引こう。


突然話を振られ少し困った顔をしていたゴルジオだが、ゆっくり立ち上がると低くい声で言った。その言葉は思いがけない内容だった……。

「俺から言わせてもらうと正直どうでもいい。こんなに悩むのならいっそスライルさんを殺してしまいましょう!その方が彼も楽になれる。」


……。


「ちょ……、ちょっと待ってください。今なんて?」

さっきまで落ち着いた表情で話を進めていたバルテニーさんもさすがに驚きを隠せないようだ。私に至ってはバルテニーさんの声を聴いてこっちの世界に戻ってきたという始末……。


「だからスライルさんを殺せばすべてうまくいくって言ってんの!」

そう、問題の種はスライルさん。

スライルさんがいなければここで大人4人が頭を抱えて悩むこともない。


そんなわけないだろうがぁ!バカか!


「何を言ってんだ!何から救うって話だ!馬鹿か!それで全部終わりだろ!」

これだから武人は短絡的かつ暴力的な発想しかできないんだ!特にこいつは何でもかんでも暴力で解決しようとする癖がある。建国記念日に飲み屋壊したり、こいつの参謀なんていつも頬にあざができてるじゃないか!スライルさんの死は世界の終わりを意味すると言っても過言ではない。私もスライルさんがいなければ終わりだ!


「ブロームさん、落ち着いてください。」

バルテニーさんが私をいさめるように言う。気づいたらさっきまで座って椅子が後ろでひっくり返っていた。

「こんなわけのわからない意見が採用されるわけないじゃないですか!」

そうだ落ち着け。この感情的な性格で損してきたじゃないか。ここはあの力こそすべての世界じゃないんだ、賢い者が力を持てる世界。焦らずともゴルジオはじめ力自慢どもをねじ伏せることができる。落ち着け、私。


と思ったのもつかの間

「ちょっと待って下さい。私もゴルジオさんに賛成です。」

今度はポンコツ大統領が調子に乗ってアホな意見に乗っかってきおった。

どうせこいつの場合は保身だろ!絶対そうだ!

今まで大したことないと思って泳がせておいたがこんなときになって邪魔になるとは!


「……。それがどういうことかわかっているのか?」

敢えて怒鳴り散らさず、低い声で言ってみたが、宇宙人どもには通じないらしかった。




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