第10章:神なき世界
――コード管理機構・臨時戦域「第零演習区」 午前9時00分
雲一つない晴天の下、特別試験会場の巨大バトルフィールドには、50人のエリート候補生が集められていた。
彼らの中に、唯一人“コードを持たぬ者”――ユウト=カミシロが立っていた。
試験官の声が響く。
「本試験は《実戦形式》。制限時間30分以内に、20人未満となるまで戦闘を継続せよ。
能力の制限なし。生死は問わない」
どよめく参加者たち。
試験ではない。これは処分だ。
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――開始5分後
突如、演習区に解き放たれる異形の存在。
かつて実験で暴走した“コード兵”たち。能力を極限まで強化された結果、理性を失った存在。
今、その牙が“試験参加者”に向けられている。
「こっちは試験って聞いてたのに、ふざけんなよっ!」
「逃げろ!あいつら、本気で殺しに来てる!」
能力者たちは混乱し、互いを疑い、暴走体と共に崩れていく。
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――ユウト、中央突破
その混乱の中、ユウトはただ一人、迷わず進んでいた。
爆炎、斬撃、重力圧縮――
すべてが交差する中、彼の周囲だけが“無風”だった。
「……発動。ゼロコード最終段階《Phase.Ω(オメガ)》」
ユウトの体から、現実の構造を書き換える光の波が展開される。
全方向に伸びる白線。それはコード能力を構成する根本の“設計情報”だ。
(見える。この空間にあるすべての力が、“どこから来て、どこへ向かうか”)
彼の視線一つで、重力弾が空中で分解される。
次の瞬間、暴走体の動きが停止し、内部構造が自壊する。
能力無効化ではない。
能力定義そのものを“上書き”している。
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――上空からの指令
試験会場上空に浮かぶコード管理機構の監視艇から、合成音声が響く。
> 「ユウト=カミシロ。
貴殿はコード体系の根幹に反する存在と判断された。
よってこの瞬間より、規格外存在として隔離・排除対象に指定する」
空から黒い円柱が降下し、中心にユウトを捕らえるように収束する。
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――対抗:ゼロコード《空間上書き》
「遅いよ。もう全部、わかってる」
ユウトは指先を空間にかざし、“捕獲装置”の動力構造を書き換えた。
重力変換装置 → 空間拡散装置へ。
ドォォン!!
装置は反転し、逆に周囲の能力保持者たちを吹き飛ばす。
「この世界は、コードによって形作られた。
でもそれは、“誰かが選んだ結果”だ。
だったら俺は、“別の選択肢”を示す」
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――ユウト、宣言
吹き荒れる風の中、ユウトの声が響く。
「俺は、力がないことで見捨てられた。
でも今、力を持つことで、お前ら全員に“問い返す”立場になった。
――“能力がすべての世界”は、本当に正しいのか?」
演習区の参加者たちが静まりかえる。
敵も味方も、ただ一人の“無能力者だった少年”を見ていた。
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――機構中枢・反応
同時刻、コード管理機構本部では警報が鳴り響いていた。
「……ゼロコード最終段階が安定領域に突入」
「すでに全構造の11.4%が“上書き可能領域”に入っている!」
誰かが言った。
「このままでは、我々が支配してきた能力体系そのものが――崩れる!」
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終章:神を拒絶する少年
その夜、機構本部への緊急通達が出される。
> 【ユウト=カミシロを最危険存在と認定】
> 【コード体系に対する“存在的反逆者”として確保、もしくは……排除】
誰かがつぶやいた。
「“神”はもはや外から来ない。“中から生まれた”」




