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守れ!不死宮くん〜あの時も不死身だったら〜  作者: 山盛り
彼だけが良く知っている
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感動の再会ってやつ?byジャクマ

クマ子達4人はやっとこさ公園に着いたよぉ。

シゲちゃんとフジミヤがモタモタしてるから、もう日が暮れそぉ。

それにしてもひっろい公園だねぇ。

走り回ったら何時間かかるかなぁ?


「クマ子さん、ちょっと良いかな?」


事件はまだみたいだしとりあえず池の周りをフラついてたら、ヨシトモがクマ子を呼んだよぉ。

ペロンチョキャンディのお代わりかな?


「なぁにぃ、ヨシトモぉー」


「クマ子さんのクマ子って、確かアダ名だったよね?

キミと関わりの薄い僕がアダ名で呼ぶのはどうかと思ってさ。

本名はなんて言うんだい?」


「クマ子の本名?」


ええと、何だっけ。

お母さんもお父さんも、それにシゲちゃんだってクマ子って呼ぶからすっかり忘れちゃったぁ。


「……どうして回ってるんだい?」


「こうしてたらぁ、思い出すかなってぇー」


クルクルクルクル、ククルクル。

駄目だ、目が回るぅ。


「大丈夫か?」


よろけて倒れそうになったクマ子を、愛しのシゲちゃんが支えてくれた。


「ありがとぉ……シゲちゃん」


ううう、でもまだ気持ち悪いや。

ついでだしこのままシゲちゃんに体を預けとこっと。


「ヨシトモ、クマ子の本名はジャクマだ」


「ジャクマ?」


「ああ。

漢字は難しいが」


あっ、そうそうそれだよぉ。

惹真だよぉ。

真に惹かれる者だけと過ごしなさいって、お母さんが言ってたよぉ。


「そうなんだ。

シゲゾウくんありがとう。

ジャクマさん、改めて宜しくね」


そろそろ喋れそう。


「んー、クマ子で良いよぉ」


「だそうだ」


「そうかい?

本人がそう言うなら、僕もアダ名で呼ばせてもらう事にするよ。

クマ子さん」


「はぁーい、クマ子ですぅー」


ガッコーの出席名前呼びを思い出したクマ子は、グイッと手を挙げた。


「はは……」


「おい、ヨシトモ!」


遠くからフジミヤが叫んでるよぉ。

池にカッパでも居たのかなぁ?

あ、こっちに走って来る。


「どうしたの?フジミヤくん」


「ヨシトモが言ってた仕掛けって何処に有るんだ?」


「それは……見てからのお楽しみと言う事にしておかない?」


「何だよ、勿体ぶりやがって。

まあ良いや。

んでさ、俺達はどの辺で待機してりゃ良いんだ?」


「それは……僕の予知夢でもハッキリとはしてなかったけど、概ねこの公園の中央付近になるね。

そこが一番、例の仕掛けを楽しめるスポットだし」


「そうか。

じゃあ中央に行こうぜ」


「そうだね」


フジミヤとヨシトモが2人でどっか行っちゃう。


「クマ子、俺達も行こう」


「ええー?カッパ探そうよぉー」


クマ子はシゲちゃんの服を引っ張った。

でもシゲちゃんは大っきいから、ちっとも動かせない。


「カッパ?

