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3-2 船の上2

 というわけでさっそく、短剣スキル(という名前なのかは知らない)を取ることにしよう。


「なんだ、優貴。もしかして、スキルを取るのか?」

「はい、短剣とかダガー系のスキルを」

「じゃあ短剣スキルだな。短剣いるか?」

「いえ、いいです。自分で出すので」


 今回、俺は今持っている銃だけじゃこの世界を生きていけないことを痛感させられた。

 いや、辺境の村や立派な城壁がある街に引きこもっていれば何とかなるかもしれないが、せっかくの二度目の人生だ。そんなのはもったいない気がする。人によってはそれが幸せなのかもしれないが、俺はこの世界を見て回りたい。


 そうすると、今回の銀狼のように、今の銃では通用しない敵が現れるかもしれない。

 装備ももちろん強化するが、まずはスキルを新しく手に入れてみたい。いや、別にスキルを新しく得ることにときめいてるわけじゃないよ?ただの戦力増強だから。


 ユウが見るなか、手の中に武器を召喚する。

 召喚した武器は――


「? ただのナイフか?」

「いえ、違うんです」


 そういって、海のほうにナイフの先を向ける。

 そして、「トリガーの準備をした」。


 タンッ!


「キャリバー銃ナイフって言って、ナイフなのに銃なんです!」

「おお、すげぇ!」


 おお、驚いてる驚いてる。

 ナイフの柄の部分を開いて銃弾を一発補充すると、柄を閉じる。


「ふふ~ん。そうでしょう?」

「なんというか、ロマンに溢れてるな」


 なんとなくユウに勝った気がして、いい気分。

 だったので、もう一つ召喚してみる。

 今度は、その性質からかさっきよりも少し疲れる。


「じゃじゃ~ん」

「? 懐中電灯....か?」


 まあ、懐中電灯は懐中電灯なんだけど....


 ダァン!

 さっきよりも少し大きめの反動が肩を蹴る。が、レベルが上がったからなのかそこまで大きな反動には思えない。

 海面に上がった水しぶきの量で、これがショットガンであることが分かるはずだ。


「懐中電灯型のショットガンなんです!」

「すげえええええ!」

「ふっふ~ん!」


 どうしよう、優越感が止まらない。

 ちょっと疲れてきたので、これで最後にしようと思う。

 召喚したのは、指輪。

 ちょっと可愛らしい装飾が施された、小さな指輪だ。


「あ、それは知ってる。指輪型の銃だろ?」

「......」


 ....召喚したのは、ベルト。兵器召喚のおかげか、今はいている短パンに丁度通る程度の太さのベルトだ。バックルにはこれまたちょっと可愛い装飾が施されている。

 ベルトを巻いて、海のほうに向く。


「見ててくださいね!」


 左側上下のレバーを操作すると、バックルの装飾部分がぱかっと上に開いて銃身四つが起き上がる。その状態で左側面のトリガーを引くと――


 タン!


 軽い発砲音がして腰に衝撃。

 ほぼ同時に、海面に小さな水柱が立った。


「どうですか!?」


 どや顔で振り返る。


「ユウ~!肩車して~」

「分かった、分かったから離れろって!」

「....ルルも、して?」

「仕方ないなぁ....よおし、みんな一緒に持ち上げてやる!」


 .........ピキ。

 ピキピキピキ。


 ....まあ、どうせ?どうせ俺なんてどうでもいいんですよね?

 いいんですいいんですよ、あなたはロリおっぱいと幽霊少女といちゃいちゃしてればいいんですよ。三人旅の、いや四人旅の一人乞食ってやつですかい?

 いえ全然いいんです。妬んでないし怒ってないし拗ねてないし。

 俺は端っこでナイフを振ってるのが性に合ってるんですよ!ふん!ふん!


「ご、ごめんごめん!」


 たたた、とユウが走り寄って来て謝る。


「オレが悪かったから。な?これからは気を付けるって」


 黙れ小僧!貴様のような女ったらしのクズに謝られても嬉しくもないわ!


「ほんっっっとに悪かった」


 と思ってたけど、すっごく本気で謝ってくるので許してあげることにした。

 なんかこれだけ謝られるのに許さないのも、なんだか気が引けるというか、かわいそうというか。そこまで心狭くないし?


「まあ、いいですよ....。別に怒ってませんし」

「え?あ、うん。怒ってないな。ごめんごめん」


 そこは声にも顔にも出さずに心の中で考えるだけにしてくれません?こっちの心にダメージが来るので。


「ほんと悪かったな、アリシアとルル二人だけと遊んで」


 そうじゃない!いや、そうじゃないと言い切れないのがつらいけど、俺は別にユウに構ってほしかったわけじゃないんだ!その言い方だと俺がユウに構ってくれなくて拗ねてたみたいじゃないか!

