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復讐するため今日も生きていく  作者: ゆづにゃん
第六章 国ホープでのたわいもない日常
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第58話ミクロス卿(前半)

深夜零時過ぎ、子供達は寝静まり大人達が遊びまわる時間。

当然ミクロス卿も起きている、その証拠に屋敷には明かりがついていた。

門には門番が2人、なんともだるそうでやる気のなさそうな顔をしている。

「はぁーもうこんな時間か....」

手に持っている槍を地面につき顎を置く。

「そう言うなよ、結構給料もいいんだから」

真面目そうな顔をしているが金の事しか興味がないようだ。

「でもさーこんな夜遅くまで門番の仕事はきついんだよなぁ、今頃坊ちゃんは最近買ったエルフでお楽しみだろうな」

そこに俺は平然と後ろから口を挟む。

「へぇ、そうなのか坊ちゃんの部屋ってどこだっけ」

「2階の一番奥の部屋だろ」

気づかずに教えてくれる門番、気が抜けすぎな気がする。

「ってお前誰!?」

「ありがと、もう休んでいいぞ」

「何をガッ!?」

「なんだおまえっ!?」

腹に思い切り一発ずつ拳撃を叩き込み門番を2人を眠らせる。

「おい、出て来ていいぞ」

俺が呼びかけると木陰からリンが出てきた。

「うむ、いい拳じゃった」

「お前からすればまだまだだろ」

「ふむ、まあそうじゃが、それよりここの人間は殺しても良いのか?」

特に恨みはない、だからと言って殺さない理由にもならないし殺す理由にもならない。

「好きにしてくれ」

俺には何が殺す対象になるのかそこら辺の判断ができない、だから個人の見解に任せることにする。

「そうか、それは良かった、ミキとカノンに殺してもいいか聞かれたから、つい、良いと答えてしまったからの」

「ミキまでそう言ったのか.....」

もしかしたらミキは復讐者(こっち)がわの獣人なのかもしれない。

「それよりカノンとミキは配置についたのか?」

「もうやっとるんじゃないか?さっきから少しばかり屋敷が騒がしいじゃろ」

リンに言われて耳をすませてみると屋敷からちょくちょく悲鳴が聞こえる。

「そうか、伝え忘れたことがあったんだがな」

「なんじゃ?」

「この屋敷はポープの中でもえらい貴族が住んでるんだ、って事は用心棒にSランク冒険者が雇われていても不思議じゃない」

「それのなにが心配なんじゃ?」

「お前からすれば、ゴミみたいなもんかもしれないけどな俺達からすれば十分な脅威なんだ」

「そうかの?」

さすがチート魔王様脅威が理解できないご様子で。

「まあいいや、それよりさっさと乗り込もう、カノン達に全部取られる前に」

「そうじゃな、善は急げじゃ」

俺達は屋敷の中に入ると二手に分かれた。



カノン達が裏門の入り口から入った先は運が悪い事に兵士の宿泊所だった。

「ふぅ、これで何人くらいですかね」

一息つきながら剣についた血を振り払う。

多分だがここにいた兵士は半分といない、ベッドの数と死んだ兵士の数が全然合わないからだ。

(それにしても少し強かったですね........)

今まで戦ったなかでも少し苦戦するような相手だった。

それが残り半分以上いる.......それはカノンは心配じゃなかった、心配なのは。

(..........問題は...この槍の持ち主....)

ベッドの懐に立てかけられている槍、それは黒い黒い、ただただ黒い槍、存在を視認出来ているのかさえ不安な槍。

「この槍なんかかっこいいな」

服が自分の血と相手の血で血塗れのミキは無邪気な顔をして槍を手に取る。

「ミキ、それを外に思いっきり投げてください」

「えー、これ欲しい」

「ダメです、それは今すぐ捨てないといけないんですよ」

「えーでも」

「その槍を捨てないとエミリーちゃん助けられなくなるかもしれないよ?」

エミリーと槍では流石にエミリーの方が大事だったようで。

「じゃあ仕方ないね、えいっ!」

槍を振りかぶり外にぶん投げるた、すると槍は地面に突き刺さった。

それを確認してからカノンは精霊剣氷を部屋の床にさして、槍のまわりに氷を張り二度と取れないようにした。

「これでいいでしょう」

「うー、あれかっこいいのに.....」

「いつまでもグズグズしてないで行きますよ、早くしないとエミリーちゃんが.......」

そう言って宿泊所の扉を開けて早歩きで廊下を歩いていく、後ろからは慌てた様にミキがカノンについてくる。

「なあカノン、どうしてそんなに急いでるの?」

「カノンじゃなくて、姉ちゃんでいいですよ」

「じゃあ姉ちゃん、どうして?」

「.......ミキはエミリーちゃんが心配じゃないんですか?」

「それは心配だけど、でもよく考えてみると姉ちゃん俺より強いし.....そう簡単に暴力を振るわれるわけないよ」

「それならいいんですが........」

私も奴隷だったから分かるが本当に怖いのは暴力だけじゃない、本当に怖いのは無理やり犯される事だ。

私は商品価値が下がるためそんな事はされなかったが今回の場合は違う、エミリーは商品ではない、買われた側なのだ。

それにいくらエミリーが魔法やステータスが強くても無力化する魔道具はある。

(そんな事、絶対にさせない!)

