第67話自分の仕事
「これまた凄い.....」
カノン達にお願いしておいたカフェの設計図を大工に依頼して家の裏に作って貰ったのはいいのだが.....
「少し早すぎないか?」
そう早すぎるのだ、普通頼んでから1日でこんな精巧な建物を作れるか?
「よく言われるんすよね、なんか俺達この国に来てから寝なくても疲れが取れるしずっと集中力が続くんですよ、だから丸一日24時間そのまま使って作らせてもらったら予想より早く出来上がっちゃって」
この国に来てから?.....寝なくてもいい?.....
今こいつらは自我が無い、これは自分の勝手な予想だが、こいつらは本来の自我が常に寝ている状態にある、その為に普段生活している状態でも寝ている事と同じ、だから寝なくてもいいのでは無いだろうか
「じゃあお代の金貨50枚を」
「はいよ」
アイテムポーチから金貨袋を取り出し、ぴったり50枚を支払う。
それにしたって安い、エミリーとミキを買った時よりも安いとは.....
「.....手抜き建築とかじゃ無いよな?」
心配してカフェの壁に触る、これだけじゃあ分かるわけもないか。
「主様、できた様じゃな!わしらも腕がなるわい!」
「おいおい、その服で接客するつもりか?」
裏の庭から出て来たリンはフリフリのメイド服を着用していた。
「どうじゃ?似合うじゃろ」
俺の目の前でくるりと一回転する、金髪の髪の毛とフリフリがヒラリと舞う、可愛い、それ以外の言葉が出てこない。
「他のみんなもその服で?」
「当然じゃ、それにしても遅いの〜、まだエミリーに時間がかかっておるのか?」
カノン、エミリーのメイド服.....普通に似合いそうだな。
「ほらっ、隠れてないで出て来てください」
「なんで私まで、私は料理を作る係であって人前に出るわけじゃ.....」
「ダメですよ、ほらっ!」
カノンが無理やり引っ張るとエミリーが飛び出して来た。
その姿はなんとも可愛い。
さっきから可愛いとばかり言っている、俺って口が軽いのだろうか?いや、みんなが可愛すぎるのがいけないのだ、そうだ、そうに違いない。
「エミリーは料理を作るのか?」
「はい、私はホットケーキを作ろうと思いまして」
「それは繁盛間違いなしだな」
俺が教えてあげた、ホットケーキ、通常的に売られている甘味などでは太刀打ちなどできないだろう。
「それで紅茶はゴブリンさんに入れてもらいます」
執事服のゴブリン、なぜかさまになっている。
だが当の本人は気に入っていないようで窮屈そうに服を引っ張ていた。
「少し服がでかいです」
「そうか?これくらいがいいじゃろ」
「そう言えば妖狐は?あいつ名前書いてなかったけど」
「私は冒険者ですね」
俺の後ろにいたのか、いきなり現れると本当にびっくりするからやめてほしい。
「でも、書いてなかっただろ?忘れてたのか?」
「いえ、私は魔物ですのでご主人様が調教したということにしてもらおうと」
テイム、魔物を仲間にして自分のいうことを聞く様に調教すること、悪く言えば戦闘道具を作り出すこと。
「お前はそれでいいのか?」
「別にいいのですよ?だって私はあなたに尽くすと約束したので」
「そっか、じゃあミキを呼んできてくれるか、今から冒険者ギルドに向かうから」
「分かりました」
大きな赤い装飾が施された屋敷、だがこれは実際のところ屋敷などではなく野蛮なふきでものが集まる冒険者ギルドだ。
「ここが冒険者ギルド、魔物の敵、冒険者が居る所」
「冒険者が敵なら俺も敵だぞ」
「ユウキさんは違いますよ、そもそも人じゃないでしょう?」
それは性格的な意味でか?確かに人殺しをしまくって魔王を奴隷にしたり国を崩壊させたり自分から死にたいと言うまで痛めつけたり、お偉いさんの家を爆破したり、確かにこれだけやれば人とは言えないかも知れない。
