↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
代役勇者物語  作者: 幸田 昌利
第二章
36/111

34、迷宮七層 前編

 七層に降りると、目の前にいきなりデカい奴が居た。


「あれ、竜?」


姉さんがそうつぶやいた。


亜竜種:ソードドラゴン:男 LV35

特殊情報:《迷宮の守護者》《迷宮融合》《迷宮の虜》


どうやら竜の亜種らしい。

そして、色々怪しい特殊情報があるな……。


「《迷宮の守護者》は迷宮自体のボスって事かしら? 今までの階層ガーディアンには無かった情報だし。そして怪しいのは《迷宮融合》ね。迷宮と同化するのか、又はエネルギーか何かを常時迷宮から得ているのか……」


「どう戦うシャ――――?」


「理想は階段から遠隔攻撃を繰り返し、危なくなったら上の階に退避……なんだけどねぇ。《迷宮融合》が気になる所ね。下手に迷宮自体の何処でも移動できるなら危険が増す可能性が高いし」


敵の強さは明らかに格上。

しかも、種族的にも相当な強敵であろう。


「種族耐性は判らないけど、名前からしても物理メインだとは思うんだけど。そうであれば《スティールMP》で吸収しながらやれる気はするわね」


正直に言って、僕には判断が付かない。

今までで最強の相手である以上、万全の準備をして行きたいとは思う。

しかし、今はまだ襲い掛かって来る気配は見せて居ないが、明らかにこちらを認識している。

《迷宮融合》が本当に融合してどこにでも移動出来るなら、姉さんの魔素が小屋の防御に使えない現状では寝ている最中に襲撃を受ける危険もある。

明らかに迷宮の主自体も構造の再構築などで妨害を行っている様なので、寝ている間に居る場所の構造自体を変えられて危険に陥る可能性も出てきている。


「取り敢えず、ってしまった以上、コイツはってしまわないと不味いかもね」


それが僕の結論だった。


 まずは戦ってみて、どうしても厳しそうなら一時撤退の方向で決まった。

敵の体長は頭から尻尾の先まで十五mはあるだろう。

頭からは名前の由来だろう、剣の様な角が生えている。

亜種だからなのか翼は無く、四足歩行の蜥蜴とかげの親分と言える姿をしている。

予想としては頭部の剣状角での上方からの攻撃と前足の爪、後は尻尾攻撃もあり得そうだ。

形状的に尻尾に毒などの特殊攻撃は無さそう。

爪の方は良くわからないが、最初から何かが分泌されて濡れているという事は無い様だ。


 戦闘隊列はゲルボドが正面、多少軸をずらしてその後方かつ階段近くに姉さん。

僕は状況に合わせて遊撃する方向だ。

まずは強化魔法をゲルボドと姉さんが使う。

事前にかけるタイプの強化魔法をゲルボドが実は多彩に持っている。

問題は回数制なので、雑魚で毎回使う訳にもいかないという欠点もあるのが残念だ。

姉さんは通常発動の《アースブースト》を、全員にかけて防御を厚くした。

ソードドラゴンの現在位置は階段からは距離があるので、逃げる可能性を考慮してまずは魔法で仕掛ける。

姉さんは《アースシールド》を全員の前に作ってから《スティールMP》を使用したようだ。

僕も《スティールMP》から開始する。

ゲルボドは広範囲氷結呪文の様だ。

たこでは有効だったので、今回ももしかしたらと言う期待があるのかもしれない。

見た目が蜥蜴とかげだしね。


 《スティールMP》が効くなら回避に専念して連打の方向も考えていたがそう甘くは無かった。

吸収したMPは消費MPの約七割程度。

二回試して二回とも同じだったので、無効化はされていないが耐性がある様だ。

その間にゲルボドの魔法が発動したが、それ程動きに影響は出て無い。

もしかしたら大量に撃ち込めば効果が出るのかもしれないが、劇的な効果がある敵では無い様だ。

敵との距離がまだあるので次の魔法を発動した時に、相手の角に魔法物質の反応が見えた。

風属性に反応が変化した瞬間に、視界の端に赤い液体が舞うのが見えた!

ゲルボドの剣を持つ右腕が地面に落ちて居た……。


「ルーク! あいつの角に魔法物質反応があったら移動しなさい! 真空系の断裂能力を使ってきてる!!」


……完全に失敗した!

