第24話気絶
幼女が走り出したのでその後を追いかていくすると、屋敷の外に飛び出した。
幼女は、屋敷の裏手に周りこむと、こちらを振り向き、ちゃんとついて来ているかを確認した後、屋敷の裏のドーム型の壁に向かって手を置く、そして、
「消えろ」
と、唱えた。
すると幼女の触れていた壁が黒く変色して、跡形もなく消え去った。
(どうやったんだ?今の.......俺の消化魔法でも、あんな完全に破壊する事は不可能だ、確実にこいつの固有スキルか何かを使っている)
どうにかして幼女のスキルを知る事が出来ないかと、考えてみるが結局の所分からなかった。
黒く変色して崩れ堕ちた壁の向こうには、洞窟の一本道が続いていた。
「ここをまっすぐ行けばテレポーターがある、サキュバスに追いつかれる前に急いで行くんじゃ」
そう言って幼女は、走り出す、俺とカノンは、その後ろからついて行く。
「なあお前は、サキュバスに仕事任せっぱなしでいいのか?」
「別にいいじゃろ」
(こいつには、責任感ってものが無いのだろうか.........)
内心呆れていると、後ろからサキュバスがコウモリの羽をせわしなく動かし猛スピードで追って来ていた。
「逃がしませんよメルリン様!いい加減ダンジョンに戻って仕事をしてもらいますからね!!」
「誰がダンジョンなんてつまらない場所に帰るか!!私は、楽しい冒険をするんじゃ!」
いや、冒険する理由って魔物を殺すため、金のため、力をつけるためだよな、お前行く必要あるのか?
俺の疑問などこいつらには通じない。
サキュバスは、幼女が反論している時も着々と俺達との間を詰めて来ていた。
それを見た幼女は流石に追いつかれると思ったのか。
「ユウキよ!どうにかしてサキュバスを止めるのじゃ!」
などとわめきだす。
俺はそんな事を言いだす幼女を見て、
「分かった」
と言い、幼女を掴み上げた。
「な....何をする気じゃ!ちょっ!やめてっ.........」
幼女を掴み上げて、そのまま後ろにいるサキュバスに頭から投げつけた。
まさに人間大砲のように。
「こっちこないでくださいー!?」
サキュバスは、悲鳴のような声を出しスピードを落とし始める、だがもう遅い。
早い速度で飛行していたサキュバスが急に止まれる訳もなく、そのまま前から飛んでくる幼女に頭からぶつかり、[ガツン]と言う音が洞窟内に響き渡った。
頭をぶつけ合った、サキュバスと幼女は、地面に倒れ込んでいた。
俺は幼女に近づいて、完全に気絶しているのを確認する。
(よしっ、上手くいった、これで幼女を置いていける)
そもそもユウキは、幼女を連れて行く気がなかった。
理由は、様々だが一番の理由は、幼女の着ていたドレスから始まった。
なんと幼女の着ていたドレスは、途中に建てられていた、看板に書いてあった[最高の宝]その中身がこの幼女の着ているドレスと同じなのだ。
という事は、こいつが看板を建てたのは明白、さらに入れたのもこいつになる。まだ、これだけなら許せただろう
だが、こいつがこのダンジョンを作ったという事は、今まで散々死にかけたトラップや、腹の立つ仕掛けは、全てこいつが仕掛けた事になる。
そんな事をしてくれた奴が仲間になりたいと言って仲間にするだろうか、ユウキならば絶対にしない。
「さてカノン、やり返しもできたし帰ろうか」
「それは、わかりましたけど.......これ、ほっといていいんですか?」
「いいだろ、仮にも魔王だ、これくらいでどうにかなるような奴じゃないだろうし、それに後ろのサキュバスのステータスがやばい」
先ほどサキュバスには隠蔽がついていないのでステータスを確認してみれば.....ざっと今の俺の80倍くらいのステータスだ。
「まあ、ご主人様がいいならいいですけど........」
そう言って一本道を歩いていこうとするその時ある事が気になった。
(こいつにダメージ与えたから、固有スキル何か奪ったんじゃないか?)
