12 あなたと歩くバージンロード 2013/06/16(日)
【注意】
この話はフィクションです。実在の歌手兼花嫁モデルの方とは関係ありません
──いよいよ、『この日』がやって来たのだ。
自分の目の前には、一輪の花のような可憐な花嫁がいる。
よく見慣れた面差しのはずなのに、丁寧なメイクを施された顔は別人のように華やかだ。
ピンクのオーガンジーで出来た、軽やかな打掛を天の羽衣のように着こなした美しい少女。
これは新和装、って言うんだっけ。白無垢をベースにしつつ、洋風のドレスのテイストをあわせた可愛らしい花嫁衣裳。髪もメイクも洋風で、薄紫の桔梗の生花をあしらった髪飾りが良く似合っている。
その少女に笑いかけると、少しはにかんだ、でもあでやかな笑顔を返してくれる。
胸の中が、なんだかとても温かなもので満たされていくような、そんな笑顔だった。少女はそのまま袖の裾を持って、ひらり、ふわり、軽やかに衣装の様子を確かめ始める。その天女の舞いのような姿に、すっかり陶然としてしまう。
「アキちゃん、準備できた? ……うわぁっ。凄く綺麗!」
鏡の中に映る自分の姿から目を離し、あたしは世界一愛しい、その声の主に笑顔を向ける。──そうだ。あたしは今日、このピンクの打掛の婚礼衣装で、お姉さまの花嫁になるのだ。
(気分出してるとこ悪いけど、お前の結婚式じゃなくてお仕事だからね? これ)
……雅明って本当、無粋なんだから。
ということで、今日はお姉さま達と一緒に、ブライダルフェアの中のウェディングドレスファッションショーのお仕事なのです。新郎役2人と新婦役6人。相場は知らないけど、この手のショーとしては大規模だとか。
(実際には男4人、女4人だけどなー)
はい雅明、お約束の突っ込みありがとう。でも、それをいうなら男5人、女3人だよ?
(……うそっ。ってことは俺と俊也以外に女装して花嫁やってる人がいるの? 誰?!)
悩む雅明をほっておいて、お姉さまの姿に見とれる。
古典的で豪華な黒打掛に身を包んだ、あたしと違って純日本風の打掛姿の花嫁さんだ。肩幅が狭く頭が小さくて首が細くて長いお姉さまのこと、そんな姿もとても良く似合う。
「でもやっぱり、打掛って重くて動きにくくて大変。アキちゃんは大丈夫?」
すごく軽やかで優美な動きのまま、優しくあたしを気遣ってくれる。
「この打掛、軽くて動きやすくていいですよ?」
「アキちゃん、花魁のときもそんなこと言ってたから、油断できないよね♪」
これも豪華な赤い打掛姿の愛里お姉さまが、くすくす笑いながら言ってくる。
「でも、衣装合わせで何度も見たけど、メイクするとまた格別。言葉に出来ないくらい綺麗」
「お姉さまがたも、本当に綺麗ですよぅ。もう、感動で涙が出てきちゃいそうなくらい」
「あらあら。せっかくのメイクが崩れちゃうから、それはもうちょっと待ってね?」
「メイクって厄介よね。それがなければ、今でもアキちゃん抱きしめてキスできるのに♪」
(でもさ、アキ。俺と悠里の結婚式やるとしたら、やっぱり俺がドレス着るのか……?)
どんなドレスがいいかなぁ。今日着る3着目のドレス、あれなんか素敵だよねっ!
(いや、俺は普通に結婚式をあげたいし、ドレスなんて着たくないんだけど)
……雅明。あたしに嘘ついても無意味ってこと、ちゃんと学習しないとダメよ?
