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〈一話〉月と太陽(一)

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 これから天高くに上がる太陽の光が漆黒の空を水色に染め直し、連なる山の稜線は照らされ一本の光る道が出来ている。その朝陽がまだ届かない先、空と大地は何処までも暗く夜よりも深い漆黒色に染まり、星は消え満月だけが悲しげに漆黒の夜空に浮かんでいる。


 夜の女王である丸く白い月は太陽とは逆に静かに姿を消そうとしている。


 そんな二つの「昼」と「夜」の王が並ぶ真ん中に草原が広りよく見ると小さな、小さな集落がある。殆どの住人はまだ寝ている時間だが、そんな集落から少し離れた場所の畑の中に家が一軒ある。そして窓からは太陽とはまた違う光、無機質な光が漏れ小さく庭を照らしている。


 そんな光に混じって、何かに耐え苦しみ悶絶するような声が聞こえ、励ますような声も一緒に聞こえる。


「ああ、痛い!!」


「頑張れテルース!」


 天井からぶら下がるランプに照らされたテルースと呼ばれた黒い人(ダークエルフ)の女性が横になり足を大きく広げ、非常に整いその美しい顔を歪め大粒の汗が浮かぶ。テルースの枕元には同じ肌の男―――――夫であるパルテが手に持った布で、妻の身体中からとめどなく出てくる汗を心配そうに妻の顔を見つめながらふき取る。


「あともうちょっとだよ、踏ん張りな」


 広げられた足の間に入った老齢の産婆が冷静にいう。


「頭が見えたよ、息みなテルース」

 

「ああ、クッソ、クッソ!早く出てきなさい!?」


 産婆の掛け声通りにテルースは短く息みながら大声で汚い言葉をいう。


「あ、ああ!!」


「出たよ!」


 言葉にならない悲鳴を上げ産婆がいうのと同時に赤ん坊も産声をあげ、産婆が片手で抱え腰から短剣を抜き手早くへその()切る。


「女の子だよ」


 そう産婆は言いながら血だらけの赤ん坊を前もって準備しておいたお湯を入れて置いた桶に入れ、優しく手でお湯を赤ん坊にかけ血を落とす。血が落ちたところの肌は両親と同じ黒だが真っ黒ではなく薄い黒だ。パルテは無事に我が子が生まれたことホッとしたのも束の間、赤ん坊を洗っていた産婆が叫ぶ。


「パルテ! この子を洗いな」


「え、俺が?」


「二人がまだいるって言ったでしょ! ほら早くコッチに来な!」


「パルテ、早く!」


 二人の女性から強く言われてパルテはオタオタと移動して、産婆からまだ血だらけの赤ん坊を受け取る。急いで産婆は先程のように足の間に入り、妹か弟が出てくるのを待つ。二人目はすぐに生まれた。


 今度はすんなりと生まれ、一人目と違い体重が驚くほど軽く小さい。

 

 一人目と違い産婆は二人目を取り上げた瞬間は声を上げなかった。同じようにへその緒を切り取り、もう一つの桶に入れ血を洗い流した。すでにパルテは赤ちゃんを洗い終え綺麗な布に包み、テルースに赤ん坊を見せている。産婆は無言で二人目を洗い同じように布で包み両親に見せた。




 夜空に無数の星と大きな真っ白に輝く満月が浮かんでいる。その星と月明かりで照らされた草原の青々としていた草木は昼間とは違う色を見せている。その中を何かが動いた。


 月明かりに照らされそれは小さな少女だった。


 少女は月のように真っ白な肌をしている。白い人(ホワイトエルフ)にしても異常な、そうまるで死人のように白い肌をしている。肌だけではなく瞳や髪の毛も全て白く、着ている服も白いが服の方がまだ生気がるといえる色合いをしている。


 少女は何が嬉しいのか、月明かりに照らされた草原を軽くスキップしながら歩いている。少女は草の上に寝転び鼻歌を交えながら輝く星を見上げていると、少女を照らしていた月光が遮られた。


「ルナ」


「あ、お姉ちゃん・・・・」


「冬に入るのにそんな薄着で外を出歩いたら体を壊すよ」


「・・・・ごめんなさい。すぐに戻るつもりだったけど、月と星が綺麗だったから」


 少女――――ルナを覗き込んだのは自分と同じくらいの少女に謝る。ルナと容姿がそっくりな、姉であるソルは自分の羽織っていたマントを外しルナの体に掛ける。マントといっても自分たち着ている服よりほんの少しだけ、生地が厚いくらいだがマントにはソルの温もりが移っていて温かい。


 容姿こそルナとソルはそっくりの双子だが二人は決定的に違うとこが一つある。何もかもが真っ白なルナとは逆、姉のソルは肌も瞳、髪色の全てが白と真逆の黒だ。ルナの隣に同じように姉のソルは横になる。


「体の調子はどう?」


「昼間より調子いいよ。それより昼間はありがとう、お姉ちゃん」


「別にいいわよ、わたしがむかついたから殴っただけよ」


「それでもいいの。ありがとう」


「・・・・どういたして」


 ルナが笑顔で感謝の言葉をいうとソルは顔を背けていう、心なしか顔がほんのり赤くなっていたのは寒さのせいではないだろう。姉の不器用な態度にルナはクスっと小さく笑う。


「ほら・・・・帰るよルナ」


 紛らわすように立ち上がり手を差し出す、ルナは手を握り返し引っ張られるように立ち上がる。そしてルナとソルは手をつなぎながら家に向かって歩き出した。


小修正 2/2 3/13

中修正 1/1 1/14 2/1

  

何とか年内にファンタジー要素を加えられた!!投稿から三か月、文字数にして十五万文字でようやくだです、自分でも呆れています。そんなグダグダな本作「平成が終わり平和も終わりを告げる」ですが、よろしければ来年もお付き合いお願いいたします。


 

良いお年を。そして皆さんが十、二十年と時間が経っても、

歳を取っても面白いと思う本と出合えますように。


           平成三十年一二月三〇日 ビギナーキャンパー


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