その思いは自分の胸にしまいつつも急ぐ心は抑えられず走り出した。



「ミスったのう」

少しばかり小腹が空いたので甘いものがないかと食料庫を漁っていたのだがまさか、いつの間にか囲まれていたとは、わし一生の不覚。

「はぁ、どうしようかのう」

(殺してもいいと言われているがあまり殺生は好かん、できる事なら殺さずに逃げ切りたいのぉ)

どうにか誰も殺さず逃げられないかと囲んでいる兵士を見ていると、1人の男が兵士達を割って目の前に現れた。

「なかなか可愛い女じゃねえか」

少し筋肉質なキザっぽい男はリンの顔に手を伸ばす、だがリンは触れられる前に横に回避した。

「なんだよ、避ける事ねえじゃねえか、まあいいそれよりどうよ俺の女にならねえか?いやなれ、俺はミクロス卿の次にえらい貴族だ、その俺の言う事が聞けないわけあるまい?大丈夫だ、毎日楽しく暮らせるぜ!!気持ちよくもな!!」

男はそう言うと下品に笑う。

すると周りの兵士達も下卑た笑みを浮かべ。

「ジークの旦那俺達にもおこぼれを!」

などと言っている。

そのジークとやらは周りの奴らと同じように下卑た笑みを浮かべると

「じゃあ、品調べっと」

ジークはリンの胸に手を伸ばす

(ああ、やはりわしには、殺生は好かん、などと言う言葉が似合わないらしい)

リンは少し跳躍するとジークの顔面に蹴りを本気で叩き込んだ、すると

「うむグロい、ちょっと威力を間違えたようじゃ」

ジークの首は360度回転して首が吹き飛んだ、首のない死体は地面に倒れると血が噴き出す。

周りの兵士達は、理解ができていないものや理解した事で恐怖心で足がすくんでいるものなど多々いる。

リンはその兵士達に優しく言った。

「なに心配するな、次は上手く殺る」


目の前の門から堂々と侵入し奥に進んでいく、大きい扉を開けるとそこの手前には二階に続く階段、奥には兵士達が臨戦態勢で待ち構えていた。

「もうバレてるのか......」

できるだけばれないように殺すつもりで夜中に侵入したのだが、カノンたちが暴れたせいであまり意味がなくなってしまった。

「貴様!なんの目的でここに来た!ここをミクロス卿の御宅と知っての狼藉か!!」

「なんの目的?そんなの決まってるだろ、仲間取り返しに来たんだよ」

俺は堂々と言い放つ。

「仲間?....坊っちゃまが最近手に入れたエルフの事か........お前は頭がいかれているのか?ただのおもちゃごときの為に犯罪に手を染めるとは.......全く救えん馬鹿だ」

「ああそうだな俺は救いようの無い馬鹿だ、結局の所また人助けまがいの事をしている.....もう懲りたはずなんだけどな」

その言葉に訝しむような表情を向けてくる。

「なにを言っている?」

「でもさ無理なんだよ、いくら人助けなんて無意味だって理解しても、やっぱさ、最低な人間が真っ当な人間を蔑み自分勝手にしてるのが許せないんだ」

「......だからなにを言っているのだ貴様は.......もういい、今逃げるなら見逃してやろうと思ったが気が変わった、ここで始末する」

男は剣を抜刀すると俺の首筋に切っ先を向ける。

「わざわざ我々がお前のような弱者を葬ってやるのだ、死んだ後あっちでの自慢話にでもするがよい」

男は剣を振り上げると俺の頭めがけてまっすぐ振り下ろした。

「自慢話?なに言ってやがるそんな物になるわけないだろ、それよりお前が自慢話になるんじゃないか?」

振り下ろされた剣を右手で掴み、力を入れでバキバキに折る。

「なっ!?お前何者だ!?」

「何者?お前は馬鹿なのか?大貴族様を暗殺しに来たんだぞ、悪者にきまっているだろ?」

俺の罵倒に腹を立て地団駄を踏む。

「ぐぐぐ.........ええい!!殺せ、殺してしまえ!!いくら個々が強くとも囲んでしまえば!!」

男がそう口にすると周りの兵士達はそれに従い俺を完全に包囲する。

「ああ、ちょうど良かった、人間(エサ)欲しかったんだよね、木造大蛇」

ユウキがそう呼びかけると地面から大蛇が顔を出す。

「全部食べていいぞ」

ユウキの言葉に大蛇は、人間を食べたおかげで発生した舌で舌なめずりをした。

木造大蛇は目を見開きギョロリと兵士たちを睨む。

緊迫した状況が場を包む、両者一歩も引かず睨み合う。

先に耐えられなくなったのは兵士の方だった。

兵士が一歩出た瞬間、大蛇は口を開け

一気に食らいついた。

「うわぁぁぁぁぁ!?」

一歩踏み出した兵士が食われた事で悲鳴をあげ尻込みする、だが

「怯むな一気に行け!!」

隊長と思わしき人物が隊の指揮をあげた。

(まるで魔物と戦ってるみたいだな)

木造大蛇はずんずん兵士を丸呑みにしていく。

「おい、お前達!Cランク冒険者を盾にしろ!!弱い奴などいらん強い奴が生きるのだ!!」

隊長の言葉にBランク以上の冒険者はCランク冒険者羽交い締めにしたり、気絶させたり、無理やり前に突き出したりして、木造大蛇に喰わせていった自分の代わりに。

(おいおい、こいつら人間か?)

