プロローグ
私の目に前には、世界の敵が居る。
襲来者、そう呼ばれている存在。
異世界からの侵略者。
ここで戦っているのは四人。
しかし、この戦いに勝つのは不可能だろう。
既に四人ともまともに戦う力は残って居ない。
増援がこちらに向かっているらしいが、それまで耐える事は不可能だろう。
だが、この戦闘を維持する方法はある。
とある生贄を差し出す必要があるその方法を、私は躊躇うことなく選択した。
☆ ☆ ☆
とてもとても永い時間に感じた。
私にとって、永劫とも感じられる時の果てに援軍が到達した。
実際にかかった時間など、精々二十分程度だろう。
しかし、私にとっては自分の捧げた生贄が無駄になるかどうかの瀬戸際だった。
間に合って良かった……。
援軍のお陰で、すぐに戦闘は終わった。
そして生贄が朽ち果てる時が来た。
私は最後の力を振り絞って、仲間達に別れを告げている最中に……私の肉体は崩壊した。
☆ ☆ ☆
何処かから声が聞こえる……。
『強き精神を宿す魂よ。
貴女は死にました。
それが幸せであったのか不幸せであったのかは私には分からない。
そしてこれから私が与える運命も、あなたにとってどう感じるのかは不明。
しかし、それでも私は貴女を必要とします。
私が与えるのは、百年毎に転生する勇者としての魂の束縛。
これは貴女に対する魂の呪縛。
私の世界に対する隷属。
許しを請う事はしない。
怨まれても仕方が無いこの状況で、怨む事すら出来なくなる貴女の許しを得たとしても自己満足にしかならないのだから。
私には貴女が必要。
それが全てなのですから』
微睡む様な感覚。
意味が分かる様で、そのまま抜けて行ってしまう曖昧な感じ。
今、私は何処に居るのだろう……。
濃密な何かの中を引きずられているような感覚。
意識が遠のく。
どんどん遠のく。
そして私は何も考えられなくなった……。