 

 俺はもやもやとした気持ちを吐き出すため、「もういいです」とユウに言ってアリシアたちの方へ追い返したあと、より一層ナイフを振り回した。










 その後、特になにもなく一日を過ごした。

 今日は目覚めたばかりだったからか、それとも午前の内に済ませておいたのか、掃除などはしなくてもいいと言われたが、明日からは朝からちゃんと掃除などをするらしい。海とかだと潮風の影響でなんとかかんとかなのかもしれないので、掃除しなければ。

 実は、掃除は嫌いではない。


 夜、そろそろ寝ようかと思って割り当てられた部屋でだらだらしていた。

 だらだらと言ってもただだらだらしているわけではなく、ラフな格好でだらだらしつつ銃の弾を召喚していたのだ。今回調子に乗っていくつも銃系のロマン武器を召喚しまくってしまったので、その分のスペアの銃弾を召喚しなければいけないのだ。

 そろそろ、FN57のスペアは十分になってきた。ユウにもらった鞄の中身がほとんど銃弾でいっぱいになってしまったくらいだ。

 箱の分の体積がもったいないので、袋に入れてはいるもののそのまま入れている。これ、あまりよろしくはないだろうけど箱で入れていた時と比べてだいぶ鞄がすっきりした。


「ふう」


 大体「これくらいあればいいかな」ってくらいの銃弾を召喚し終わった。

 昼にも結構召喚したので、レベルが上がったとはいえだいぶ疲れた。

 額ににじんだ汗を拭き、一息ついたとき。


 不意に、一つのことに気が付いた。漫画なら「ピシャーンッ!」って感じに雷が落ちてた。

 そう、この状況。ユウはまだ若く見えるし、性欲真っ盛りの思春期くらいだと思われる。そしてこの船には、ユウに思いを寄せるロリおっぱいが。


「ユウ、幼女に手をだすんじゃ....!?」


 アリシアは、おっぱいといえどまだ幼女。よくて少女くらいの年齢。流石にそれは....

 そういえば、アリシアの表情が怪しかった気がする。

 まずい、ユウを犯罪者にしてはいけない!


 走ってユウの部屋に行く。

 するとそこには。


「――っ!?」


 裸のアリシアとルルが、服を着たユウの隣で寝ていた。

 ユウが、部屋に入って来た俺に気が付いて、目線を向ける。

 慌てたようにして弁解し始めた。


「い、いや、これは違うんだ!」


 はい出ました~、ラノベ主人公のこれは違うんだ。

 本当に違う場合なんて、実際全体の一割もないやつだ。今回もきっと、アリシアの誘いに乗ってしまってこうなったんだ。


「ああ....」

「違うんだ、話を聞いてくれ!オレは何も知らずにベッドに入ったんだ。そうしたらアリシアとルルがベッドに縛り付けてきたんだって!」


 よく見れば、ユウは全身を赤いロープで縛られていた。

 あ、そういう趣味の方か....。

 ロリコンな上にそういう趣味とか、もうね。

 いや、否定してるわけじゃないんだよ。だから泣かないでね、ユウ。


「やめてくれ!そんな憐れむような目で見ないでくれ!」

「あぁ、別に否定しませんって」

「だから違うんだ!」

「でも、魔法を使えばそれくらい難なくかわせるのでは?」

「.....」


 あ、黙った。


「まんざらでもない、自分がいたのでは?」

「....いや、それはアリシアたちのいたずらだと思っていたら案外ガチだったからで」

「で、ヤったんですか?」


 たぶん、俺の背後にはスタンド「ジェラシー」がいることだと思う。ビジュアル的には、紫色のドロドロしたやばい奴ね。


「めっちゃストレートだな....。いや、何とか睡眠の魔法で寝かせたから、何とかなったよ。やっぱり、こういうのはこんな、流されて、とかじゃ駄目だと思うんだ」


 何言ってんだこいつ。

 普通に幼女(俺)に対して下ネタ言ってる変態だぞ、これ。


「はは、何言ってんだろうな、オレ。....あれ?なんでそんな冷たい目で見てるの?」

「いや、別になんでもありません」


 あれ?なんで俺の声、こんな氷点下なんだろう。

 絶対零度くらいはある気がする。言葉の温度で魔法が使えるなら、時間を凍らせることもできる気がする。

 白い目で、部屋を後にした。

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