ナートル、会議場
「本日の会議はこれにて、私はこれからトルニエに会いに行ってきます。キーデルさんとグレンは私とともに。万が一に備えてメンデル将軍は軍の編成を進めて おいていただきたい。残りのお三方はくれぐれも気を付けて。フレロレは王宮内の空き部屋を対策本部に作り替えていただきたい。」
スライルさんはそう言い残し足早に会議場を去って行った。
私、何も近況報告とかできてなかったけど……何というか、ラッキー!
会議が終わったわ!解放されたー!
もう帰っていいのよね?
トルニエ様はすごい人だってことを知っているだけで
ぶっちゃけ、私はトルニエ様と面識ないしそんな気にならないしー。
それよりも今やっている研究がどうにも気になってしまって会議にも集中できない。
一刻一秒でもこんなどうでもいい会議に時間をとられているわけにはいかないのよ。
研究所のメンツや女性の社会進出?
そんなのどうでもいいのよね。
あーあ、これがお父さんの頼みでなければ即刻辞めているというのに。
長い沈黙の後、独りでにそわそわしていた私にバルテニーおじさんが声をかけてくる。
「お疲れ。ナートルちゃ……、さん。」
「お疲れ様です。バルテニーおじさん。」
「ナートルちゃん。こういう公の場ではバルテニーさんと呼んでくれ。」
「なら私のこともナートルさんにしてください。」
「それはすまん。ところでまだこの会議は慣れないかい?今日もひどく緊張していたようだけど……。」
「ええ、こうやって二人で話す分には問題ないのですけど、大勢となると急に言葉が出なくなってしまって……。」
「そうかい。そこは君の直さなくてはならない部分だ。これから人の上に立つものとして。」
「はい。」
ほんとは嘘。ただ言いたいことを考えてなかっただけだ。
「困ったときは私に相談しなさい。なるべく協力するから。」
中途半端な私をバルテニーおじさんはいつも気にかけてくれる。
会議場という名の右も左も加齢臭がするおっさんでできたジャングルに放り込まれた私にとっておじさんはコンパスみたいな人だ。
バルテニーおじさんには感謝しなければ……。
いつまでもお世話になってばかりじゃダメなことはわかっているんだけど……。
でも、まあ甘えられるうちは……ね。
私の判断じゃ勝手に帰ることはできない……。
なので、もう少しおじさんに甘えることにする。
「これってもう帰っていいですかね?」




