13.耳掃除
第39~41話
家の人たちは、客を迎える準備に忙しい。
俺は、カトリーナやメイドたちの話し声に猫耳をそばだてる。
会話の内容から、来賓は、メルヴァル伯爵家の母と娘だとわかった。
やはり、今日の朝だ。
俺は、変な夢を見ていたのだろうか。
それにしては、記憶が生々しい。
ミニメガマウスとの戦い。
ヴィヴィペラになめ回されたこと。
それらが、鮮明に思い出される。
魔女たちによって、時間を戻されたようにしか思えない。
さて、正午近くになった。
お待ちかねの客が乗る馬車が、プルサティッラ家に到着した。
御者が馬車の戸を開ける。
はじめに馬車から降りてきたのは、メルヴァル伯爵夫人。
次に、その娘、ジョセフィーヌ・メルヴァル。
気品にあふれる美人親子だ。
ジョセフィーヌの年齢は、十八歳ぐらい。
しかし、そのジョセフィーヌは、サーナとは全くの別人だった。
顔立ちも髪の色も異なっている。
年格好が近いだけだ。
この人が、本物のジョセフィーヌなのだろう。
サーナが、魔法でジョセフィーヌと入れ替わっていたに違いない。
「ようこそおいでくださいました」
「こちらこそ、私たちの訪問を快諾していただき、感謝に堪えませんわ」
プルサティッラ家とメルヴァル家の会話も、記憶と全く同じだ。
やはり、記憶を保ったまま、時間だけが戻ったらしい。
違うのは、ジョセフィーヌの姿だけだ。
その後、カトリーナが食卓で俺を紹介するところも、全く同じだった。
俺がサーナに連れ去られた時刻になっても、何も起こらなかった。
ジョセフィーヌたちは、夕方になって帰って行った。
またしばらく普通の日常が続く。
その後に、大きなイベントが待っている。
王妃主催の「ブルーチーズパーティー」である。
国内の高貴な身分の令嬢たちが集い、親睦を深める、優雅な宴会だ。
これに、カトリーナが招待されたのだ。
「ああ、本当に、わたしがブルーチーズパーティーに出てもよいのかしら」
ある日の夕方のことだ。
プルサティッラ邸に、悲鳴にも似た喜びの声が響き渡る。
「まだ信じられないわ」
カトリーナは、父親が持って帰ってきた招待状を何度も読み直している。
わずかに肩が震えている。
よほど嬉しいのだろう。
「何度読んだって、書いてある内容が変わったりはしないよ」
父フェリックスが、カトリーナをからかう。
「それは、わかっていますけど」
喜んでいるのは、カトリーナだけではない。
母もメイドたちも、自分のことのように感動している。
「私たちメイドも、大変誇らしく思いますわ。
お嬢様が、他の人より早くブルーチーズパーティーに参加できるなんて」
リータが、目に涙を浮かべながら言う。
他のメイドたちも、感涙にむせぶ。
(自分がパーティーに出るわけでもないのに。
それって、そんなに凄いことなのかなあ。
俺には、よくわからないや)
ブルーチーズパーティーという奇妙な名称の由来は不明だ。
三百以上年の伝統がある行事なのだとか。
招待されるのは、一定の身分以上の息女だけだ。
しかも、原則として、十五歳から十八歳までと決まっている。
今のカトリーナは、十四歳。
本来なら、一年早い。
「いいなあ、いいなあ。
なんでカトリーナおねえちゃまだけ招待状が来るのよ。
サンディーには来なかったのに」
サンディーが、招待状を横から覗き込む。
カトリーナのことが羨ましくて仕方がない様子だ。
ニーナが、サンディーをなだめる。
「お姉様は、ネコの第一発見者ですから。
それで、特別に王妃様からブルーチーズパーティーの招待状をいただいたのですわ」
「わたしは、ネコのおかげで招かれたようなものよ。
