表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/14

ep.13 契約と願い


いきなりの事過ぎて焦り出す俺をよそに勝手に話は進んでいく。



「なるほど、その手が…いえ、しかしそれにも一点問題がありますね。もし仮に彼の兄が直接手を出してきたらどうするんです?従属契約は確かに一体と一人のみが適応になりますが、他人が介入して破棄することができます。兄の方に無理やり契約迫られたら終わりますけど」

「あ~。まぁ契約者である人間が死ねば、契約自体はなかったことになるよねぇ」



つまりそれは俺の死因が増えていくことを意味するのだが、わかっているのだろうかこの人たち。



「待ってください。俺は兄とは良好な関係なんて持ってないし、むしろこれから兄のせいで死にそうなんですよ?!それに追い打ちかけてませんか?!」



俺の言葉を聞いた神はあっ、忘れてた。と前置きして笑顔で言い放った。



「その辺は大丈夫だよ!少なくとも君のお兄さん、君の事気に入り過ぎてこのまま監禁兄弟いちゃいちゃライフ送ろうとか計画してるから!」

「監禁兄弟いちゃいちゃライフを送ろうと計画してるから???」

「だから君が契約していると知れば命は絶対に奪わない!つまり契約が持続するからその問題も解決!あとは君たちで協力してお兄さんからひたすら逃げるだけだね」



何を言い出すんだこの神様。兄と誰かを間違えてないだろうか?俺をおいて話進め過ぎだし、なんかまだ引きこもりの精霊獣はごねてるし。



「まぁ話はさておき、契約すれば兄も君には気軽に手を出せない。一応契約するそいつは精霊獣だからね。強いし、何より君の最大の味方になってくれる!逃亡旅最初の難関である実家からの脱出も確実に成功すると思う!」

「待ておい、到底置いておける話じゃなかっただろ。」

「なるほど、それであれば私が外に出られるというわけですか。いや、別に外に出ると決めてませんし、彼に力を貸すとも言ってませんけど」

「ここまできてまだごねてんの君!?!?いいじゃん契約して外に出なよぉぉ!彼も可哀そうだし手伝ってあげな!?」

「うっ、確かにそこの人の子も、色々異世界人に迷惑をかけられている同胞のようなものですが…」



何だその異世界人迷惑仲間みたいなの。ちょっと嫌だな。

神と龍の終わらない言い合いで衝撃的な話について聞く機会を逃してしまった。でも確かにこの龍の力を借りれなければ、俺の逃亡は最初から詰むことになる。



「俺だってまだ精霊獣なんてすごい存在と契約するのは迷いがあります。きっと俺は力もそんなにないし、外に出たことがないから世間も知らない。」



神と言い合う龍に向かい合って目を合わせる。



「でも俺は、自分の意志が無視されるのはもう嫌だし、ここから逃げたい。もし、一緒に来てくれるのならあなたが外でやりたかったことを俺も手伝います。だから、どうか力を貸してもらえないでしょうか」

「…外でやりたかったことですか。」

「だって、前はこっそり出てたって言っていたから。あなたにとって外は怖いけど、好きなこともあったんじゃないかなって。なら、俺にできる手伝いは好きだったことをもう一度好きになれるよう手を貸すくらいかなと思っています。あなたが外で好きだったのは何ですか?」

「む、昔はよく色んな国にある秘境を巡っていました。魔素が特に溜まる場所はダンジョンにもなっていて、こっそり忍び込んでは色々あさったり。もちろん、人に化けて村々も巡りました。」



秘境やダンジョン、それに村にも行っていたのか。好きなことを聞かれた龍は懐かしそうに目を細めて話してくれた。…この龍が好きだと思った光景を、気付けば俺も知りたくなっていた。



「なら、もう一度行ってみましょう。俺もあなたが好きだったものが気になります」

「もう一度…でも人は恐ろしいのです」

「無理に人を好きになる必要はないと思います。俺の事も、契約したとしても立場は同等です。俺たちはお互いに協力して世界を巡る仲間のような関係を目指していけると思います」

「あなたがいれば私はとりあえず国から動けない異世界人が動いたとしても契約主は絶対変えられない。そしてあなたも私がいれば確実に逃げ出せる。少なくともお互い一緒にいれば得られるメリットは大きい」



俺はその言葉に頷いた。



「そうですね…どうせ外にはいつか行かないといけないし、ならあなたと行ってもいいのかな」

「ほ、本当ですか!よかった。でも俺、本当に外の事知らないんです。いっぱい迷惑をかけるかもしれません。それでもいいんですか?」

「少なくとも閉じ込められて育った人間にそこまでを求めるほど酷ではありませんし、それに知らないのは私も同じ。ならば、知れるようにすることを神への願いにすればいいんですよ」



そこで俺は神が『この龍を連れ出してくれるなら3つの願いを叶える』と言っていたことを思い出した。

自分の話題が出たことに気づいたのか黙って話を聞いていた神はパッと笑顔になる



「上手くいってよかったよ!じゃあ約束通り3つの願いの話に移ろうか」

「3つの願いってなんでもいいんですか?」

「うん!と言いたいけど、さっき言ったみたいに君のお兄さんみたいなのは無理ね」

「はい。それはわかってます」



3つか…十分に考えないといけないな。



「俺、多分一般的な知識とか乏しいんですけど、それをカバーできるようにしてほしいとか願い事としてできるんですか?」

「できるよ!君だけしか使えない魔法として『鑑定魔法』をあげるね。知りたいことがあればその魔法を使ってみるといいよ」

「あ、ありがとうございます。後2つ…」



本当はゆっくり考えたいけど、これが俺の夢であるなら長い時間検討することは難しいかもしれない。でも、これが俺の逃亡を左右するんだしそれを踏まえて決めないと。


読んでくれる方のおかげで頑張れています!良ければ評価やブックマークもお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