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第四十四話 おう ゆうしゃよ ひとのえんにめぐまれたな



あ……



ぼーっとする頭で、目を薄ぼんやりと開けようとした


もや~っと白っぽい……




 ?



……物がよく考えられないので、眠気のまま、また眠り……



--



それからまだ少ししか経ってない


そんな気がするのに、また目を薄っすら開けたら、周りはもう、薄暗くなっていた


さっきは明るかったのに……



気持ち良くひんやりする


何か声を出そうとしたら、唇の上下がくっついたまま、ん~~っと唇の薄皮が伸びてから


ぽっ


と離れた


まるで、暫くずっと閉じていたみたいに



手は、鼠径部に、当てられていた



少し、指先を、曲げようとしてみる。


ちょっと違和感があって、伸びたまんまだったが、それから少しずつ血が通り出す感じで、すっと曲がった。


問題ないようだ。




息を吸う



抵抗感?


 圧迫感?



その後で、胸郭が膨らんでいく



少し吸ったあと、吐いて、少し吸って、吐いて

吸って、吐いて、吸って、吐いて


深呼吸……


首を少し左右に動かす ゆっくりと




いったい、自分は何をしていたんだろう?



あれ?


どこの だれだ わたしは?



あれ?



--



目を開けると、目の前に、天蓋から布が垂れている


白い清潔な布だが、そこに


「起きたら、呼んで」


と書かれてある



ふうん?



呼んでみるか



「ぁ゛」


あかん


声が、喉で引っかかった


なんか喉の具合が変だなあ


「あーーぃーぅーえーおぉぅ」


発声練習の結果は、まだおかしかった。


「あー、えー、いー、おー、ウーッ!」


最後だけ変にリキが入った、もう一度。


「あめんぼ、あ~かぁぁぃ~……」


なん、途中で、力尽きた。


あかん。



腹式呼吸で、ちょっと調えよう、息を。

喉以前に腹の調子もまだ……弱ってるのかな。


だめ、ちょっと休まないと……。



暫くゆったりと呼吸していて、少しずつ深く呼吸してみたり、またゆったり楽な呼吸に戻してから今度は浅いけど速めに吸って吐いてみる。

そうやって、少しずつ、少しずつ呼吸能力を回復させていった。

腹筋も段々まともに力が入るようになってくる。


これなら……


「あ、あ、ああ」


あ、出るぞ、こえが でるぞ わーい やったあっ


「あー、あー、あー」


すると、声を聞きつけたのか、足音が近づいてきた。


ガラガラッ

と音がして、


「おきた? もう大丈夫?」


と落ち着いた低い女性の声がする。


「はい、声がでました」


「そうね、声が出てるわね。それじゃちょっと、もう少し回復させましょうね……」


と近づいて来たのは、ふわんとした膨らみのある衣を肩から斜めに身体に巻き付けた、多分神官さん……


わたしのからだへ手をかざすと、ぶつぶつと詠唱しはじめて、なんだか元気が、でたく なってきた

凄く元気が身体に満ちて、いますぐ飛び跳ねて何かを振り回しても大丈夫!

という感じがする。


「どうです? 回復しましたか?」

「ええ、有難うございました。いったい私はどうしてここに居るのでしょう? ここは、多分、神殿と言う所ですよね?」

「そうです。あなたのお連れ様が、命尽き果てていたあなたの為に、こうして連れて来て下さったのですよ。良き仲間の方々をお持ちですね」


にっこりと微笑んでくれる年齢不詳の女性神官だが、


「えっ、わたしは死んでいたんですかあっ!?」


あまりの驚きに、声が裏返ってしまう。


「そうです。ここはハートゥーンの神殿です。この辺りで蘇生が可能なのは此処だけです」

「それは、どうも大変お世話になりました。あの、しかし、蘇生ということはつまり、大変な額のお布施が必要と聞いたことが……」

「あ、心配いりません。残酷ではありますが、お布施を先に頂かない限り、私たちも蘇生は致しません。貴女が生き返ったということは、既に頂いているのです、お連れの方々から」

「あの、連れと言いますと……」

「四人の方々が休憩室でお待ちですよ。そろそろもう大丈夫でしょう? 早く行って安心させてあげなさい」


とにかく、寝台から足を持ち上げて、床へ下ろし、ひんやりする足の裏を感じながら立ち上がる。


まっぱ、だった。


「荷物はこちらにあります、どうぞ」

「はい……」


別室に連れて行かれ、大きな葛籠の一つに荷物が収められていた。

防具は無事に全部あり、鮫剣も自転車もあった。

ただ、自転車の籠に載せていた荷物や、腰の巾着は無かった。


紙おむつの替えもないけど、とにかく着替えた。


「あの、私がどんな死に方をしたのかって、わかりますか?」

「いえ、私は知りません。蘇生に立ち会いませんでしたから」

「そうですか……」

「きっとお連れの方々がご存じですよ」

「ああ、そうですよね」


四人。

あの一党くらいしか思いつかない。


--


休憩室まで連れていかれたところで、女性神官さんは去っていった。


「あ、やっぱり……」


「おっ! さすがにハートゥーンの神殿ですね。あの骸が嘘のように元気に」

「おはよー!」

元気に挨拶してくる梢と、ジョン。


「どうも、大変なお世話になってしまったようですね」


月影も

「生き返って良かった」

うむ、うむ、と頷いてくれる。


「今度こそ、ぼくも神官(見習い)らしい働きができましたよ……やっとね……」

となんだか遠い目の三等神官クイルラン。


「どうも有難うございました。ところで、私は一体いつどこでどんな死に方をしていたのですか?」


「詳しくは分からんが、多分俺達同様に、街道でいきなり弓矢で射られたのが運悪く当たり所が悪くて即死したのだろう」

「弓矢ですか」

「お前さん、兜の面頬を上げていたんだろう、開いていたから」

「あ……」

「思い当たったようだな。俺達も襲われてな、まあとにかく返り討ちにしてやったが、そいつらの一人を締め上げて塒へ案内させて討伐したら、顔に矢が突き立ったお前さんの屍が、まだ装備も剥がされずに転がっていたのでな、ああこれはあの晩の……と思ったから、助けた」

「本当に有難うございました。何もできませんが、このお礼は必ず致します」

「いや、いいんだ。盗賊どもはそれなりに腕の立つ連中だったらしくて、結構なお宝を溜め込んでいたのでな、お前さんを生き返らせる代金と手間賃その他を差し引いても御釣りが来たうえに、俺はここらじゃ売ってない刀を手に入れることができた。数打ちとは言え、無いよりはずっと良い」

「ぼくは薬を使った分少し赤字だけど、大したことじゃない。仲間全体としては黒字なのでね」

「あたしも大活躍したよぉ~! とにかくもう罠とか錠前とかあちこちにあったからねっ」

「ぼくも運よくハートゥーンの神殿には伝手があったものですから」

「それな。順番少し優先してもらえたよ。普通なら二、三か月待たされるのが、一か月で済んだ」

「靖子さんは、異世界とこっちを行ったり来たり、でしたよね? お知り合いの方々がさぞ心配なさっているでしょうから、少しでも早く帰してあげられるように、ぼくもここぞとばかりに身内の交渉を、少し頑張らせてもらいました」


「おー、それは、それは……」

とにかくお世話になったのは分かった。

「本当に、重ね重ねお礼の申し上げようも御座いません。必ずお礼を致しますので……」

と、彼らの王都での住所を教えてもらい、今度必ず訪ねていくと約束した。


気分転換に書いてみましたぁ……

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