むしろ、ネコのほうが主賓で、わたしは、そのお供ね」
カトリーナが、俺を抱き上げる。
テーブルに置かれた招待状を俺に見せる。
「あなたを連れてくるようにと、招待状に書いてあるわ」
俺は、少々不安な気持ちになる。
人の多い場所だと、また何か面倒なことが起こる気がする。
ただでさえ、メガマウスの心配もある。
パーティーに出ている暇などあるのだろうか。
「ブルーチーズパーティーは、十五日後ですか。
ずいぶん急に決まったのですね」
母キャラメーラは、開催期日が近いことを心配する。
準備にもっと時間が欲しいのだ。
「他の出席者からさげすまれないようにしないといけないわ。
私が最初に参加した時は、悔しい思いをしました」
普段は暢気な母が、珍しく苦々しげな表情になる。
「そんなに大変なのですか?」
カトリーナの顔に不安の影が差す。
「都会の貴族たちは、私たち地方貴族を田舎者と馬鹿にするのです。
私は、あなたにあまり厳しくしたくはないのです。
もっとのびのびと育ってもらいたいと思っていました。
しかし、恥をかかすこともできません」
キャラメーラの目つきが厳しくなる。
今まで見たことのない表情だ。
田舎育ちのカトリーナには、都会的な気品が足りないのだそうだ。
俺には、カトリーナのどこが駄目なのか、さっぱりわからないが。
とにかく、パーティーの参加者にふさわしい淑女になる必要がある。
その日から、カトリーナは、気品の訓練に明け暮れた。
歩き方。
話し方。
食事の作法。
その他、細かな身のこなし。
様々なことが、キャラメーラによって厳しく指導される。
本来なら、躾専門の家庭教師を雇うらしい。
家庭教師を探す時間がないのだ。
カトリーナが大変な思いをする原因は、俺を発見したからだ。
申し訳ない気分になる。
俺のほうは、今まで以上に大事に扱われている。
怪我をしたり行方不明にならないように、外出は禁止された。
体が汚れるからと、鼠捕りもしなくてよいと言われた。
サンディーは、いつものように俺と遊べないので、機嫌が悪い。
パーティーまで十日となった日に、家に荷物が届いた。
組み立て式の豪華な鳥籠だ。
俺を入れるために注文してあったのだ。
その鳥籠は、人間一人が余裕で入れるほど大きい。
宮殿のような形をしている。
金持ちが異国の珍鳥を見せびらかすのに使うのだそうだ。
「うわあ、凄い鳥籠。
これが、ネコのおうちなのね。
サンディーも入れるかなあ」
サンディーが、組み立てが完成した鳥籠を見て喜んでいる。
鳥籠の扉を開けて、首を突っ込もうとする。
「こら、やめなさい。
壊れたら大変ですわ」
ニーナが、サンディーを押さえる。
「ぶう……」
せっかくのおもちゃで遊べなかったサンディーは、また不機嫌になる。
「さあ、これに入るのよ」
ニーナが、俺を鳥籠に入れようとする。
「高貴な方々に見知らぬ動物をご覧に入れるには、やはりしっかりと籠に入れておかないとならないとなりましたの。
狭いかもしれませんが、この籠に慣れておいてください」
俺は、ニーナの言葉に従う。
パーティーの日までずっと鳥籠で過ごすことになってしまった。
食事やトイレなどの時だけ出してもらえる。
この鳥籠は、見た目は立派だ。
住み心地は、あまりよくない。
籠の中の生活は、本当に退屈だ。
やはり、サンディーたちに遊ばれていると楽しかったのだと実感する。
ᓚᘏᗢ
籠の中の生活が始まって数日後のことだ。
ニーナが籠の中にいる俺を見て、あることに気づいた。
「ネコの耳の中が、汚れているような気がしますわ」
「わあ、ほんとだあ。
きたなあい」
サンディーも、俺の耳を覗き込む。
(余計なお世話だ!)