ブライダルフェアの裏側。あたし達の出番が来るまで、しばらく待機。イベントのモデルの時に毎回ある、緊張と興奮とでドキドキしちゃう時間だ。
今日は最初は全員和装スタートで、そのあと急いでドレスに着替え。特にお姉さま達はお客さんの前で、『5分で色打掛からドレスに早着替え』を実演するそうで……最前列でかぶりつきで見たかったなぁ、と正直ちょっぴり残念。でも一緒にウェディングドレスで競演できる喜びも捨てがたく、迷ってしまう乙女心。
お姉さま達が一番綺麗なのは当然として、ほかの3人の花嫁さんたちも本当に綺麗。
1人は身長180cm以上ありそうな、すらりと背の高い女の人。このショーのチーフプロデューサーも兼ねているという、才色兼備の美人さん。今は白無垢に身を包んでいる。
白無垢の人はもう1人。なんだか天使を思わせる、少し不思議な人だった。お姉さま達と並んで容姿とスタイルで見劣りしない人を、モニタ越し以外で見るのは初めてかも。
最後の一人は黒引き振袖を着た妖艶な美人さん。今は隠れているけどたぶんGカップくらいの綺麗なおっぱいと、あたしが少し見上げるくらいの身長の持ち主だ。
花婿役さんたちも、すらり背が高くて本当に美形。今は紋付袴姿で、長く伸ばした髪を後ろで纏めた、細身で中性的なハンサムさんと、タキシード姿で筋肉質の、ちょっとワイルド系のイケメンさんの2人。
「今日はすっごい、モデルのレベル高いわね」
お姉さま達とチーフさんが、早着替えの最後の打ち合わせ中。1人ぽつんと待機状態のあたしに向かって、黒引き振袖の妖艶さんが話しかけてきた。
「そうなんですか? あたしこの手のショー、初参加だから分からないことが多くて」
「やっぱり。なんだかそんな感じがしたもの」
「そうなの? リハでもウォーキングとかうまくて、慣れてるなあ、って感心してたのに」
白無垢姿の天使さんが、驚いた様子で会話に参加してくる。
「あなたのほうは、初めてじゃないのよね?」
「私なら大学のとき2回バイトとかで参加したくらいですね。本業モデルさんにはとてもとても」
「あれ? ということはモデルさんじゃないんですか? こんなに素敵なのに」
「私、そういうのは全部お断りしてて。今日はいろいろあって仕方なく」
びっくりするくらい綺麗な肌が印象的なこの人にも、色々事情があるんだろうか。
「アキちゃん……だっけ? さっき悠里さんのことお姉さまって言ってたけど、どんな関係?」
タキシードのワイルドさんも、会話に参戦。
「えっと。親同士が再婚したので、血は繋がってないけど、お姉さま達の妹です」
「へぇ。なるほどね! 瀬野姉妹の秘蔵妹か! やっぱりモデルになるんだ?」
「はいっ! お姉さま達に一歩でも近づけるように、日々修行中なのです」
「やっぱりか。きっとビッグになれるよ。今日、ショーが終わったあとサインもらっていい? 将来自慢できるようにさ」
紋付袴さんのハンサムまでそう言って参加してききて、会場に聞こえないよう小声で会話。
そんな和やかな雰囲気の中、いよいよショーが始まった。
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あたしの出番は4番目。5番目の愛里お姉さま、6番目のお姉さまに引き継ぐ、露払いのお役目だ。1番手のチーフさんが舞台袖に戻ってくるのを合図にして、会場に脚を踏み入れる。とたんに溢れる、あたしとその衣装を称える声とフラッシュ。
一度体験してしまうと止められない、エクスタシーに似た快感が全身を包みこむ。さっきの会話で、いい感じに緊張感も取れてくれた。妖艶さん達に感謝だ。大きく袖を広げ、西洋の貴婦人の礼をイメージしながらお客さんたちに一礼する。
「うわぁぁっ。綺麗ー」
「可愛ぃー」
「華やかでいいねぇ」
「あら、こんなのも可愛らしくていいわね」
「私はもっと普通なのがいいかな」
