表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/64

第二章④

ルッカ、マロリィ、ガブリエラ、ネイチャは箒に跨り飛んで、ノーザン・サクラメント・バレイのナンバ・サーティーンに向かった。ナンバ・サーティーンはまだ発見されて間もない金脈で、マーブル財団の管理下にある。そのエリアに大勢の男たちが働きに来ていて、金脈を中心に徐々に街が生まれつつあった。

ルッカは高い位置から、エリアを見渡す。シデンのダウジングが反応し、ルッカがシャベルで掘った場所は宿舎の裏手、井戸と見張り台のちょうど中間地点に当たる。昨夜は何もなかったが、今は車輪のはずれたトロッコが裏返しになって、ルッカが掘った穴を塞いでいるようだった。

「ほら、マロリィ、あそこ、トロッコが裏返しになっているでしょう? あそこを掘ったら王冠があって、ガラスのケースの中にあったんだけど、でも、ガラスに触ったら、一度ビリリってなって」

「バランスを崩されたわけね」マロリィは箒から両手を離してバランスを取りながら言う。

「バランスが崩される? どういうこと?」

「力も理論もまだ完成には程遠い、しかし弱く、未熟なものでも、」マロリィは天に向かって指を立てる。「バランスが崩れた対象には有効である場合がある」

「えっと、どういうこと?」ルッカは首を傾げた。

「それから?」マロリィは雲を見ている。

「う、うん、そのときはシデンがふざけたんだと思ったんだけど、だから別になんとも思わなくて、でも、ガラスに触ったら、ケースが向こう側に動いて」

「ベルが鳴った、そして気を失った」

「うん、よくは覚えてないんだけど」

「つまり電気に喰らったことによって、」マロリィはこめかみに指を立てる。「脳ミソにより響くようになった、電気を喰らわなければ、ベルにルッカを一瞬で眠らせるほどの効果はなかった、万能ではないってこと、でも、上手くバランスを崩すように罠を掛けたんだ、より馴染むように、計算して」

「そんなベルがあるの?」

マロリィは微笑んだ。「まあ、ルッカとシデンの二人はトラップに掛かったわけだ、マーブル財団のトラップに掛かったわけ、おそらくルッカが掘った場所に王冠なんてなかった」

「え?」ルッカはマロリィの近くに移動して自分の目を指差す。「いや、この目で見たよ、確かに見たもん」

マロリィはルッカの肩に手を置く。「マーブル財団にはサブリナっていうエキセントリック・ジーニアスがいる」

「サブリナ?」

「ええ、彼女は天才的な頭脳の持ち主、マーブル財団は彼女を雇い、投資してエキセントリックな魔具を作らせたり、魔法使いについて研究させている、それはゴールド・ラッシュで掴んだ栄光を誰かに奪われないために、そしてその栄光をさらに煌めかせるためによ、ルッカの目を騙したのはサブリナの研究の成果、シデンに反応させたのも、きっとサブリナが仕組んだことね」

「え、どういうこと?」

「金をダウジング出来る魔女はファーファルタウでもおそらく十人もいない、ダウジングの研究が進んでいないということもあるけれど、ダウジングには絶対的な魔力量が必要、ルッカの国ではどうだった? シデン以外にいた? ダウジングを編める魔女」

「いない、」ルッカは首を横に振る。「そういえば、そうだ、学問所に紫の魔女は多かったけれど、ダウジングをする娘なんていなかった、シデン、簡単にやるから、特別なんて思わなかったけれど、そっか、特別なんだね」

「でしょ、彼女は特別なのよ、ゴールドの採掘で栄光を掴んだマーブル財団はダウジングっていう武器をずっと欲しがっていた、だからきっと、」

「マロリィ、」カブリエラが声を出す。「見つかったみたい、レンズがこっちを向いて光を反射した」

 次の瞬間、見張り台に立つ男が小さなハンマでベルを鳴らし始めた。採掘場で働く男たちが騒然となる。警備に当たる兵士たちは銃を構え始めた。見張り台に立つ男が指先を空に向けると、銃口が空に向けられた。

 一発の銃声。

 ヒュンと音を立てて弾がカブリエラの顔の横を通過した。

 カブリエラはゆっくりと笑顔を作る。「……先に撃ったな」

 カブリエラの群青色が輝く。

「待って、カブリエラ」マロリィが諌める。

「え、やらないの?」カブリエラの光が消える。

「え、やらないの?」ネイチャも緑に光っていた。「せっかく編んだのに、」口角を上げて微笑む。造り出したシガレロを指先で回して口元へ。おそらく魔力を一時的に増幅させるラッシュの類だろう。ネイチャはルッカを見て言う。「吸う?」

「いい、」ルッカはラッシュの作用と副作用について学問所の魔女に教えてもらったことがある。だから首を横に振る。「いらない」

「そ、吸いたくなったら吸って、」ネイチャはルッカに近づき、腰のベルトの隙間にシガレロを強引にねじ込み、耳元で囁く。「一度吸ったら多分、忘れられないよ」

 ルッカはドキリとする。

「皆、手を顔の横にやって」マロリィが言う。

 三人はそれに従う。

「どうするの?」ルッカは聞く。

「降りるよ」マロリィはゆっくりと下降する。

「え?」

 カブリエラとネイチャもすでに下降を始めていた。ルッカも続く。正直怖かった。マロリィが何を考えているのかも分からない。しかし、何か考えがあるのだろう。

 四人は沢山の銃口の前に降り立つ。

 髪の色鮮やかな魔女四人を前にして、男たちは静かになっている。

 マロリィはその男たちに向かって言う。「ここにエラリィはいる?」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