ここには居ないと思うが」


「居るよぉ。

ほらあれ見てあれぇー」


クマ子がズビシッと指指したのは、池の柵に立てられてる看板。

その看板には緑の体に黄色いクチバシ、頭のてっぺんにはちゃんと皿も乗っけてて、正真正銘カッパの絵が描いてある。

そのカッパは池の中に立ってて『カッパは良いけど人間は池に入らない事!』って言ってるよぉ。

だからこの池にはカッパが居て、あの看板もカッパが作ったんだよぉ。


「クマ子、あれはただの絵だ。

カッパは実在しない」


「えぇー!?」


シゲちゃん嘘付かないから、ホントにカッパは居ないのかぁ。

残念。


「クマ子、俺達も行こう」


「クマ子は健康優良児だけど、カッパが居ないのはショックです……」


クマ子がうつむいてると。シゲちゃんがクマ子の黒髪ショートヘアを撫で撫でした。


「クマ子、カッパは居ないがツチノコは居る。

今度2人で探そう」


「ほんとぉ!?」


クマ子が見上げると、シゲちゃんがニッコリ笑ってる。

珍しいなぁ。


「ああ、今度な。

今はヨシトモ達に従おう」


クマ子は100点満点スマイルでガバァっと大きく頷いた。

そして、シゲちゃんと手を繋いだ。


「うんうん。

ヨシトモ目指して出発ぅー!」


シゲちゃんはちょっとだけトロいから、クマ子が先に走り出した。


「全く……」


「んん?なんか言った?」


クマ子が振り返ると、後ろのシゲちゃんは首を横に振ってた。


「何でも無い」


「オッケぇー」


クマ子はシゲちゃんを引っ張って走って走って、ヨシトモ達に追いついた。

そこは物が少ないから開けてて、でもドーナツみたいな輪っかのベンチが幾つか設置されてるよぉ。

その内の一つに、ヨシトモとフジミヤが座ってる。


「あっ、クマ子さんにシゲゾウくん」


「待たせたな、ヨシトモ」


「ねえねえ、カッパって居ないんだってぇ。

今日までクマ子も知らなかったよぉー」


「は?カッパ?

クマ子お前、高校生にもなってそんなもん信じてたのかよ。

馬鹿か?」


クマ子は馬鹿かもだけどぉ、他人に言われるとイラッと来ちゃうなぁ。


「フジミヤ。

馬鹿は言い過ぎだ」


クマ子の後ろに居たシゲちゃんがズイッと前に出て、フジミヤを睨んでるよぉ。

シゲちゃんを怒らせると怖いんだぞぉ。


「お、おお、悪かった。

でもシゲゾウだってカッパなんか信じてないよな?」


「ああ。

ツチノコは信じてるが」


「ツチノコ?

んーまぁ、ツチノコは目撃情報が多いからなぁ。

そっちも居ないと俺は思うが……」


「クマ子は健康優良児だからぁ、ツチノコは居ると断言します!」


「……好きにしろよもう」


フジミヤは両手を頭の後ろで組んで、ドーナツベンチにゴロッと寝っ転がっちゃった。

人が少ないから良いけどぉ、お行儀悪いよねぇ。


「フジミヤ、呑気にしてて良いのか」


「シゲゾウくん、僕達に今出来るのは待つ事だけだよ」


「先に動けば有利では?」


「僕の予知夢はそれ程正確じゃ無かったから、下手に動き回るより待ち構えた方が確実だよ」


「そうか。

歯痒いな」


「シゲゾウ、結局お前は瞬間移動のままで行くのか?

俺の不死身を使いたいんなら、先にコピーしといた方が良いぞ」


シゲちゃんが唸ってるよ、うーんって。

クマ子は退屈だからぁ、ペロンチョキャンディ舐めよっと。


「クマ子、飴を舐めるのか」


「うん」


クマ子が返事したらぁ、シゲちゃんが手を出して来たよぉ。

シゲちゃんもペロンチョキャンディが欲しいのかなぁ?


「紙を剥いてやる」


「あっ、ありがとぉー。

シゲちゃん大好きだよぉー!」


クマ子は優しさに触れて嬉しくなっちゃって、シゲちゃんをギューっとした。


「クマ子、飴を……」


「しっかしお前ら、良くもまぁそんなに堂々とイチャつけるよな」


「あっ、フジミヤくん!」


ドーナツベンチの上で寝っ転がっちゃってるフジミヤを、ヨシトモが引っ張って無理矢理起き上がらせちゃった。

「あそこ!」って言って、何処かを指差ししてる。

どうしたんだろ。


「……ココア!

それにあいつは……」


「フジミヤくん?」


「どうした。

事件が近いのか?」


「うん、ココアさんと誰かが来たよ。

シゲゾウくん、そろそろ動いてくれるかい?」


「ああ。

どうすれば良い?」


「僕達……いやフジミヤくんはこの位置から真っ直ぐ向かうから、シゲゾウくんは出来るだけフジミヤくんとは真反対に回り込んで欲しい。

なるべく誰にも気付かれないようにね」


「分かったが、言っておく。

俺はクマ子の安全を最優先する。

お前達はその次だ」


「シゲゾウくんはそれで良いよ。

僕とクマ子さんは戦闘向きの超能力者じゃないし、基本的に隠れているからね」


シゲちゃんはヨシトモと話してばっかりで、ちっともペロンチョキャンディの紙を剥いてくれない。

クマ子はもう手に持ってスタンバってるのに。

自分から言い出したのに。

ブーブー。


「ヨシトモ。

クマ子は超能力を無効に出来るが、危険予知のお前はここに居ても居なくても変わらない。

お前は逃げるべきでは」


「僕かい?

