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創作の種記録  作者: 観月
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6/12

宋江の魅力?

 水滸伝百八の好漢たちのリーダーは誰かと問われれば、山東の及時雨(きゅうじう)(恵みの雨)宋江ということになるでしょう。


 設定では、面倒見が良くて、教義心に熱くて、困っている人がいると身銭を切ってでも助け、皆から慕われている人ってことになってます。なってるんですけど、読めども読めども、というか、読めば読むほど、宋江ってそれほどの人物なの? って、頭の中がはてなで一杯になるのです。


 宋江が水滸伝に登場するのは、物語の三分の一に差し掛かるかな? って頃です。

 登場した途端ですね、行く先々で賊に捕まってピンチになるんですよ、この宋江。

 水滸伝ですからね「お前の肝を喰ってやる」なんて言われて、お料理されそうになったりするんですけど、山賊達ったら、相手が宋江だと知ると


「え! あなたが宋江さんでしたか。オイラ、あなたに憧れてたんです。失礼しやした!」


 と、いきなり宋江をもてなし始めるわけですね。


 ちょっと待て、あんたら宋江と初対面だよね? と思うわけですが、まあアイドルに憧れるファンのようなものなんでしょうかね? なんだか知らないけれど、宋江は山賊たちの間で凄いやつだと噂になっていたようです。

 当の宋江は、出歩くたびにあっちの役人、こっちの賊に捉えられて、ひどい目にあうんですけれど、好漢たちが必死に助け出してくれるわけです。

 宋江は、戦いません。やられっぱなしの姫ポジションです。このあたり、林冲や武松とは違います。

 姫ポジションなら、誰をも魅了するイケメンなのかと思いきや、宋江は色黒チビのぽっちゃり男子なんですよ。なぜだ……なぜみな宋江の名前を聞いただけでひれ伏すのだ? と不思議に思います。

 というわけで、意外にも水滸伝ファンには宋江が嫌いという人も多いようです。

 

 しかし、皆に慕われている。

 うむ、ここは妄想力で補わなければいけません。

 そうですね。外見を活用して、色黒ぽっちゃり、庇護欲を掻き立てる無垢な心を持っている人物。こんな感じでどうだろう? その純真さ故に、時折残酷。そこがまた好漢たちの心わしづかみ。天然小悪魔。私の心の中の宋江は、こんな設定になりました。勝手です。


 宋江の悪者っぷりが遺憾なく発揮されるのは、秦明を仲間に引き入れたときではないかと思います。

 討伐にやって来た秦明を気に入った宋江。どうあっても、あの「秦明」とやらを仲間に引き入れたい! と思います。

 罠にかかり捕らえた秦明を饗し始めます。

 そして、宋江マジックです。

 捕らえられた秦明は、相手が宋江と知るとははーっとひれ伏します。


「あなたがあの! ご尊名はうかがっておりました。こうしてお目にかかれるとは!(うっとり)」


 そこですかさず


「あなたを気に入りました。仲間になってくださいませんか?」


 と、誘いをかける宋江ですが、秦明も男です。いくらなんでも、ころっと山賊になるなんて、言いません。また、そう言う男だからこそ、宋江も仲間にしたいわけでしょうしね。


 そこで宋江が企てた秦明を仲間に引き入れるための作戦が下衆すぎるのですよ。

 秦明によく似た背格好の男に秦明の鎧と、武器をもたせ、秦明の住んでいた青洲を襲わせるのです。もう、村々に火を放ち、人々を斬り殺すのです! 教義心のアツいイイ人設定どこ行った!?

 青洲の人々は「なんと! 秦明が攻めてきて、乱暴狼藉を働いた!」と思い込み、秦明の一家は皆殺しにされてしまいます。


 行き場のなくなった秦明。

 むらむらと怒りは沸き起こりましたが、全てはあなたを仲間にしたくてしたことなのです、どうぞ許して下さいと、やんわり下手にでられて、ほだされ陥落です。それでいいのか! 秦明よ!


 うん。きっと宋江には、それでも仕方ないと思わせるような魅力があったに違いない……。と思い込む私なのでした。



 宋江の魅力についての説明で私が一番納得できたのは、力を持て余し悪事を働いてきた好漢たちに「高俅ら悪徳官僚を排除し、宋の国を助け、平和な世の中にしたい」という宋江の志が彼らの中に目的を持たせたのではないかという考えです。

 真っ直ぐだけれど乱暴者、嫌われ者。世の中からはじき出されて、今の体制に不満を燻らせていた者。そんな彼らに、宋江の理想は、生きる意味を与えてくれたのかもしれません。


 皆さんはどう思われますか?

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