そう思い「ステータスオープン」と言いステータスを確認して見る。
すると、そこには【瘴気LV10】の文字が加わっていた。
俺はどういうスキルなのか気になり内容を見た。
瘴気:相手や物を腐敗させる事ができる。
相手を状態異常にする事ができるが、相手に触れていないと発動できない。
なお、状態異常の効力は相手の体になんの魔法の属性を使うかによって異なる。
(例:火属性魔法 火傷
水属性魔法 呼吸困難)
LVが上がると腐敗する速度が上がる
さらに、腐敗させる範囲を広げる事ができる。
(このスキル最悪だな、もし敵でこんな奴がいたら勝てるかどうかも怪しい.........さて、このスキルどうするか、返してやってもいいが、復讐に使えそうだし貰って置いて損はないだろう、それにしても.........なんでこいつにダメージが入ったんだろう?)
すぐそこで気絶している幼女は、魔王であり、さらにLV124と上限さえ超えている奴だ。
それ程の奴が頭をぶつけ合っただけで気絶するのだろうか?
それがユウキの気になっている事だった。
(まあ、考えたところでわからないか)
結局この魔王は、意味不明な事が多すぎて分かるわけがなかった。
「ご主人様?行かないんですか?」
ずっと立ち尽くしていた俺を心配そうに覗き込んでくるカノン。
「ああ、すまない少し考え事をしていたんだ、じゃあ行こうか」
そう言ってカノンと、俺は洞窟の一本道を進んで行った。
♯
しばらく進んで行くと、機械の塊、壁にぴったりとくっついている円形の祭壇のようなものが見えてきた。
少し怪しむも行けるところがそこしかなく、祭壇のうえに登った。
「何でしょうこれ」
するとそこには看板が置いてあった。
[テレポーターへ通じる道」
「道なんて、無いけどな......」
道らしきものがないか、横穴が掘られていないかあたりを見渡して見る。
すると、[ガコンッ]と何かが外れるような音がして地面がせり上がってきた。
「凝った作りするな、あの幼女.....」
こんな物を作るなら仕事をしろ!と言いたい。まあ、それは、置いておく。
(どれくらいでつくだろうか)
そう思い上を見上げて見るが、終点は全く見えない、暗闇に飲み込まれている。
「カノン、少し時間がかかりそうだ」
そう言って俺はその場に腰を下ろし、アイテムポーチを開いた。
その中から、今まで盗んできた松明を何個か祭壇の上に置き明かりを確保する。
「そうですか、分かりました...........あの、ご主人様?聞きたい事があるんですが」
カノンもその場に座りながら喋りかけてくる.......その座り方はやめてほしい、スカートの中がギリギリ見えそうで、集中できない。
「なんだ?」
理性をしっかり持ちながら興味がなさそうにアイテムポーチをあさる。
「なんでご主人様の、魔法は、無詠唱なんですか?」
「ああ、その事か、それはな、魔法を作り変えたからなんだよ」
「作り変えた?」
「うん、俺の使ってる毒魔法とか、自分で作った魔法は全て無詠唱で使うことができる、なら他の通常魔法も自分で作り直せば、無詠唱になるんじゃないかと思ってやってみたら、うまくいった。
習得できるスキルじゃなくで、自分で作り出したオリジナルのスキルに、変えたんだよ」
この方法を思いついたのは、マーリンに魔法の合成を教えて貰った時だ。
合成によって作られた魔法は詠唱なしで発動できる、ならば初級魔法も合成で作り出せば無詠唱になるのではないだろうか?
このことをすぐに思いつき、夜中にこっそり作り変える練習をしていたのだ。
その頃の事を思い出すと今すぐに、マーリンを殺したくなる。
「それは、私にも出来ますか?」
「うーん少し時間がかかるかな、時間が空いた時に教えてあげるよ」
「ありがとうございます」
無詠唱の話をした後にたわいもない話をしていると。
[ガチャン]と音がして祭壇の動きが止まった。
祭壇の動きが完全に止まったのを確認して立ち上がると、松明を全てしまい、一つだけ手にもって置いた。
紅榴石の松明で着いた所を照らしてみると、目の前に薄く青白い光を放つ祠があった。
「多分これがテレポーターだろう、俺は試しに入って見ようと思うがカノンはどうする?俺が安全を確認した後でも良いと思うが」
「いえ、大丈夫です。一緒に行きます」
「そうか、じゃあ入るぞ」
ユウキが一歩踏み込みテレポーターに乗ると一気に青白い光が大きくなりユウキの姿が飲み込まれたと思ったら、既にそこには何もなくなっていた。




