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【完結】最弱アイテム士は世界を科学する〜最弱の職業と呼ばれ誰にも期待されなかったけれど、気づけば現代知識で異世界の常識を変え無双していました〜  作者: 東雲 寛則
第7章 終焉の血戦編

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479話 終焉の血戦(4)

 おかしい、いくら考えても。


 遥斗は不思議だった。

 前衛の三人は、この世界において最強レベル。


 エーデルガッシュはオーバーロードを体得した神子。

 マーガスは未知の金属、オリハルコンを操る戦闘の天才。

 アマテラスはクサナギを失っているとはいえ、護符で引き上げられたレベルは600後半。


 中衛のブリードは、人族最強クラスの剣士。

 るなは、最上位モンスター神獣。


 これだけの戦力。


 これで——


 手も足も出ないのは、異常すぎる。


(そこまでの力があれば……エリアナ姫を使う必要性はあるのだろうか?否、断じて否)


 遥斗の思考が、加速する。

 記憶の端に、何かが引っかかっていた。


 それを——


 明らかにしなければ。


「マーガス!お願い!一人で戦ってみて!」

「は?おい、そりゃいくら何でも無茶だろ!いくら天才の俺でも限度があるぞ!」

「お願い!僕を信じて!」


 遥斗の目は、真剣だった。


 マーガスは——


「ちっ……分かった、分かった!任せておけ!マテリアルシーカーのリーダーに出来ない事などない!見てろ!」


 オリハルコンの大剣を天に掲げた。


「アルケミック!」


 大剣が二つに分かれる。


 二刀流。


 両手に、オリハルコンの剣を握る。


「うおおおおおお!アストラリア国王辺境伯ダスクブリッジ家当主、マーガス・ダスクブリッジ!参る!」


 マーガスが、突撃した。

 もちろん、闇雲に剣を振るうような真似はしない。


 武器のしなりを利用したバロック流槍術を応用した剣技。


 左右の剣が弧を描き、歪なタイミングと速度で交差する。


 しなりによる溜めが可能にする、予測不可能な軌道。


 どんなに武芸に秀でていても、初見での対応は困難を極める。

 しかも二刀となれば、なおのこと。


 完全に意表を突いた剣が、エルミュレイナスに迫る。


 しかし——


 当たらない。


 かわす。


 いなす。


 逸らす。


 全く力を使わない、柔の捌き。


 エルミュレイナスは、最小限の動きで全てを、無効化している。


「くそっ……!」


 マーガスの剣は、力ではなく技によるもの。


 それでも——


 悠々とその上を行かれている。


 レベルの高さ、違う。

 超常的な速度、違う。

 圧倒的な技量、違う。


 そんなものでは説明がつかない程、エルミュレイナスは優雅に舞う。

 いくら斬撃を繰り出そうとも。


 しかし、マーガスとてアリアに鍛えられた。

 それは技量ではなく精神。

 何者にも屈しない、どんな逆境にも立ち向かう。

 不屈の精神。


 マーガスの剣術が——


 変化した。


「オオワシの太刀!」

 右の剣が、天から降り注ぐ。


「アラタカの太刀!」

 左の剣が、鋭く切り上げる。


 クロスフォード流剣術。

 エーデルガッシュが使用していた、帝国最強の剣技。


 マーガスは見様見真似で、再現していた。


 まさに天才の、なせる業。


 しかも——


 二刀流は、マーガスオリジナル。


 奇襲においては、この男以上はいない。

 それが、遥斗がマーガスを指名した理由だ。


 強さだけではない何か、を持つ男。



 普通なら——

 いくら何でも、これには反応できないはず。


 今回は、違う。


 エルミュレイナスは——


 切り上げの剣を、下から叩いた。


 軽く。


 それだけで、マーガスのバランスが崩れる。


「うわっ……!」


 自分の斬撃速度が災いして、そのまま転倒してしまった。



「分かった!あの男!未来が視えておる!」


 エーデルガッシュが、叫んだ。

 彼女はゴッドアイの力で1秒先が見える。

 それと、全く同じものを感じたのだろう。


 その言葉に——


 遥斗の疑惑が、確信に変わった。


(やっぱりそうか……!)