でも自分なりに人間らしく生きていると思うし、生物名も人だ。
「一応人間だぞ?.....って人の話を聞け」
俺の話など何処吹く風で聞かずに冒険者ギルドにずかずかと入って行く。
「そういえばミキは?.....あいつもか.....」
妖狐と一緒にギルドの中にある酒場や武器屋などを見て回っている。
「ったく、仕方ないな、ミキの冒険者登録は俺がしとくか」
俺は受付のお姉さんに話しかけると冒険者登録の紙を受け取り、ミキの情報を書いていった。
「これいいな、かっこいい!!」
ミキが手にしているのは竜の刻印が刻まれている赤い剣、素振りと称して振り回している。
「お客さんお目が高い!実はこれは......」
店員がミキを捕まえてセールストークを繰り広げている。
ミキは案外のりきだ。
「胡散臭いですね」
店員に聞こえるか聞こえないかぐらいでそう言いながら一人別のところを見る、すると。
「そこの嬢ちゃん!俺たちと一杯やらねえか!」
いきなり男の人から声をかけられる。嬢ちゃん人間の女を表す言葉、だが周りを見渡しても私以外はだれもいない。
自信なく自分を指差して聞き返した。
「嬢ちゃん?私のことですか?」
「そうそう、俺たちがおごってやるからさ」
「いえ、結構です」
「遠慮するなって」
男は妖狐の腕をつかむと無理に引っ張る。
「遠慮なんてしてません、放してください!」
「そこまでにしなさい」
静かだが凛として気迫のある声が響いた。
そちらを振り向くと茶髪で短髪の女性、瞳がとても強気だ
「ん?あんた誰だ?」
男が女に顔を近づけると、
「飲みすぎだあほ」
男の頭にデコピンを放った、とてもいい音が鳴り男は後ろにしりもちをつく。
「いってぇーこの痛さは.....チナツさん!?」
「やっと気づいたか全く、それにしても私の前で無理やり女の子に手を出そうとするなんて、なかなかいい度胸してるじゃないか」
男はがたがたと震えだす、それほどまでにこわいのだろう。
「今度ワンツーマンでみっちりとしごいてやる覚悟しとけよ」
「嫌だ!!ーー」
頭を抱えて悲鳴を上げた、これではどちらが男で女なのか分りもしない。
チナツと呼ばれた女性はこちらに振り向くと笑顔を向ける。
「ギルドの者がすまない、君も冒険者なのか?」
「いえ私は魔物です、ご主人様に調教されました」
「そうなのか?魔物にはまるで見えないが.....そうか、なら君のご主人様のもとに連れて行ってくれるかな」
連れて行っていいものだろうか?
妖狐は考える、ご主人様は面倒ごとが嫌いだ、それにこいつは危害を加える可能性がある、一応読ませてもらいましょう。
意識のない瞳で人を見透かすようにまっすぐとチナツを見ると。
『なにかお詫びをしなくては.....なにがいいだろう?』
そんなことしか考えていなかった。
お詫び→物→高い→役に立つ→王喜ぶ。
そんなことが頭の中形成されていった。
「いいですよ~いい人みたいですし」
「そうかじゃあ案内頼めるか?」
「はいこっちです!」
王が喜ぶ顔を頭に思い浮かべて嬉しそうに連れて行った。
戻ってくるとミキが完全に伸びていた。
「あの王?どうかしました?」
「ああ、少しこいつがやらかしてくれてな」
後ろに背負っているミキは、頭には大きなたんこぶが作られている。
「ミキが武器屋で素振りしてたらしくて調子にのって本気で斬撃をはなったらしいんだよ、そうしたらほかの剣全部切れちゃって、それを全部買ってきたんだ、その罰としてしばらく俺がしごいてやることにした」
「うわぁ、それはまたきつい」
軽く引いている妖狐、その後ろから女性が出てきた。
「彼がご主人様?」
「そうなのですよ」
「本当に彼が?」
チナツの目の前に映る少年はとても冒険者とは思えない、それに実力も大したものではないように感じる、この彼にどんなものを上げれば喜ぶだろう?
