DAY 25 学校祭の出し物と出店ランキング戦に出場を決めた日
「それではうちのクラスは、執事カフェをやることに決まりましたー」
午後、授業は無しで、来月に行われる学校祭の話し合いの時間になった。
代表を決めて、クラスでの出し物を何にするかとアイデアを出し合う。
結果、男子も女子も、執事みたいな格好をしてのカフェとなった。
まぁうちのクラス、美男美女多いしな……しかし女性の執事姿はなかなか萌えるな。
一瞬、最近動画でバズってた、天使ナースコスプレ姿のアレをやろう、とか言い出す女子がいてビビった。
あの動画、近隣でも結構見ている人多いんだな。
「ふぁぁ、ねむ……あ、話し合い終わった?」
「寝てんじゃねぇよ波多野。まぁ俺たちには関係ないけどさ」
まぁこういうのは、クラスの一軍の皆さんが中心になって進むもんだからな。
クラスのイケメン集団と美女集団がワイワイ騒いでいるが、伊江里さんに藤浪さん、西崎さんも執事の格好になるのだろうか……それは……素晴らしい……。
「クラスの出し物は決まりか。あと今年の出店ランキング戦は、賞品にアザ丸君トロフィーの他にもスポンサーが付いて、アクションカメラとかあるから、そっちに出るやつも準備しとけなー」
担任の先生から説明があったが、そういや出店ランキング戦のイベントも同時進行なんだよな。
つか、高校の学校祭のイベントにスポンサーって付くものなのか。
ランキング戦に出る人は、クラスの出し物の準備もあるから大変なんだよなぁ。
「あの伊江里さん、俺たちと一緒にランキング戦出ませんか」
「桃世ー、私たちと一緒にランキング戦出ようよー!」
「西崎さん、よろしければ俺たちと……」
うーわ、伊江里さん藤浪さんに、西崎さんの周りに人だかりが出来ているぞ。
さすがに大人気だなぁ、あの三人は。
「このランキング戦ってよ、この高校の伝統行事らしいんだけど、これでチーム組んだメンバーがその後付き合って、そのままゴールインなんて話が多いらしいぞ」
波多野悠一から衝撃の情報が……え、そういう色恋沙汰も含まれるイベントなの、これ。
まぁあの三人とお付き合いしたい男は多いだろうしなぁ、って、俺誰とチーム組んで出るんだっけ……?
「ふふ、ごめんなさいね。私たち、もう出るメンバーが決まっているのです」
「ごめんねみんなー。宇宙レベルのももよーん様には弟子がいてー、そいつを鍛えないといけなくてー、フハハハハ!」
「……うざ……外行こうぜ」
クラスメイトに囲まれていた西崎華さん、藤浪桃世さん、伊江里クロワさんが輪を抜け、廊下に出ていく。
囲っていたみんなが残念そうな顔になり解散。
「さーて、超人気の三大美女のお相手は誰なんだろうなぁー。なぁ美山ー」
波多野が、ニヤニヤ顔で俺を小突いてくる。
「えーと、あはは……誰だろうね……ってうわっ!」
誤魔化し笑いをしていると、背後から手がニュッと伸びてきて、俺の胸ぐらを掴んでくる。
俺の席は廊下側の一番後ろなのだが、どうやら教室の向こう、廊下から伸びた手が俺をグイグイ引っ張ってくる……ちょ、なにこれ、ホラーなの?
「ひぃ……!」
耐えきれず教室から廊下に引きずり込まれ、地面に転がされる。
「ちっ……なにを他人事みたいな顔してんだよ。さっさと来いよ」
見ると、金髪ヤンキー女子、伊江里クロワさんがすっごい睨んできていた。
「師匠のピンチに颯爽と駆けつけるとか出来ないのかー、弟子ー! 来い、鍛え直しだー!」
「ええと二人は、さっきクラスメイトに囲まれたときに美山君に誘って欲しかったって言っているの……かな。私もあの場面で誘われていたら、嬉しくて抱きついちゃったかも、ふふ」
藤浪桃世さんに西崎華さんも……え、さっき?
ああ、みんなに囲まれていたときか……ってあの輪を割って俺が誘うとかレベルが高すぎて無理っす。
クラスの出し物の内容が決まってしまえば、あとは自由時間。
ランキング戦に参加する人は、集まって話し合ってもいいらしい。
廊下とか、多くの人が集まって話し合っている姿が見える。
俺たちは男子トイレの横の階段が空いていたので、そこで座って会議開始。
ってここ、先月伊江里クロワさんに、いきなりダイエット計画に参加しろって言われた場所だ。
なんだか懐かしいなぁ。
「私、一つアイデアがあるのですが……」
西崎華さんが急に立ち上がり、携帯端末を指す。
「その、こないだのコスプレカレー動画、すっごい人気なんです。視聴回数がすでに五万とかいってまして、クラスや学校でも噂で聞くレベルの話題性になっています。身バレの可能性はありますが、あれをやるのは……どうでしょう」
こないだ、俺たちは西崎華さんが持ってきた天使ナースコスプレ姿でのカレー調理動画を出した。
無名アカウントなのに、その動画は一気に広まり、現在右肩上がりで視聴回数が伸びている。
確かにあれをやれば、すっごい注目をされて集客は出来るだろうけど……。
「あれか……まぁいいんじゃね。あの動画のコメント見ても、正体はバレていなかったし、学校祭のイベントでやっても、ああ、あれの真似をしたのか、で済むんじゃねぇの」
「たしかにー、人気のアレをやりましたー! って言えばいいし、華がどうしてもアザ丸君トロフィー欲しいらしいし、それでいいんじゃないかなー」
二人も乗り気なのか。
「ふふ、どうでしょう美山君。確か賞品に『アクションカメラ』もありましたよね? あれがあれば、もっと良い動画が取れそうですし、みんなで狙ってみませんか?」
西崎華さんが笑顔で俺に手を差し出してくる。
確かに高性能カメラは欲しいが……いや、女性陣が覚悟を決めているのに、俺が迷うのはおかしいか。
「分かりました、やりましょう。みなさんは絶対に俺がお守りしますので、存分に天使ナースを演じて下さい!」
「やったー! ミャーマが格好いいー! さすが我が弟子ー」
「ふふ、あなたにそう言ってもらえると、とても頼もしいです。これでなんの不安もなく出来ます」
「……ずっと側にいろ。じゃないと許さねぇからな」
全員で手を合わせ、ランキング戦への決意を確認し合う。
クラスの出し物にランキング戦と、かなり忙しい学校祭になりそうだけど、この三人と一緒なら頑張れるし、乗り越えられるだろう。
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影木とふ




