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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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 江戸時代において、卵とはまあまあ高級品であったらしい。


 だからかは知らないが、武士はよく卵を食べる。

 特に今日なんざ、ゆで卵と卵焼きを同時に所望してきやがった。


 メインがオムライスと知っててよく言えたな、それ。


「卵とは、完全栄養食なのだ」


 幸せそうにちょっと焦げた卵焼きを頬張り、武士は言った。歯が溶けるほど砂糖を入れたヤツが好きなのである。


「昼間のテレビで見たぞ。なんでも卵とは生命の塊であるからな!」


 テンション高ぇなー。

 こちとら繁忙期だってのになー。


 半眼で武士を眺めていると、ヤツは私の皿に自分の分の卵焼きを乗せてくれた。


「だから大家殿もたんと食べるがいい。某の元気を分けてやろう」


 気持ちはありがたいが、コイツが働いてくれる方が元気出る気がするな。


 だが、現代日本に武士の需要があるかどうかは分からない。せっかくなら特技を生かした職に放り込んでやりたいが、コイツ、一体何ができるのだろう……。


 私の分のゆで卵をくすねようとする手をはたきながら、私はぼんやりと考えていた。

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