フレロレ、3
突飛で大胆……。
これはグレンのいいところだけど……、本当に僕なんかがこんな大事にかかわっていいのだろうか……。
グレンはすっかりやる気だ……。
「まずどうする?」
グレンがうれしそうに尋ねる。
僕が本当にこんな大事に中心となって関わっていいのかとても不安だけど……、
グレンがやるなら僕もやる。
グレンの自信は僕に勇気をくれる。
まず僕たちが自由に動けるようにメンデル様に僕たちの代わりにスライルさんのボディーガードをしてくれる兵を借りられるようにお願いしないと!これが前提条件。
それから本題に入ると……、
メンバーは僕とグレンだけでいいのだろうか?
拠点はどうする?
移動とかに使うお金は?
考えることがいっぱいある。
でもなんにせよ……。
「スライルさんにそのことを報告しないと……。」
僕たちの一存では何もできない。
やれやれ。
「じゃあさっそく!」
「待って!」
グレンはいつもせっかちだ。
「なんだよ、フレロレ……。今盛り上がってきたところだろ。」
「グレン、君はなんて言ってスライルさんを説得する気だい?」
「ボディーガードやめますって言うだけだろ。」
そして、無神経だ……。
「スライルさんは今ナイーブなんだからそんなこと突然言ってはいそうですかとはならないよ。」
「……確かに。説得にはどの程度のビジョンが必要だ?」
だけど、頭の回転は速い。
「時間と場所、経費に具体的な捜査の方法だね。」
「時間は俺らで1・2週間おきに報告会を開く、そしてまとめたものをスライルさんに報告する。場所は王宮に空いている部屋があるだろ、そこで。まあ勝手に使えないって言われたら、最悪の場合は姉ちゃんのバイト先の空いてる部屋でもいいな。経費は俺らの誠意でスライルさんから何とか……。具体的な捜査方法は今はわからないけど、決定したら報告する。これはあとで決めようぜ。今はこの勢いを殺しちゃだめだ!あとは?」
「あとは人!というか人数!」
「うーん、スライルさんは捜査する時間はないよな。二人でできるか?」
「どうだろう。事件を調べるのにカギになるのは人物と場所、そして動機。」
「というと……捜査には3人ぐらいは必要か……。」
「一人につき事件の捜査内容一つにしなくても、二つでも三つでもいいと思うけど、一か月スライルさんが頭を悩ませながらいろいろ探っていたのに何もわからない事件だからね。3人でも足りないくらいだけど、やっぱりもう一人くらいいた方がいいね。それも気心が知れた人で。」
「となると……、キーデルか。」
「そうだね。それにキーデルは今軍に所属しているし、僕たちとは違うところから捜査できるんじゃないかな?それに確か今日キーデルは王都に来ているよね?」
「それじゃあ早速行こうぜ!」
「うん。」
グレンは何でもすぐに決めてくれる。
僕ならたぶんずっと答えが出ないようなことも、出ても機を逃しどうにもならないくらい手遅れになるようなことも。
何でグレンとこんなに仲がいいのか不思議なくらい。
彼の背中はいつ見ても大きく感じる。同い年なのに……。
いつか僕もグレンと肩を並べて立てる日が来るのかな……。
「おい、フレロレ!ボーっとすんな!俺達これからものすごく忙しくなるんだから!」
グレンの言葉にふと我に返り、今は頼りないこの足で踏み出す、大きな一歩を。
スライルさんのために、基この国のために。
グレンと一緒なら一見無謀なことでもできない気がしない。
照り付ける太陽のせいか……。
僕は燃え上がりそうなほど、いつの間にか熱くなっていた……。