自分が木造大蛇を出したとはいえ流石にこれは非人道的にもほどがある。

(まあ、いいか、どうせ全員喰わせるから)

いくらCランク冒険者を喰わせようと時間の問題と踏んだ俺は見物に入ろうとした時、平然と化け物が現れた。

「おい、お前!俺を守れ!!」

隊長は隣の茶髪男の髪を掴むと自分の前に叩き出す。

「なんなんすか?いきなり、俺は清掃員で、今清掃中なんです、邪魔しないでくれますか?」

そう言っている男は木造大蛇に背を向けたまま隊長に話をする。

木造大蛇が口を開け男に噛みつこうとした瞬間

「止まれ!木造大蛇!」

男の頭すれすれで止まった。

「あれ止めてくれたんすか、ありがとうございます、じゃあ俺は清掃作業に戻りますね」

そう言って清掃道具を持ってどこかに行こうとしている男を呼び止める。

「ちょっと待て、お前何者だ?」

「........何者ねぇ、しがない清掃員だよってこたえておこうか」

へらへらと冗談めかしてそういう。

「もう一度だけ聞く、何者だ?」

今度は威圧を込めて言ってみる。

「.......ふぅ、もう実力はバレてるし隠す必要もないか」

男はそう言うと茶色い髪をかく、そして

「『旋罠(せんち)』」

そう口にした瞬間、周りにとり囲んでいた兵士達の腹から血が噴き出した。

(どうなってるんだ?どうして俺だけが助かる?あいつは何故味方を?)

男のいきなりの行動に俺は少し戸惑いつつ頭の中で今の状況を整理する。

「あー、そんなに悩まなくていいよ」

安心してくれていい、そう言うと

「俺は味方だから」

そう口にした。


「味方って言い方には少し語弊があるかな、正確には利害の一致」

「利害の一致?」

「そうだよ、君はここのミクロス卿を殺しに来たんだろう?」

「そうだが」

「だから利害の一致なんだよ、俺の仕事はミクロス卿を殺す事なんだ」

ミクロス卿を殺す事が仕事?主人に対する反抗か?.........いや違うか暗殺の依頼を受けて潜入していたって方が頷ける。

「俺はこう見えて万屋やってるんだ、金さえ貰えればなんでもやるって事を生業にしている」

「それは暗殺の依頼でもか?」

「.......ああ、受け付ける、だが今回は少し違うな」

「違う?」

「俺の依頼主はミクロス卿で、ミクロス卿が白髪のガキを殺せと依頼して来た」

白髪のガキ、確実に俺のことだろう。

「だが俺は見る目があるし、超実力派なんでな、依頼主の依頼が余りにも酷く合理性に欠ける場合......依頼主を殺す、楽に言わせてもらうと俺への依頼料はマネー&ライフをかけてもらう」

「.......それは合理性があればどんな事だろうとやると言う事か?人殺しでも?」

「当然」

以外にもこの男は即答して来た。

「あっそうだ、あんたにはこれ渡しておくよ」

そう言って懐から一枚の紙を取り出し俺に渡して来た。

その紙にはこの男の自己PRが綴ってあった。

=========================

職業、万屋

名前リヒト=フリーワン

年齢、ひ.み.つ♪

自己PR:どんな些細な依頼でもどんとこい!トイレ掃除から、ご飯作り、探し物、洗濯、風呂掃除などの雑用、戦闘面に関しても超実力派です!

注意:超万能リヒトさんへの依頼量はあなたの命と(マネー)です

=========================

「どう?結構良くできてるだろ?」

「依頼ならいつでも受け付けてるのか?」

俺のその言葉にリヒトは思い切り食いつく。

「おっ!早速依頼か!!腕がなるねー!」

「いや、依頼は依頼だけどまだしない」

「ん?そうか、でもどこで?」

「ここに潜入して情報を集めてくれないか?俺達もすぐに向かう、報酬も弾ませよう」

アイテムポーチの中に入れてある地図を取り出し目的地を見せる。

「.....ふーん、ここで何をするのか知らないけどまさか俺をこんなに早く信頼してくれるなんて嬉しいねぇ」

「それだけ人手が必要なだけだ」

「そっか、まあいいよ、受けよう.......じゃあね俺は先に向かってるよ愛の教団に......」

「分かった、よろしく頼む」

お互い言葉を交わし俺はミクロス卿の部屋に向かい、リヒトは出口に向かった。

「あっ!聞くの忘れてた、俺の武器見てない?」

「武器?」

「ああ、黒い槍なんだが......少し置いておいたらどこかに言っちゃったんだよね」

「分かった、見つけたら預かっとくよ」


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