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豪邸の絡繰り

「先ほどから申し上げている通り、代々伝わる『大切なもの』は四神の像に隠されています。」

「どの像なんだ?」

「いえ、違います平島警部。いずれかの像に隠されているわけではありません。秀樹さんの曽祖父がカラクリ好きだったということを思い出した時に思ったのです。この豪邸自体になにかの仕掛けがしてあるのではないかと。その仕掛けが何かはわかりませんが、トリガーとなる方法はわかりました」

「勿体ぶらないで教えてくれ」

「はい。四神の像はそれぞれこの家の四つの場所に置かれています。この広間には青龍が、秀樹さんの書斎には朱雀が、台所の先の通路の行き止まりには白虎が、そして、菊池さんの部屋には玄武の像があります。そして、菊池さんの部屋で玄武の像を調べてる時にあることに気がつきました」

「もしかして、合ってないって言ったことと何か関係があるんですか?」

「その通りです、乃木さん。合ってないんですよ、方角が」

「方角!?」

「この広間は玄関に近く、一番南側にある部屋です。そして、この部屋には青龍の像があります。ですが、おかしくありませんか?本来、四神は、北に玄武、南に朱雀、東に青龍、西に白虎なんです。つまり、この南側の広間に在るべきなのは青龍の像ではなく、朱雀の像であるはずです。代わりに朱雀は西にある秀樹さんの書斎に有りました。この家では、北に白虎、南に青龍、東に玄武、西に朱雀なんです。つまり、本来の四神の並びを右に四分の一回転させた形になっているんです」

「本当だ、何故今までそれに気づかなかったんだ…」

「乃木さん、手伝って頂けますか?」

「はい」

「皆さんついて来てください」

鏡花は北にある白虎の像のところまでみんなを連れて来た。

「乃木さんこの白虎の像を持ち上げてもらえます?」

「え、いいんですか?」

「構わんよ」秀樹が答える。

「わかりました。では、失礼します…あれ、持ち上がらない」

「どきたまえ。私が持ち上げよう」平島が力一杯持ち上げようとするが、持ち上がらない。

「どういうことなんですか。秀樹さんこれは外れないんですか?」

「わからない。この像を動かそうなどと思ったことは一度もない」

「私に貸してもらっていいですか?」そう言い、鏡花が像を横に向けると簡単に外れた。

「え、橋爪さんなんでわかったんですか?」

「たまたまですよ。それでは乃木さん、この像を持ってついて来てください」

次に鏡花が向かったのは西にある秀樹の書斎だった。

「では、乃木さん、私が朱雀の像を外すので代わりに白虎の像をはめてください」

「わかりました」

白虎の像をはめると朱雀の像を持って、広間に戻って来た。そして、同じことを繰り返し、青龍の像を持って菊池の部屋へ向かった。今度は玄武の像を取り、代わりに青龍の像をはめる。そして、玄武の像を持って白虎の像があった場所に戻って来た。

「これで一周しましたね」

「はい。乃木さん、最後に玄武の像をここにはめてもらっていいですか?」

「わかりました。いきますね」乃木は玄武の像をはめた。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


どこかで何かが動く音がした。

「なんだこれは!?」

「なにが起こっているんだ!?」

音は十秒程で止まった。

「橋爪さん、何があったんですか?」

「私にもわかりません。おそらく、何かの仕掛けが作動したはずです。ですが、わたしは何かを見落としているのかもしれません…四神の像、仕掛け…」

「なんの仕掛けが作動したかわからないなら、どうしようもないんじゃないか?」

「っ!?みなさん、私について来てください」

「何かわかったんですか?」

「ええ。四神にはもう一匹生き物が出てくるんです。それは黄龍です。中国では四方の他に中央という方角を守っている龍がいる、と言われています。つまり、中央とは重要な場所ということです」鏡花が連れて来たのは玄関だった。

「こ、これは!?」

玄関を開けると、そこには今までなかった龍の像があった。

「これが五つ目の像…」

「だが、これがなんだというのだ」

「みなさん見てください。ここに文字が書かれた石があります。それにこの石をはめ込むための穴もあります」

「これが最後の謎ってことですね、橋爪さん」

「ええ、この謎を解けば私たちの勝利です」

「おい、ここになんか書いてあるぞ」

像の裏側には文字が書かれていた。

『シンジツノイロヲミキワメルベシ』

「なんだこれ?真実の色を見極めるべし?どういうことなんだ」

「真実の色…?朱雀、白虎、青龍、玄武。乃木さん!あの四神の像の色覚えてますか?」

「え、え、はい!確か、朱雀は赤色で、青龍は水色に近い青色で、白虎は白い体に所々黒い線が入っていて、玄武は茶色でした」

「乃木さん、ありがとうございます」

「まさか、わかったんですか?この謎が」

「はい!答えはクロです!」

鏡花が『ク』と『ロ』の書かれた石をはめ込むと、庭の方からまた大きい音が聞こえた。

庭の方へ行くと地面に階段があった。





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