会場から、乗り気な母親を年頃の娘さんがたしなめる声が届く。それがなんだか楽しい。他の人は純粋な和装で、歩く姿もしずしずとした雅な姿。でもあたしには新和装の軽やかさを演出するように、むしろ華やかにと指示を受けている。
足を止めて投げキッスしたり、小さな女の子相手に、少し屈んで笑顔で握手してみたり。その度に生まれるお客さんとの一体感。なんだかとても嬉しい気分になる。
『ブライダルファッションショー』と聞いて、何か舞台の上でやるファッションショーを最初思い浮かべていたんだけど、今日はそんな感じじゃない。
ホテルの会議場2部屋分を繋げて使った会場。手前に並べた椅子には主に母娘連れが座り、男の人とかが後ろに凄い密度で立っている。あたしたちが歩く場所は、中央に敷かれた赤いじゅうたんの上。手を伸ばせばお客さんたちとも触れ合える、そんな距離感がとても楽しい。
「きっ、れ──」
「……ええっ?! 瀬野悠里さん?!」
「本当だぁ。こんなところで見れるなんて思ってなかった!!」
「悠里さーん!」
背後から、そんな声が上がってきた。ポーズをとる振りをして後ろを向き、苦笑している愛里お姉さまとアイコンタクト。
悠里・愛里の双子姉妹として何度かテレビにも出ているとはいえ、まだまだ知名度ではお姉さまに劣る愛里お姉さま。お姉さまの、これまでの地道な積み重ねの重要さを実感する。
2部屋目で折り返して、丁度愛里お姉さまとすれ違う頃合、今度は本物のお姉さまが登場。
「あれっ? また悠里さん?」
「……ああっ分かった! 今度は愛里ちゃんか?!」
一部で混乱している様子に、吹き出しそうになるのをぐっと堪える。
それにしても、お姉さま達は本当に優美だ。なんだかお決まりのようになっている、赤の衣装の愛里お姉さまと、黒の衣装のお姉さま。お姉さま達にいつも感心させられるのは、ちゃんと衣装の良さを引き出しているところだ。自分がモデルをやってみて、その凄さが特に実感できる。
『もうお気づきの方もいらっしゃるようですが、黒の打掛の方がモデルの瀬野悠里さん。赤い打掛の方がその双子の妹の瀬野愛里さん。そしてもう1人、ピンクの打掛の人が、お二方の妹の瀬野アキさんです』
アナウンスの人がいきなりアドリブで、あたし達の紹介をしてくれる。
「ああっ、なるほど!」
「悠里さーん!」
「さっき、間違えちゃってごめんなさいっ!」
「アキちゃんって言うんだ。かぁいーっ!」
「愛里さーん!」
「アキちゃーん!」
突如『ブライダルファッションショー』ではなくなってしまった空間と、知らない人からこんな風に名前を呼ばれる初めての体験。そしてリハーサルにない無茶振りに内心戸惑いつつ、3人笑顔でお辞儀する。
「うわぁ。本当、綺麗」
「息もぴったり。練習してたのかぁ」
「美人三姉妹でいいなあ」
お客さん達が喜んでくれたようで、ほっと安心する。そのあとあたしだけ進んで退場、お姉さま達は部屋に1人ずつ立って早着替え実演開始。
さて、これからが戦場だ。
本来20分くらいかかるという和装からドレスへの着替えを、9分以内に終えるのだ。舞台裏に入った瞬間、横から伸びた手に髪飾りを外され、打掛をするりと脱ぎ去る。帯を取って脱いで、下着だけの姿になってパニエを装着。大慌てで白いドレスを纏って、メイクと髪型を調整する。鏡の中の、可愛らしい花嫁としての自分の姿。それをじっくりと鑑賞する間もなく、次の出番に入る。
「アキちゃん、可愛いよ♪」
「リラックスして頑張ってね」
自分達も着替えで忙しいのに、笑顔で声をかけてくれるお姉さま達の存在が愛おしい。
バレエ衣装を思わせる、チュールスカートがふんわりと膨らんだ、膝丈までのミニドレス。肩胸背中が大きく開いた胴部のデザインは身体にそったシンプルなものだけど、その分スカートには花飾りとか散らされていてとっても可愛い。
「これ、軽くて動きやすそうでいいなぁ」