見た目で判断して、遠距離攻撃をそこまで意識してなかった。

僕は移動しながら、単体攻撃魔法を撃ち込む。

属性は取り敢えず氷で行く。

ゲルボドに追撃が行く事が怖いので目立つように動きながら攻撃していると、再度敵の角に予兆があった。

止まる瞬間が無いようにしながら複雑な曲線を描くように移動すると、地面から湧き上がる様に真空の断裂が発生した。

相当ヤバイ威力だ。

僕が直撃したら、どの程度耐えられるかわからないレベル。

ゲルボドの状況をチラリと確認する……流石ゲルボド……右腕を拾っているのは見えていたが、《快癒》の魔法を発動して元に戻った腕を回して、動きを確認している。

そこまで酷い状態だとクレリアさんでもまだ治すのは無理だと言っていたはずだから、とんでもない性能だな《快癒》。


 敵は動いてこない様だ。

どうやらリキャストタイムがあるらしくて、一定間隔で真空攻撃を行っている。

見た目に騙されていて、実はコイツ遠距離タイプなのか?

その後も何度か真空攻撃がやってきているが、僕なら何とか回避出来て居るが姉さんは無理だった。

《ウィンドブースト》を使用して回避も試した様だが、魔素を使用しない状態では基本能力が低い為に焼け石に水だった。

そうして真空攻撃を喰らったのだが、姉さんは比較的ケロッとして居た。


「これ、相当痛い。あと装備が駄目になる!」


……喰らった部分の装備が、見事に切り裂かれて肌が露出していた。

大半は赤く腫れ上がった感じに見え、出血は効果範囲中心部の極浅い部分だけしか無い様だ。

姉さんの身体に存在する体内魔素に、ほぼ弾かれたらしい。


 魔素は肉体に染み込む様に存在している為、物理ダメージにはそこまで貢献しないとの事。

それに対して魔法は魔素に触れると存在自体が薄められ、打ち消されていくので、一定量の魔法ダメージをカットする効果があるらしい。

魔素の許容量を超えた分は全部ダメージになる為、大火力範囲攻撃の方が魔素の消費が激しく危険との事なので、範囲の狭い魔法で助かったのかもしれない。

昔は役に立たないと言っていたが、《ウィンドウ》を獲得してからの魔素の有効度の上昇度が半端ないですよ!!

まぁこれで回避出来ない姉さんも、多少は安心だとわかった。

次にゲルボドだ。

ゲルボドはどうしても魔法を使う際はあまり移動が出来ない。

詠唱を必要とする為に、どうしても反応が遅れてしまう様なのだ。

しかし、最初のあれ以降はダメージを受けて居ない。

足元に真空攻撃の予兆は出るのだが、真空が現れる前に消えてしまうのだ。

理由は分かっている。

《スペルセービング》……このスキルが発動している。


「ゲルボド! 《スペルセービング》の発動条件は?」


「俺の現状では95%シャ――――!」


なっ! 確率かよ!!

最初に二十分の一に負けた訳か……。

運が悪い奴だ……。


 さて、このまま魔法での応酬を繰り返すかどうかを考えなくてはならない。

《スティールMP》が通じない以上、僕のMPは既に余裕が無い。

ゲルボドは5%に負けなければ問題は無いが、当たった場合に腕が切断されるのは確認されている。

胴体に当たって無事かどうかが判らないので、そんなギャンブルを続けていいのかが悩みどころだ。


「姉さん! 僕は前に出る!」


「OK、まずは回避を中心にして攻撃パターンを把握しなさい!」



 攻撃魔法は全般的に氷系統を皆で撃っていた。

その効果があったのかどうかは判らないが……こいつ、今は無茶苦茶動きが鈍いんですが!!

接敵して回避をメインで用心しながら攻撃していたのだが、相手の攻撃手段は角の打ち下ろしと爪による引っ掻き攻撃だ。

それが遅い!!

ぎこちなく予備動作をしてから十分な溜めを行ってから攻撃してくる。

これが恐ろしく遅いのだ。

当然ゲルボドも前に出てきて殴りましたよ。

だって遅いんだもの!

おそらく撃ちまくった氷魔法のお陰なんだろうけど、ここまで余裕になるなら素直に殴るのが一番だ!!

まぁ、当然このままでは終わりませんでしたがね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。