DAY 13 ご褒美下着姿と俺のボンレスハムがウケなかった日
月曜日、高校の授業も終わり放課後。
俺はマシュマロボディを拗らせて部活はやっていないので、即帰宅。
一応成績は学年50位以内をキープするようにしているので、勉強をする時間も確保しないとならない。
あと一人暮らしだから、掃除に洗濯など、結構やることがあるのだ。
食事も自分で作らなければならないし、申し訳ないが部活に割く時間は無い。
「さて、帰りに近所のスーパーでお肉を……」
「てめぇ、冷凍庫にどんだけ肉が貯蔵されてると思ってんだ」
高校から自宅マンションまでは徒歩五分。
そしてマンションの横には俺の行きつけのスーパーがあり、ここでいつもお肉を買っている。
いつものクセでお肉を買って帰ろうとしたら、背後から突っ込みが入った。
「今日お昼にお肉食べちゃったからー、走る距離増やすかー」
「あ、それなら、今日は走るだけじゃなくて、レクリエーションでゲーム形式のこれをやらない?」
俺の背後にいたのはクラスの三大美女、金髪ヤンキー女子伊江里クロワさんにスポーツ万能少女藤浪桃世さん、そして和風美人、西崎華さん。
……なんで普通に付いてきているんだ。
「これこれ、百円ショップでこんなのみつけたの。これ楽しそうじゃない? ふふ」
西崎さんがニコニコ笑顔で手に持っているのは、空気を入れたら膨らむビーチボール。
ああ、そういえば夏が近いと百均で見かける商品だ。
俺の自宅のマンションに入り、荷物を置いて全員ジャージに着替える。
うーん、クラスメイトが俺の自宅で、しかも俺の部屋で三人が着替えているとか、すげぇ興奮するんだけど、これ覗いたりしたら……ああ、もちろん犯罪だ。
するわけがない。
でもあれだよな、俺の部屋なんだから、おっと忘れ物とか言って入っても……
「着替え完了ー! ミャーマが覗いてないか確認するかー! あははは!」
着替えを終え廊下で待っていたら、俺の部屋のドアが勢いよく開き、ジャージ姿の藤浪桃世さんが元気よく出てきた。
「桃世てめぇ、こっちはまだ終わってねぇっての」
「あ、待って、私まだ下履いていない……」
ポニーテールを揺らしながら出てきた藤浪さんの向こうに見えたのは、下着姿の女性二人。
「あ、ミャーマ発見! ってかここミャーマの生息地だし、いて当たり前かー! あれ、覗き? いいよー、なんと今ならクロワと華の下着姿が見放題ー、あはははは!」
藤浪さんが俺の肩をバンバン叩き、大爆笑。
「早くドア閉めろってんだ桃世……! あ、てめぇタダ見とか許さねぇぞ!」
「あ……私今日下着適当なの、見られるのは、は、恥ずかしい……」
「う、うわああああゴメン! いや、覗きとかじゃなくて、ただ廊下で待っていただけでして、絶対にお二人の下着姿が美しくて綺麗とか思っていないです!」
俺は慌てて目を手で覆うが、一瞬とはいえ、二人の肌面積多めの美しいプロポーションがしっかりと目に焼きついてしまった。
伊江里クロワさんは紫系で、西崎華さんが黒、かぁ……あ、いやこれは藤浪さんがドアを開けたから見えただけであって、決して覗きではないです!
つか毎度思うが、女性陣三人とも、なんでダイエットをする必要があるの? ってぐらい細身で美しいプロポーションなんですが。
なんにせよ、毎日顔を合わせている同級生の下着姿って、破壊力がすごいってのを理解した。
「桃世てめぇ、絶対に狙ってやっただろ」
「ひどいよ桃世。うう、ちゃんとしたの着てくればよかった……」
着替えを終えた二人が部屋から出てきたが、伊江里クロワさんが激オコ。
「さーて、私には何のことかワカリマセンナー、フハハハハ! ってか下着ぐらいでそんな怒らなくても、ねぇミャーマ? ほら、私のも見る? あ、ブラつけてなかったっけ」
二人に攻められる藤浪桃世さんだったが、右耳から左耳で完全スルー。
笑顔の藤浪さんがジャージの上着をベロンとめくり、お胸様部分を見せてくる……って、おい!
「……桃世……! てめぇ何を勝手に……!」
「きゃっ……え、桃世、みせちゃったの……?」
藤浪さんが舌をペロンと出し、ブラジャーがしっかりつけられたお胸様を……そう、さすがにビックリしたが、しっかりとブラジャーは付いていた。
……残念、じゃなくて、マジで藤浪さんが下着姿で良かった……。
「あはははは、マジで見せるわけないじゃーん。つかー、例え私がミャーマに裸を見せたって、二人には関係ないじゃーん。ってウソウソ、ミャーマにはダイエット計画に巻き込んじゃったって負い目もあるし、一人暮らしなのを良いことに、マンションにも上がりこんじゃってるんだから、ご褒美ぐらいはあげないとダメでしょー、あははは」
ジャージをめくったまま藤浪さんが爆笑しているが、いや、その、同級生の下着姿を至近距離で見られたのが眼福すぎて、腰が抜けてしまった……。
「ちっ……それはまぁ、その……」
「う、うん、そこは同意だけど……わ、私の下着姿はご褒美になるのかな……」
「えー? さっきミャーマ、食い入るように二人の下着姿を見ていたよー? さ、そんなことより、さっさと走ってこよー! ビーチバレー大会で最下位は一発ギャグー!」
藤浪さんが爆笑しながらダッシュ。
え、ビーチバレー? 一発ギャグ?
……つかそれ、絶対に最下位、俺だろ。
歩いて十分の公園に到着、俺の今日の目標は……六百メートルを走る、がんばるぞ。
俺は走ったり歩いたりで当然ビリなのだが、気を使った西崎さんだったり、サボるなよ視線を送ってくる伊江里さんが近くを走ってくれる。
それはとてもありがたいのだが、今日の俺の脳にはお二人の下着姿があるもんだから、伊江里さんと西崎さんのジャージの下を想像してしまう。
結局、雑念を払うのに余計な体力を使ってしまい、五百メートルも連続で走れなかった。
そして百均のビーチボールを使ったタイマンビーチボール大会は、当然ながらスポーツ万能少女、藤浪桃世さんが圧勝。
もちろんビリは、俺。
──一発ギャグかぁ。
「ぶーーーっ! ミャーマが捨て身ー!」
「……まぁ、いいんじゃないか」
「もしかしたら、来月にそれは出来なくなってるかもしれないよ。ふふ、ダイエット計画がんばろうね」
西崎さんがストレッチ用に持ってきてくれていた縄跳び、それを無言で身体に巻きつけ、俺は地面に転がり丸くなる。
マシュマロボディを効果的に使った俺渾身のギャグ、ボンレスハムは小ヒット。
先週、親友の波多野が、腹を抱えて転げまわってくれたのが懐かしい──
多分あいつ、笑いの基準が低いんだろうな。
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影木とふ