「この人は?」
「えーと....」
「私から話そう、私はチナツというのだが実は君の魔物が私の知り合いに絡まれていてな、そのお詫びをしに来たんだ」
魔物?ということは自分からばらしたのか?妖狐、俺の心を読んでわかるだろ、自分でばらしたなら頷け、ばらしていないのなら否定しろ。
心の中で言葉にすると妖狐は首を縦に振った。
ならいいか。
「それでだな君は冒険者だろう?全部のランクを教えてくれないか?」
「少し待ってください、確認するので」
アイテムポーチの底からほこりをかぶったギルドカードを取り出した。
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名前 キリア(ユウキ) 14歳
ギルドランク:E
クエスト回数:1
モンスター討伐数:87体
ユニークモンスター討伐数:1体
ステータス総合ランク:不明
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ステータスランクが不明とついているのは、隠蔽魔法を使っているからだろう。
「えーと、ギルドランクはEでステータスランクはF上位ですね」
とても普通な顔で平然と嘘を言う。
何も知らないやつに本当のことを教えるわけにもいかない。
「じゃあ、どうだろうか、今からギルドマスターのところに一緒に来てくれないか?そこで私から君のギルドランクを上げてもらうようにお願いしよう」
「そんなことできるんですか?」
「実はこう見えて、Aランク冒険者なんだ」
こう見えてって高そうな鎧ととんでもなく強そうな剣を腰につけてたらこう見えても何もないだろう、見ただけで強そうだとわかる。
それにしてもランク昇格はいい話だな、ランクが上がればもっと儲かるクエストができる。
「じゃあ、お願いします」
「分かった、ついてきてくれ」
マスターの部屋に胸を張りながら歩いていくチナツ、その後ろについていくユウキは、チナツの何もついていない指輪を見て疑問を感じていた。
部屋にこんこんとノックが響き渡る。
「はいってもいいですか」
私の愛しの娘が返ってきた、ああ、なんで素直に喜べないのだろう、私は仕方なく、
「ああいいぞ」
と、渋い声で返した。
「じゃあ入ります」
やはりいつ聞いても凛とした声で頭に透き通る、ああ絶対にこの娘はだれにもやらんぞ。
「実は用があってですね」
「用とな?」
「はい実は紹介したい人がいて」
新しい友達が出来たとか?それをおじいちゃんにいちいち報告してくれるなんてまじ天...使.....
「どうもキリアです」
.........男を見た瞬間、体が固まった。
わしに彼氏を紹介?じゃと?何処の馬の骨とも知れぬ奴に.....
「わしの、わしの愛娘は絶対にやらん!!」
「え?......」
「いや何言ってるのおじいちゃん!?」
恥ずかしそうに顔を赤らめている。
「この人のギルドランクを上げてもらいたくて」
「そんなこと知らんわ!自分でなんとかせい!」
「でも〜」
可愛い、やばいなんでもいうこと聞いちゃいそう、でも流石に娘の為にならん事を.....
「分かった、だったら、オーガ倒してこい!」
「オーガ!?無茶ですおじいちゃん、キリアさんEランクですよ!?」
「出来ぬなら諦めよ」
「もう、おじいちゃんなんて嫌い!」
「き、嫌っ!?ゴフッ!.....」
最後の言葉でギルドマスターはノックアウトされた。
そんなギルドマスターを見ながら、立ち去った。
「ごめんなさい、おじいちゃんが」
「いや、いいですよ、後は頑張るので.....」
「いいや、私も手伝おう!」
「いえ、流石にそれは.....」
邪魔です、なんて言えない、頼む察してくれ。
そんな願いも届かず。
「一緒に行く!オーガなら私一人でも十分だ」
チナツが仲間に加わった。
アウラ山にあるオーガの巣、そこまで行く道のりを俺はいつのまにか結成されていたパーティーで攻略中だ。
「実は私はこうやって他の人と冒険するのが夢だったんだ」
「夢?ですか」
「うん、実は私はずっと一人でクエストをこなしていてな、というのも私の力にはみんな合わせづらいみたいでな」
少し暗い顔をする、だが同情なんか引けないぞ、だってもっとひどい奴ここにいるからな?
「話を変えよう、そういえばお前はなんの魔物なんだ?」
「私?ですか、えーと.....」
「狐人だよ」
狐人とは妖狐の下位種でCランクの魔物だ。
「そ、そうなんですよ!」
「へぇ、知らなかった、それにしてもキリアはCランクの魔物を調教できるのか、だったらオーガもいけるんじゃないか?」
「無理ですよ」
「そっか、残念だ、じゃあ私は少しやってくるな」
「え?やってくるって?」
そう問い返した時にはもう姿が消えていた。
どこ行ったんだ?テレポートしたのか?
そんな疑問を頭の中で働かせていると。
「終わったぞ」
血まみれで、オーガの頭を持っているチナツが現れた。
「どこに行ってたんだ?」
「オーガの巣までテレポートたのだ」
「ここまでくる必要あった?」
「ないな」
「........」
「........」
こうして俺達はほぼ動かず、この日Dランクに上がった。