「式で着るにはちょっとはしたないんじゃ?」
「アキちゃーん」と呼ばれるたびに笑顔で手を振って、さっき握手した女の子の前でくるりと一回転したりして。そんな折り返し地点、またお姉さま達の姿が見える。オプションの付け方でがらりと印象の変わる4wayのウェディングドレス。ホルターネックに見える飾りをつけた愛里お姉さまと、それを外してベアトップ状態のお姉さま。2人で仲良く手を繋いで優雅に歩く姿につい見蕩れそうになって、慌てて意識を引き戻す。
あたしが退場する間際、くるりと一礼すると、お姉さま達がスカートを外してミニドレスに変化する様子が見えた。ギミック満載なのが羨ましくもあり大変そうでもあり。
3分間で着替えを済ませて次の出番。これはあたしには珍しく少し大人びたドレスで、密かなお気に入りなのだ。前は小さく、お尻側を大きく膨らませたバロックスタイルのウェディングドレス。
胸元と背中が大きくむき出しで、長袖になった腕と胴部にびっしりとフェイクパールと刺繍が付けられている。お尻につけられた大きなリボンが可愛らしさを演出する。ラインがきれいで、ウェストがすごく細く見えるのもお気に入りの理由の一つだ。
「これすごくいいね! 気に入った」
「でも、あなたじゃウェスト入らないんじゃ……」
前回までとは打って変わって、優雅に歩きを進める。できればこの姿で、いつかお姉さまと一緒にヴァージンロードを歩くその時を夢見ながら。先ほどまで華やかな声をかけてくれていた女の人達が、うっとりとため息をついている。そんな様子が誇らしい。
ターンすると、一足先にカラードレスになったお姉さま達が見える。赤と黒の、スレンダーなイヴニングドレスに身を包んだきれいな姿。
愛里お姉さまのTVデビュー時、ドレス姿の少女がお姉さまじゃなくて愛里お姉さまということを自ら暴露してちょっと騒ぎになった、いわくつきのCM。そのCMで愛里お姉さまが纏っていたのと同じデザインで色違いの、優美なドレスだ。(スポンサーさんは結局、いい宣伝になったと大喜びだったそうだけど)
お客さん達でも気付いた人がいたらしく、
「これ、CMのドレスだね」
「実物だと、もっと綺麗だなあ」
「いいなあ。あたしも着れるかな?」
とか言い合っている声が耳に届く。
そのあとあたしはスカイブルーのミニのドレスに着替えて再登場し、更に最後の、豪華なピンクと白の、童話のお姫様風のドレスに着替える。大きく膨らんだプリンセスラインのスカート。広がるパコダスリーブの袖口。金髪巻き毛のウィッグの上に、ティアラが燦然と輝いている。コスプレっぽい気もするけど、披露宴でこういうのも人気だとか。
最初に握手した女の子の前で、今度はスカートを摘み上げて貴婦人の礼。
「アキさん、ありがとう! お人形さんみたいで本当にキレイ!」
一緒にいたお母さんともども大喜びしてくれて、何よりと思う。
真紅のスタンダードなAラインドレスのチーフさん。
漆黒の色っぽいマーメードラインのドレスの妖艶さん。
背中の大きなリボンが妖精の翅を思わせる、桜色のミニドレスを着た天使さん。
3人の前を通り過ぎ、モスグリーンとマリーゴールドの、色違いで同じデザインのベルラインドレスのお姉さま達。
それに花婿さん達の横に並び、最後に大きくみんなで一礼。
途端に鳴り響く、大きな拍手。準備も含めて確かに色々大変ではあったけど、それが報われたと思う瞬間だ。皆そのままの衣装で着替えることもなく、髪やメイクのセットをきちんとしなおしたりして、ブライダルフェアを終えたお客さん達を見送る。
お姉さま達の周りが人だかりになるのは当然なんだけど、あたしの周りに出来るこの人だかりは意外だった。すっかりお馴染みになった女の子を抱っこして写真を撮ると、他に何人かいた女の子達も我先に抱っこをねだってくる。