確かにそうかも知れないけど、僕はこの作戦の言い出しっぺだからね。

直接見届ける責任が有ると、そう思っているよ。

変かな?」


「いや、分かった。

じゃあ俺は行く」


シゲちゃんがクマ子から離れてっちゃう。

クマ子は咄嗟にシゲちゃんの手を握った。


「クマ子……?」


「シゲちゃん!ペロンチョキャンディの紙取ってよぉー!」


「ああ、すまん。

貸してくれ」


シゲちゃんは右手で頭を掻きながら、左手をクマ子に差し出した。

クマ子はその大っきな手の真ん中に、ペロンチョキャンディをポンと置く。

前買ったのは普通に剥けたのに、どうしてこれは硬いんだろう。


「所でフジミヤくん、まさか……ココアさんが連れてる人に見覚えが有るのかい?」


「……隠してたってしょうがねえ。

そうだ、俺はあいつに見覚えが有る。

詳しくは伏せさせて貰うが、あいつは物を燃やす超能力を持ってる可能性が高い」


物を燃やすかぁ。

そういやクマ子のお家も、綺麗さっぱり燃えて無くなっちゃったんだよねぇ。

フジミヤんちに泊まって飲み放題出来たから結果オーライだけどぉ、思い出すとやっぱショックだよねぇ。

がっくし。


「……どうしてそう言えるの?」


「カイリを助けに小さい公園へ行った時、ココアの服が燃えてたろ?

ココアはあれをナンパ男のせいだって言ってたが、ココアいわくその男の口癖が『燃え上がる』だ。

んで、俺があいつと会って話した時も燃え上がるとか燃え上がれないとか呟いてた。

そいつとの別れ際に火事が起きて、俺は謎に助かったがクマ子の家が全焼。

つまり、あいつの周囲では2回も不審火が起きてる」


話が長くて良く分かんないけどぉ、クマ子のお家を燃やした悪い奴がこの公園に来てるって事かなぁ?

クマ子もプンプンだけどぉ。シゲちゃんはもっとプンプンだよぉ。


「クマ子、これ」


ほっぺを膨らませてるクマ子の目の前に、美味しそうなペロンチョキャンディが!

クマ子は迷わずパクリと行っちゃうよ。

ああぁー、フルーティで生き返るぅー。


「んむんむ……ありがとぉシゲちゃん大好きぃ!」


「じゃあ俺は行く。

フジミヤ、正面は任せた」


「ああ。

シゲゾウ、いざって時は任せたぜ」


「お前こそ、クマ子を危険に晒すなよ」


「はいはい」


シゲちゃんが走ってく。

クマ子は目一杯手を振って、シゲちゃんの背中にエールを送った。

シゲちゃん頑張れぇー。

ファイトぉ。


「ヨシトモ、どうした?」


フジミヤが心配してる。

クマ子も気になって見てみたら、ヨシトモが自分のおでこに手を当てて難しい顔をしてるよぉ。

急にお熱が出たのかなぁ。


「いや、彼の超能力が暴発しないと良いなって思って……」


あ、ヨシトモが元に戻った。


「ヨシトモの予知夢には火事なんて出なかったんだろ?

俺がさっきから言ってるのも結局は推測でしかないし、そう物事がどれもこれも悪い結果に傾くとは限らない。

ココアとあいつは仲良さげだし、むしろ俺達にとって有利に働いてくれるかも……な?」


うーん、フジミヤのお喋りはクマ子には難しいなぁ。

ああ、ペロンチョキャンディ最高。

また箱買いしとかなくちゃ。


「うん、そうだね……フジミヤくん。

でもココアさんはどうして、一度振ったナンパ男の彼を連れ歩いているんだろう?

