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夜叉と白夜 プロローグ
鬼神族の国。
古い、古い封印が、解かれようとしていた。
篝火が円を描いて焚かれ、その内側を五十名の祈祷師が囲んでいる。
揃って唱える言霊が、夜気を震わせていた。
封印の床には、円形の模様が刻まれていた。
幾重もの線が規則正しく絡み合い、美しく複雑な文様をかたどっている。
いちばん外側の円には、「封」と書かれた文字が五か所刻まれていた。
その文字が何を意味するのか、祈祷師たちの誰にも分からなかった。
誰が封じたのかも、伝わっていない。
それは、いつの間にかそこにあった。
言霊が、最後の一節に差しかかる。
何年もの研究の末、刻まれた「封」の一つに、ようやく細い亀裂が走った。