動物の身ではあるが、汚いことを指摘されるのは、ちょっと恥ずかしい。
まだ心が人間なのだ。
「王妃様の御前ですからね。
耳も綺麗にしたほうがよいかもしれませんわ。
せっかくの可愛い耳も、汚れていては台無しですわ」
「お風呂に入れる?」
「体は汚れていないので、耳だけ綺麗にしましょう」
ニーナとサンディーで、俺の耳掃除をすることになった。
俺は、また不安になってくる。
二人に猫の耳掃除などできるのだろうか。
それに、どれだけ耳が汚れているのか。
自分の耳を鏡で見ていなかったのでわからない。
ニーナは、ハンカチと皿を用意してきた。
皿には、水が入っている。
鳥籠の扉を開け、中にいる俺を呼ぶ。
「さあ、出ていらっしゃい」
耳をいじられるのは、ただでさえ不快だ。
まして、耳の中まで触られたことはない。
俺は、しばらく躊躇する。
「どうしたの?
あなたの耳の汚れを取ってあげるのですわよ」
ニーナは、なおも俺を誘う。
俺は、渋々籠から出る。
「おとなしくしていてくださいね」
ニーナは、俺を持ち上げ、椅子に座る。
俺をテーブルの上に置き、耳掃除の開始だ。
「こうすれば、耳の中を拭けるでしょう。
やってみますわね」
人差し指にハンカチを巻き付け、皿の水で濡らす。
それを俺の耳に突っ込むつもりだ。
綿棒などというものは、この世界にはない。
そぉー。
指先の濡れたハンカチを、恐る恐る慎重に少しずつ俺の耳に接近させる。
俺の耳の中に指を入れたことがないので、緊張しているようだ。
あと五センチ。
四センチ。
三センチ。
二センチ。
ちょっとばかり慎重すぎる。
まるで、臆病な新米の医者が、初めて手術をするかのようだ。
あと一センチ。
五ミリ。
ついに指先が耳に触れる。
つん。
俺は、じっと動かないつもりだったが、本能的な反射には逆らえない。
耳が、自分の意思に反して動く。
ぴくっ。
「きゃっ」
ニーナは、慌てて指を引っ込める。
「きゃははははははきゃは」
サンディーが笑う。
ニーナは、ハンカチをつけていないほうの手で、自分の胸を撫でている。
次に、一度深呼吸をする。
サンディーが、耳を触られた俺を見て大笑いするのは、いつものことだ。
しょっちゅう俺の耳を擽って遊んでいる。
擽ったそうな表情が面白くてたまらないらしい。
「静かにしていて」
ニーナが、サンディーを黙らせる。
いつになく厳しい顔だ。
「はい」
サンディーは、おとなしく従う。
「では、改めて、やりますわよ」
再び、指に巻いた濡れたハンカチを俺の耳に近づける。
ニーナの指先は、わずかに震えている。
ぷるぷる。
ぷるぷる。
俺の耳を傷つけまいとしているのは理解できる。
それにしても、びくびくしすぎだ。
カトリーナやサンディーなら、もっと大胆に指を突っ込むだろう。
それはそれで恐いが。
そぉー。
ニーナの指先が迫る。
俺の耳に触れる。
つん。
ぴくぴくっ。
また俺の耳が反応してしまった。
ぶるぶるっ。
さらに、首をドリルのように高速で振る。
顔のあたりが不快な時によく起きる動作だ。
「耳を動かさないのは、無理のようですわね。
人の目にものが触れたら、どうしても瞼を閉じずにはいられません。
それと同じなのでしょう」
さすがニーナだ。
察しがよい。
ニーナは、しばらく考え込む。
別の方法で耳掃除をするつもりなのだろうか。
「ねえ、サンディー。
この子の頭を押さえておいて」
今度は、二人がかりでやるらしい。
「うん、わかった。
首を動かせないようにするのね」
サンディーが、俺の頭と体を両手で握る。
「動いちゃ駄目よ、ネコ」
(動かないように頑張ってたつもりなんだけどなあ。