フジミヤくん、そこの所について何か知らない?」


「……ココアは愛に飢えてる。

名前の通り、心から安心出来る真の愛情を求めてるんだ。

もしかしたらあいつがそれをくれるのかもな」


「……他人のプライベートに踏み込むつもりは無いよ。

フジミヤくん、話しづらかったよね。

ごめん」


「いや、全部こっちの話だからヨシトモは気にすんな。

それより時間はどうだ?」


「時間……ちょっと待ってね」


ヨシトモがポケットからスマホを出して触ってるよぉ。

クマ子も持ってるよぉ。

あむあむ。


「5時半……もう少しだね」


「そうか」


ザッザッザッと、誰かが土を踏む音がする。


「あっ、誰か来たよぉ?」


「何っ!?」


フジミヤがガバッと立ち上がったけど、すぐに大人しくなったよぉ。


「おいクマ子、俺の目には誰も来てない様に見えるんだが。

お前嘘ついたのか?」


「クマ子は健康優良児だからぁ、嘘なんかつきません。

誰かが来てるのはあっちだよぉ」


クマ子が足音のした方、クマ子の後ろっ側を親指で指したげると、フジミヤもそっちを見たよぉ。

そんでもって、凍ったみたいに止まっちゃった。

どうしたんだろ。


「ウララ……?」


「えっ?」


ずっと遠くを見てたヨシトモも、フジミヤと同じ方を見たよぉ。

2人がそうしてるとクマ子も気になっちゃうから、後ろにクルッと半回転。

そしたら、片目隠れ黒髪ロングに紫ワンピの暗い感じがする女の子が立ってたよぉ。

女の子の後ろの方にもついでに誰か居る。

誰だろう。


「ウララさん?」


「奇遇だな、ウララ。

アツシも一緒じゃねえか。

2人でデートでもしに来たのか?」


「ふーん、ウララって言うんだぁ。

クマ子のキャンディはいかがぁー?」


フジミヤ達の知り合いみたいだし、クマ子は挨拶がわりにペロンチョキャンディを差し出した。

けど、ウララとか呼ばれた女の子はキャンディなんか目もくれずに、クマ子の隣を通り過ぎちゃった。

ダイエットしてるのかな。


「おい、ウララ……」


ウララはフジミヤの前で止まって、フジミヤに抱き付いちゃった。

わお。


「ウララさん!?」


「なっ……何だよ?」


ココアにクマ子に……ウララ?

いやぁ、フジミヤは女の子にモッテモテだねぇ。

クマ子は健康優良児だからぁ、妬いたりとかはしませんけど。


「……ナリツグ」


「ウララ?」


「ナリツグ、ナリツグだよね?

会いたかった、会いたかったよぉ……」


ウララはフジミヤにギュッとしがみ付いたまま、グスングスンと泣き出しちゃった。

フジミヤは抵抗しないで黙ってる。

良く分かんないけどぉ、感動の再会ってやつ?


「ウララさん、一体どうしたの?」


「それはウララではない!」


「おおっ!?」


急に誰かが叫んだもんだから、クマ子はびっくりしてペロンチョキャンディを落としちゃった。

土付いちゃうけどぉ、洗ったら大丈夫だよねぇ?


「アツシくん?」


「ウララは幽霊に肉体を貸し渡している!

今のウララはウララではなく、ヨリコと言う名の幽霊だ!」


「何だって!?」


「……ヨリコ?」


黙り込んでたフジミヤが、ボソッと小さく一言だけ呟いた。


「ナリツグ……」


ナリツグって何だろ。

うーん、人が増えたし泣いてるし、それに幽霊が何とかかんとかって……クマ子にはさっぱり分かんないよぉ。

とりあえず手洗い場に行って、落として土のくっ付いたペロンチョキャンディを洗ってこよっかな。


そういやシゲちゃん今頃どうしてるかなぁ。

銃持った人もまだかなぁ。

頭ん中をグルグルさせながら、クマ子は手洗い場まで小走りした。


ハツカを連れたココアを発見し、発砲事件に備えるフジミヤ達。

そこにウララとアツシが偶然現れたが、ウララは何故かフジミヤに抱き付きまるで別人の様に振る舞った。

随伴しているアツシ曰く、ウララはヨリコと言う名の幽霊に憑依を許し、その体を委ねているらしい。

一体ウララの身に何が起きたのか。

ドーナツショップにてウララとココアが別れた場面まで、時と場所は遡る。

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