復活
少し遅れました!!
この世の獣人は、“人“に近い獣人と“獣“に近い獣人が存在する
“人“に近い獣人は、獣の部分を完全に隠すことができ。その気になれば人として生活も出来るものたちだ
一方、“獣“に近い獣人は、獣の部分を限りなく小さくすることは出来ても、完全になくすことは出来ない
その代わり、獣の部分を増やすことは出来るのだ
それが『獣化』。本当の意味で、獣と人のどちらでもない者のみが使える特権である
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「ガアアアアアアアァァァァァア!!」
思考が・・・・・・・おぼつかない
目の前が・・・・・・赤い
はぐれた仲間を探しているさなか、突如として急激な魔力の上昇を感じた
本来なら、それでも姉御を信じるのが筋なのだろうが・・・・・・・でも私はここに来た、言いつけを破って、だがそのお陰で姉御の命を救えた。後で怒られるだろうが
でも─────────姉御の傷ついた姿を見て、一気に私の中のなにかが切れた
「アアアアァァァァァァ!!」
全力で魔力をこめて、蹴る、殴る。だが届かない
技術がこもっていないとはいえ、ラプティスと名乗った敵は私の攻撃をいとも簡単に受け流す
癪だが認めるしかない。私達では勝てないと
─────────だが、それはここに来ているのが私達だけだったらの話
「ガァ──────!?」
「ぬう・・・・・・・・!?」
瞬間、ラプティスとテルス。二人の足元が漆黒に染まり、飲み込まれる
今だ!!
テルスは体から鱗やヒレなどが露出してしまうほど濃くなった獣の血を抑制し始める。自分の思考能力が保てるレベルまで
当然。その隙を逃すラプティスではない。動かなくなった私に、不安定な姿勢ながらも魔力弾を放つ
だが
「────────!? 馬鹿な!! 我が力負けするだと!!」
「パノプリア、オプロ!!」
「岩石落下!!」
「エア・カノン!!」
突如影から飛び出したノースに押さえつけられたラプティスの元に、二人の渾身の魔法が炸裂する
だが
「うそ、無傷・・・・・・・」
「そんなのアリ・・・・・・かよ?」
二人分の魔法を受けたはずのラプティスだが、その身を覆う堅牢な鎧には傷ひとつついていない
本当にこんな化け物に勝てるのか? という疑問がオプロとパノプリアの脳裏に浮かぶ
だが、そんな疑問は────────
「いや、二人とも上出来だぜ」
それは、自分達をいつも奮い立たせ、希望を持ってくる親友の声
この声だけで、“勝てるのか?“という疑問は“勝ってみせる“という決意に変わる
「さあ、やろうか!!」
この戦いは後に、“人類“対“魔人“の最初の戦いとして、後世に語り継がれることになる
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「・・・・・・ありゃ、完全に出遅れたね私達」
「別にいいだろう。団結が高まるのは良いことだ」
「・・・・・だね。 で、と・・・・・・テルス?」
オプロ、パノプリア、ノースがラプティスを押さえている間に、危険な状態からアスピダに回復してもらった私だが・・・・・・
「・・・・・・・姉御。この戦いの後は覚悟しておいてください」
「・・・・・ハイ」
怖い。今のテルスはさっきほどではないが鮫の体に近くなっているので、ただ睨まれるだけでも相当な威圧感である
そうでなくても、あれだけ大口を叩いておいて負けたのでとても気まずいのだ
「・・・・・・・・・・『連魔爆』」
そんな風に気の抜けた会話をしていた私達にしびれを切らしたのか、ラプティスが先程私がやられた魔力の爆弾を十個ほど展開する
「『権限強奪』!!」
だが、それを読んでいたかのように、パノプリアの杖から光を帯びた粒子が放出される
それはラプティスの魔力爆弾に纏わりつき、さらに強く輝きながら───────
ポスン・・・・・・・・
そのまま空中で霧散した。さすがのラプティスもこの光景には驚きを隠せていない
その様子にパノプリアはほくそ笑む
「周辺の魔力の支配完了!! アイツはもう魔力を圧縮できない!!」
パノプリアは周辺の魔力を、『魔力と混ざりあって結合を阻害する』性質へ変えたのだ
「ちなみに私達は?」
「もちろん無理。魔法は自分の体内で完結させて!!」
「無茶を言うな。が、そういうことなら『強化』!!」
テルスが突っ込む、が、ラプティスはその姿を見て落胆したようなため息を出す
「愚かな・・・・・・・素手、ましてや破られている技でバカ正直に特攻など・・・・・・・」
案の定、ラプティスに攻撃は止められ・・・・
「──────!?」
────────なかった。テルスの攻撃は止められるどころか、ラプティスの剣にひびを入れるほどのダメージを与えた
その様子を見たラプティスは即座に後退し、剣のひび割れに魔力を込める
みるみるうちに大剣は修復され、元の形に戻った
ラプティスはテルスを睨み付け
「なぜその技でわが剣を破れた?」
「別に、あの時はただ様子見で魔力をこめてただけ、もうどのくらいつぎ込めばいいのかわかった」
と、あっけらかんと答えるテルスにラプティスは面食った様子だ、そんなラプティスに、さらに私とノースの魔法が迫る
「影爪!!」
「蒸爆!!」
二つの技が混じり、爆発音と共にラプティスに着弾する
だが、蒸気と土埃が晴れた時見えたのは、攻撃を盾で完璧に止めたラプティスの姿だった
その時、ラプティスがニヤリと笑った・・・・・気がした
「やはり人間は集まると面倒だ・・・・・・だが、それと同時に嬉しいぞ、その強さ」
その瞬間。ラプティスの気配が膨れ上がる
剣と盾を構え直し、威風堂々と立つ姿は、たとえ怪物と呼ばれるものだろうと、美しいと認めざるをえない
「“魔人“ラプティス、いざ尋常に・・・・・参る」
後3話ほどで次の章に行く予定です