そんなに押さえられたら、痛いじゃないか)
「さあ、今度こそ行きますわよ」
身動きのとれない俺に、ニーナの指先が近づく。
まるで拷問を受けているようだ。
あるいは、マッドサイエンティストによる改造手術だろうか。
ぐい。
指に巻いた濡れたハンカチが、俺の右耳に入る。
耳がぴくぴくてしまうが、今度のニーナは気にしない。
ふきふき。
ふきふき。
丁寧に耳の内側を拭く。
「こんなもので、よいかしらね。
奥のほうには、指が届きませんわ」
ニーナが、俺にハンカチを見せる。
耳垢が、しっかりついている。
そんなに酷く耳垢が多いわけではなかった。
少しほっとする。
「うわああ、汚いのがとれた」
サンディーは、感心しながら、ハンカチの汚れを凝視する。
耳垢が珍しいらしい。
まじまじ。
まじまじ。
(なんか恥ずかしいんだよなあ。
そんなにまじまじと見るなって)
「さあ、次は、反対の耳ですわよ」
ᓚᘏᗢ
「これで、両方綺麗になりましたわ。
耳の中がピンク色なのも、この子の魅力ですからね」
「血管が透けて見えてる」
左の耳の掃除も終わった。
すっきりしたような、しないような……。
飼い主が俺を綺麗だと思ってくれるなら、それでいいだろう。
それから、また鳥籠の中での暮らしが始まった。
今、部屋の中は無人だ。
籠からは、当然出られない。
暇だ。
サンディーたちに遊ばれるのも、よい退屈しのぎだったと思い知る。
せっかく耳の汚れが取れたところだ。
聴力を試すことにしよう。
息を殺して、耳に意識を集中する。
「……」
(いつもと違う感じだな。
静かというか、何というか)
耳掃除のせいで、かえって耳が悪くなったのだろうか。
さらに周囲の物音に集中する。
普通に聞こえている。
特に聴覚に異常はなさそうだ。
(ほっ)
心の中で胸をなで下ろす。
では、なぜ静かなのか。
普段なら耳を澄ました時に聞こえる音が、ほとんど聞こえないのだ。
その音とは、鼠の声だ。
俺は、最近、鼠を捕まえていない。
だけど、鼠の数は減っている。
不思議だ。
廊下からメイドたちの話し声がする。
その会話を聞くともなく聞いていた。
しばらくすると、話題が鼠のことに移った。
「そういえば、ここのところ、めっきり鼠が減ったわね」
「今日も、鼠捕りの罠に何もかかってなかったわよね」
「ネコは、ずっと籠の中にいて、何もしていないのにね」
メイドたちも、鼠の減少に気づいている。
俺の気のせいではなかったということだ。
鼠に何が起きたのだろう。
サーナの洞窟でのことを思い出す。
俺は、ミニメガマウスを噛み殺した。
そのことと関係があるのかもしれない。
ミニメガマウスは、体から鼠を発生させることができる。
鼠の発生源を倒したことで、鼠が減ったのだろう。
確証はないが、他に考えようがない。
(理由はどうあれ、厄介なのが減ったのはよいことだ。
それが俺のおかげなら、誇らしいことじゃないか)
俺は、何となく鼻が高い気分になった。
前脚を立てたエジプト座りの姿勢になる。
鼻先をつんと上に向け、すまし顔をする。
誰も見ていないのに、得意げな恰好をして、一人で悦に入る。
「あら、今日は一段と美しい座り方だわ。
気品にあふれているわ」
カトリーナだった。
籠の中の俺を見つめている。
いつの間にか、部屋に入ってきていたのだ。
淑女としての物腰を身につける練習の合間らしい。
「ブルーチーズパーティーが近づいてきたことを実感しているのね」
「にゃー(別に、そういうつもりじゃないんだけど)」
「耳が汚れていたのをニーナに拭いてもらったのですってね。
綺麗になると、自然に姿勢も美しくなるみたいだわ」
カトリーナは、さらに話を続ける。
