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第1話:はじめて抱いた日
うまく生きることなんて、できなかった。
誰かを愛することも、 誰かに愛されることも、 どこかでずっと、他人事のように感じていた。
不器用だと笑われることには慣れていたし、 期待されないことの方が、ずっと楽だった。
だからきっと、僕はひとりで生きていく人間なんだと、 そう思っていた。
――あの日までは。
小さな泣き声が、静かに世界を変えた。
触れることさえ怖かったその存在が、 気づけば、僕のすべてを揺らしていた。
これは、 何も持っていなかった男が、 ひとつの命と向き合いながら、
少しずつ、 少しずつ、
「父親」になっていく記録だ。