『ブライダルフェアの主役はお客様』ってチーフさんの言葉を思い出しつつ、握手をしたり、一緒に写真を撮ったりして、ようやく人がはけたのは割と時間ぎりぎりになってしまった。1回目がショー終了し、最初のピンクの打掛に着替え次の2回目のショーに備える。
ここまでが1セットで、これが今日は残り3回。意外に工夫しどころがあって、面白い。同じドレスでも、自分の動き方を変えるだけでお客さんの反応が随分変わってくるとか。
3分間での着替えも、最初ぎりぎりだったのが、段々と余裕が出るようになってくる。もっともっと続けたい。そうは思っても、やっぱり終わりの時間がやってくる。それがちょっと寂しかった。
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「アキちゃん、また腕をあげたね♪ サクサクしてるのに、口の中でとろけてる」
「この甘さに癒されるわあ。ほっぺた落ちそう」
「いつもながら美味しいわね……アキちゃん、愛い奴、愛い奴」
「ん。なんだか少し、不思議な食感がする……これ、ひじき入りかな? あとはおから?」
「当てられるとは思ってなかったです。ミネラルと植物繊維たっぷりにしてみました」
「なるほど、体にもいいんだ。それでこれだけ美味しいし。今度私も試してみよ」
今日のショーもすべて終わって、普段着に戻って化粧直しして。撤収作業その他で忙しいチーフさん以外の、今日の花嫁モデルさん5人で少し休憩。昨日のうちに作って持ってきたチョコクッキーを皆で食べる。お姉さま達と3人で食べるつもりだったけど、色々意見を聞けるのはやっぱり嬉しい。
(ところでアキ、俺ら以外に女装してる1人って結局誰なの? やっぱりチーフさん?)
ん? あたし、そんなこと言ってないよ? 持っている情報は一緒なのに、やたらと男と女とかどうでも良いことにこだわるくせに、相手が男か女かも分からない雅明がなんだか不思議だった。
スタッフの皆さんとも挨拶をして、会場を出る。下着の上はショーのときから変えてないから、今日は胸元を見せる服が着られる。ということで衿が大きく開いた、白地に赤い小花を散らしたトップスの上に、ピンクの長袖シャツを前を開けて羽織り、空色のマキシスカートを合わせた衣装。
その服で事務所に立ち寄って、今日はあとは帰宅だけだ。
「いい一日だったねー♪ 素敵なドレス一杯着れたし」
「やっぱりドレスは女の子の憧れですよねぇ……すてきなお仕事でした」
「あなた達はそうかも知れないけど、私は流石に疲れたわ」
今日をうっとり回想する愛里お姉さまとあたしに、お姉さまが突っ込みを入れる。
「まあでも、可愛いアキちゃんがいーっぱい見れたから、今日は私も大満足かな♪」
「アキちゃん凄かったなぁ♪ 舞台の最中でも、どんどん上手くなっていくんだもの」
「お姉さま達を見て本当に凄いな、って思って。一歩でも近づけるように、って頑張って」
「やっぱりアキちゃん偉いなぁ。……私も負けてられないな。このあと、事務所のトレーニングルーム使わせてもらえないか、聞いてみよ」
と言って携帯を取り出すお姉さまに、大慌てで「あたしもお願いします」と頭を下げる。
「2人とも元気だなぁ……あ、お姉ちゃん、私の分もお願いしてね」
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それにしても、今日は素敵な一日だった。あんなに綺麗なドレスをいっぱい着られて。
(男なのに、せっかくの日曜を女物のドレスを着せられて潰して。酷い一日だった……)
……なんだか雅明、今日はやけにつかっかってくるのね。
それじゃあ来週もブライダル関係のお仕事だし、せっかくだから雅明にお任せしちゃおう。
(本当に勘弁してよ。俺、ドレスなんて着たくないんだって)
あの素敵なドレスを『あたし』が着られないのは本当に残念だけど、雅明のことを思って譲ってあげるんだからね。感謝しなさいよ?