おしゃべりが、なかなか終わらない。
淑女レッスンでストレスがたまっているのだろうか。
俺は、今のすました姿勢のまま、聞き役を務める。
だんだん疲れてくる。
寝転がりたい気分だ。
だが、カトリーナの見ている前で姿勢を崩すのが、はばかられる。
「パーティーの五日前には出発しないとならないので、あと二日よ。
それまで、お互い頑張って気品を身につけましょう」
カトリーナは、やっと部屋を出て行った。
俺は、ごろんと寝転がる。
(姿勢をよくするのも楽じゃないな)
とうとう出発の日がやってきた。
ブルーチーズパーティーまでは、まだ五日先だ。
五日も早く出るのは、気がせいているからというわけではない。
王都まで遠い上に、現地での準備にも時間が必要なのだそうだ。
早朝。
屋敷の玄関に家族五人が集合している。
俺の入った鳥籠も、五人のそばにある。
王都に向かうのは、カトリーナと俺と母のキャラメーラだ。
ニーナとサンディーと父は、家に残る。
「土産話を期待していますわ、お姉様。
パーティーを楽しんできてください」
ニーナは、笑顔で玄関でカトリーナを送り出す。
「さっさと行かないと、遅れるわよ。
遅刻して恥かいても知らないから」
サンディーは、むすっとした顔をしている。
俺を連れて行かれるのが不満なのだ。
姉が羨ましいというのもある。
「母さんの言うことをしっかり聞くんだよ。
プルサティッラ家の令嬢として恥ずかしくないようにしておくれ。
同行することができなくて残念だ。
君の晴れ姿を思い起こしながら、心の中で応援しているよ」
父は、心配そうだ。
「ありがとう、お父様」
「カトリーナなら、立派にやってくれますわ」
母は、娘への淑女教育の成果を確信しているようだ。
娘へのまなざしにも、信頼が現れている。
(カトリーナも頑張ったんだなあ)
俺は、何となく胸が熱くなるのを感じた。
三姉妹の努力や成長に接すると、父親のように嬉しくなる。
玄関を出ると、馬車が二台用意されていた。
そのうちの一台は、普段使用する馬車より豪華な作りだ。
特別な場合のための馬車が、以前からどこかにしまってあったらしい。
カトリーナと母が乗る。
二台目は、貴族の家具などを運ぶための馬車だ。
普通の荷馬車より小綺麗で、荷台が幌で覆われている。
これに俺が籠ごと乗せられる。
俺が荷物扱いなのが納得いかない気もするが、仕方がない。
その他に馬が二頭いる。
それぞれに厳めしい軍服のような衣装を着た男が乗っている。
護衛のためである。
主要な街道の周辺は、治安は良好だ。
盗賊に襲われるような事件が起きる気遣いはない。
晴れの門出なので、形式的に衛士をつけているのだそうだ。
「では、行って参ります」
「皆さん、家のことは任せましたよ」
カトリーナと母が、馬車に乗り込む。
メイドのリータも、カトリーナたちの馬車に同乗する。
荷馬車の荷台にも、メイドのペギーが乗る。
俺を見守るためだ。
「行ってらっしゃいませ」
残った家族と使用人に見送られ、馬車が動き出す。
屋敷の門を出ると、近隣の村人たちが、道の両脇に並んでいた。
カトリーナの門出を待ち構えていたのだ。
拍手をしながら、カトリーナに声援を送る。
まるで、女王でも歓迎するかのようだ。
(そんなにめでたいことなのかなあ。
自分たちには何の関係もないはずなのに、大袈裟過ぎやしないか?)
意外な光景だった。
領主の娘が晴れの舞台に出ることが、よほど嬉しいらしい。
この世界のこの時代の人々の価値観なのだろう。
それはともかく、これから長時間馬車に揺られることになる。
電車や自動車のような楽な旅ではないはずだ。
気を引き締めないとならない。