 アマテラスの話では——


 アマテラスの父、オルミレイアスは未来が視えたという。

 弟であるエルミュレイナスにも、その力はあったはず。


 ただ——


 オルミレイアスは予言のような力だったので、確証は得られなかった。

 しかし今、目の前で証明されている。


「アマテラスさん!戦闘に未来視を応用する……可能なんですか!?」

「無理だ!不可能だ!」

 アマテラスが、即答する。


「父は……できなかった!未来視は……戦闘には……使えぬ!」


 しかし——


 エルミュレイナスは、笑った。


「ははははは!できていたぞ?兄は」

「兄は天才だった……未来視を戦闘に応用できる唯一の存在だったのだ」


 エルミュレイナスの目が、遠くを見る。


「しかし、王となり……その力は衰えていったがな……子が生まれてからは顕著だった」


 アマテラスが息を呑む。

「それは……つまり……」


「そう……お前が生まれたから……兄は弱くなった……お前が……兄を殺したも同然なのだ」

「そんな……そんな事あるはずない!」

「事実だ……受け入れろ……」


 遥斗は、完全に理解した。

 マーガスのおかげで。

 エルミュレイナスが動かない理由。


(未来視を使って……攻撃を読んでいる……)


 だから——


 下手に自分が移動すると、未来が変わって対応が難しくなる。

 そっと動いているのも、その為。

 あまり相手を大きく動かすと、未来のビジョンが変わってしまう。


(つまり……動かない動きこそが……最大の構え……)


 防御においては、比類なき存在。


 だからこそ——


 一歩も、動いていない。


 遥斗が、叫ぶ。

「エルミュレイナスの秘密が……分かった!」

「役に立ったか?」

「うん!すごくね!」


 遥斗がマーガスに目配せする。


「同時に……弱点も見えた……」

 その言葉に、全員が反応する。


「動かないからこそ……最強……」

「つまり……自分からの攻撃は、ない」


 防御に全振りした能力。

 カウンター特化。


「なら……!」

 エーデルガッシュが、剣を構える。

「攻め続ければ……いつかは……!」


 しかし——


 エルミュレイナスは、笑っていた。


「秘密が分かっても意味はないな」

 笑っていたが、その眼は冷たかった。


「時間切れだ……」



 遥斗たちは異様な気配に気づいた。


 周囲を、見渡す。


 そこには——


 無数のスライム。


 エリアナが変化した肉塊。


 それが——


 遥斗たちを、包囲していた。


 前も。


 後ろも。


 左も。


 右も。


 全て——


 スライムに、囲まれている。


「こ……これ、なんだよ……やばくねーか……」

 大輔が、呻く。


「いつの間にこんなに……」

 さくらを守るために、るなも唸り声を上げている。


 エルミュレイナスが、静かに告げた。

「お前たちは……間違えたのだ。自分達が何をすべきだったのか。その優先順位を」

「エリアナは……増えた。増え続けていた……今なお……」


 無数のスライムが、蠢く。

 ズルズルと不気味な、音を立てて。


「そして……次はお前たちを贄とする番だ。もう……終わりだな……」


 終焉。


 それは——


 唐突に訪れた。


 エーデルガッシュが、歯噛みする。


「くっ……!」


 遥斗も——

 拳を、握りしめた。


(まずい……これは……本当に……)


 スライムは、生きた者を取り込み増殖する。

 ここを切り抜けられても、まだ街中にエリアナスライムはいくらでもいる。


 取り込まれれば、全て終わる。


「さぁ……どうする?足掻いてみるか?」

 エルミュレイナスが、問いかける。

「それとも、終わりを享受するか?」


 選択。


 しかし——


 どちらを選ぶのも、不可能。


「時間は……ないぞ……」


 スライムがじわじわと、距離を詰める

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